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動物と一緒に暮らしてみたい…と動物好きなら一度は夢見る世界! でも、実際はどんなことが起きているのか、動物たちのもっとも身近な存在である飼育員さんたちにお話しを伺いました。ご自身も大の動物好きという人気イラストレーター・伊藤ハムスターさんの4コママンガもお楽しみください!
第16回目は「コアラ」について鹿児島市平川動物公園の落合晋作さん(飼育員歴20年)、村上浩一さん(飼育員歴13年)に教えていただきました。
※マンガの内容は、動物の生態を元にしたフィクションです。
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Q:飼育していて困ったこと、大変なことはどんなことですか?
ユーカリしか食べないため、エサとなるユーカリの確保に苦慮しています。1頭飼育するのに1000~1200本のユーカリが必要だからです。コアラを増やしたくても、ユーカリがないと増やすことはできません。ユーカリは飼育園館それぞれで栽培し、当園では担当者自らが採取に行きます。台風による倒木、葉の欠損、寒波による枯れや新芽の損失で、エサの確保が物理的に難しい場合もあるので、当園では種子島などの温暖な場所に冬期用の圃場(ほじょう)をもっているほか、リスク分散のため県内にも40か所以上の圃場があります。天候に関係なく365日、ユーカリ圃場で採取と管理を実施します。
また、ユーカリを消化吸収するための腸内細菌叢があり、疾病時に使用できる抗生剤の種類が限られており、治療の選択肢が少ないのも大変です。
Q:どのようなことに気を付けて飼育していますか?
ユーカリの消化吸収に時間とエネルギーが必要なため、睡眠休息時間が長く(20~22時間)、体調の不良の見極めや疾病の早期発見が難しいです。基本的にユーカリしか食べないため、体調不良時や体重減少時のエサの選択肢がなく、これに対応するために、ユーカリペースト(葉っぱをミキサーですりつぶしたもの)を投与し、サプリや投薬も容易に実施できるようにしています。また、複数のユーカリを栽培し、嗜好に合わせて給餌しています。
Q:うれしいのはどんなときですか?
繁殖したとき。ユーカリが大きく育っているとき。こちらの思惑、予想通りにユーカリを食べてくれたとき。かわいい印象が強いコアラの本来の生態について、来園者の皆様に知っていただけたとき。
Q:どれくらい懐きますか?
基本的にはなつきませんが、エサのユーカリやペーストにつられて寄ってくることはあります。またブラッシング時に気持ちよさそうにしている様子も個体によっては見られます。
触ることに慣れることはありますが、喜んで近づいてくることはありません。
Q:どれくらい賢いですか?
木登りが得意なので、細いパイプや木を登って、部屋から出ていたことはあります。人がかぎ分けられない匂いを把握し、好みのユーカリを探し出すことができます。
Q:一緒に暮らすとしたら…どんなことが起きそうですか?
高い木に登って暮らしているので、常に見下ろされそうです。エサのユーカリの確保をするため、広大な畑が必要。部屋の中は、ユーカリのいいにおいで満たされそう。いつも寝ているので、同居人としてはさみしい、飼育していることを忘れるかもしれません。オスはマーキングのための臭腺が胸にあるのですが、とても臭く、家の柱もくさくなりそう。時折発声するテリトリーコールは、猛獣のような鳴き声なので、近所迷惑になるかも? 爪が鋭く、抱いたときに腕が傷だらけになります。
Q:印象的だったエピソードを教えてください。
腕を木に見立てて、抱っこして移動します。担当者の腕は爪でついた傷が多数あります。オスのマーキングのにおいがくさい、鳴き声が見た目とは異なり、かなりワイルド。体調不良時は、ユーカリの葉を直接口元にもっていき、ハンドフィーディングしています。24時間合間をみて、治療や給餌することがあります。普段寝ていることが多いのに、発情がくるとメスはソワソワして、行動量が増加します。地面を歩いたり、発声することもあります。行動量が増えると体重が減少するので、恋するコアラは痩せるといわれています。
鹿児島市平川動物公園
「楽しく学べる、楽しく遊べる動物公園」をコンセプトに、豊かな自然の中で楽しく動物の生態を観察し、ふれあうこともできる人と動物にやさしい動物公園。2023年10月現在、14頭のコアラが飼育されています。
鹿児島市平川動物公園HP
〒891-0133
鹿児島県鹿児島市平川町5669-1
TEL:099-261-2326
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寄稿:中村 倫也 監修:小菅 正夫 イラスト・マンガ:伊藤ハムスター イラスト:服部 雅人
- 【定価】
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- A5判
- 【ISBN】
- 9784041140413
中村倫也さんがスペシャルサポーターを務めるイベント
『野生動物と暮らしてみたら展』もあわせてチェックしてください!
©野生動物と暮らしてみたら展