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動物園の飼育員さんに聞きました!『野生動物と暮らしてみたら』連載第14回


動物と一緒に暮らしてみたい…と動物好きなら一度は夢見る世界! でも、実際はどんなことが起きているのか、動物たちのもっとも身近な存在である飼育員さんたちにお話しを伺いました。ご自身も大の動物好きという人気イラストレーター・伊藤ハムスターさんの4コママンガもお楽しみください!
第14回目は「オカピ」について、の横浜市立金沢動物園(神奈川県)の正木美舟さん(飼育員歴15年)に教えていただきました。


※マンガの内容は、動物の生態を元にしたフィクションです。




 

 


Q:飼育していて困ったこと、大変なことはどんなことですか?

日本の環境でのオカピの飼育例が少なく、データや参考にするものがあまりないこと。温度環境に体調が左右されることが多く、糞などから推測しながら体調を整えること。現飼育個体は、餌の選り好みが多く、食べる餌を探しながら確保すること。
※オカピは2023年10月現在、日本では3園でしか飼育されていません。


Q:どのようなことに気を付けて飼育していますか?

温度環境、好む餌の確保(古くなったり、湿気たりしたものは食べない)、毎日運動できるようにすること。


Q:うれしいのはどんなときですか?

用意した餌をよく食べるとき。しばらく便状が悪い状態が続いていたことが回復したこと。削蹄(ひづめを削って、形を整えること)がコンスタントにできるようになったこと 。写真を撮っていたら、寄ってきたこと。


Q:どれくらい懐きますか?

名前を呼んだら来る(餌を持っていたり、部屋に帰れるように扉を開けたりするなど、求めそうなことをやる時に呼ぶので、懐いていて来るのかは不明)。立ったまま、座ったまま削蹄ができる。体中を触ったり、すごく近くを通ったりしても気にしないくらい(私は9年担当。別の者が近くまで寄りすぎると、跳ねてケガをさせそうになることがある)。


Q:どれくらい賢いですか?

呼んだら来ます。好む餌と好まない餌を識別する。


Q:一緒に暮らすとしたら…どんなことが起きそうですか?

・庭でかくれんぼ(うっそうとした森でくらすため、木の間に入ったりする。模様はカモフラージュになる)。

・庭の木が一定の高さで剪定される(好む木のみ)庭の木や草を食べられる。壁や柱をなめて削る。(ジョリジョリした舌は、木の葉を絡めてちぎりとったり、枝を手繰り寄せるのに都合が良い。その舌でいろいろなところをなめるため、木材は削れていく)

・10月~5月くらいまで暖房のぬくぬくした部屋で過ごすことになる。暖房費がかかる(赤道近くに生息しているため、日本の冬の寒さは苦手)。

・壁が茶色くなる(体をこすりつけたりすると茶色くなる)。

・部屋の一部がオカピのうんちスペースになる(排便する場所はある程度限られている)。

・人は餌となる木の葉を日々求めるようになる。給料が餌の枝や乾草を買うのに使われる。そして、食べなかった(口に合わなかった)干し草や食べ終わった枝であふれる。

・ベット、防寒のために床に敷くおが粉やチップで、家じゅうが埃だらけになる。


Q:印象的だったエピソードを教えてください。

しばらく孫のトト(オス)を同じ建物で飼育していた時、仲良くなめあっていることもあったが、本来は単独生活のためか、相手の存在に怒りを示す時があった。怒ると「チュッ チュッ」と音を出し、座り込んでストライキをした。

 

横浜市立金沢動物園

園内は、動物を生息地別にアメリカ区・ユーラシア区・オセアニア区・アフリカ区の4大陸に分け展示され、世界の希少草食動物を中心に飼育しています。オカピもその一種です。金沢自然公園内にあるため、豊かな自然を楽しむこともできます。

横浜市立金沢動物園HP
〒236-0042
横浜市金沢区釜利谷東5-15-1
TEL:045-783-9100


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寄稿:中村 倫也 監修:小菅 正夫 イラスト・マンガ:伊藤ハムスター イラスト:服部 雅人

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
A5判
ISBN
9784041140413

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