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動物園の飼育員さんに聞きました!『野生動物と暮らしてみたら』連載第2回


動物と一緒に暮らしてみたい…と動物好きなら一度は夢見る世界! でも、実際はどんなことが起きているのか、動物たちのもっとも身近な存在である飼育員さんたちにお話しを伺いました。ご自身も大の動物好きという人気イラストレーター・伊藤ハムスターさんの4コママンガもお楽しみください!
第2回目は「ヘラジカ」について、神奈川県の夢見ヶ崎動物公園の飼育員、宇田司さん(飼育員歴50年!)に教えていただきました。




 

 


Q:当時飼育していて困ったこと、大変だったのはどんなことですか?

1985年から2013年まで飼育していた。来園して1週間くらいは食べなくて心配していたが、クヌギ、コナラ、カシワの葉っぱをあげたら食べるようになり、その後いろいろと食べるようになった。ワンペア飼育していて、子どもが18頭生まれて別の園に行ったけど、移動したヘラジカはあまり長生きしなかった。野生だと冬はマイナス20~30℃で暮らし、本来は暑さに弱い。夏はずっとエアコンをつけていた。冬は外に出るものの、日なたではなく、日かげで過ごしていた。夏はシャワーをよくあびていた。


Q:どのようなことに気を付けて飼育していますか?

2~3年は温度管理に気をつけていたが、だんだんとヘラジカが順応してきた。最初は20~30cmあった毛が、ひと冬ごとに短くなっていった。 肩の高さが170cmくらいあり、体が大きい。前足でたたいて、後ろ足で蹴る、その力がとても強いので、当初はなるべく近づかないようにしていた。次第にオスは触らせてくれるようになったが、メスは全然ダメ。ずっとピリピリしていた。


Q:うれしかったのはどんなときでしたか?

メスはずっとピリピリしていたが、出産の前日になって急にすりよってきた。認めてくれたのかな…。それ以降はずっと懐いてくれて、それは今までで一番うれしかった。自分に懐いた後は、ほかの飼育員にも慣れていった。親が懐くことで子どもも懐いてくれて、体重の測定もできた。


Q:印象的だったエピソードを教えてください。

出産のときに、難産で4~5人で介助した。腰の高さが150cmほどもあり、足の蹴る力も強いので、蹴られるの覚悟で挑んだが、我々が赤ちゃんを引っ張りやすいように腰を落としてくれた。日本の動物園に今はもうヘラジカはいません。輸入ももうできません。かなわぬ夢ですが、もう一度飼育してみたいなとは思います。中国にいっぱいいるようなので、いつか行ってみたい。


Q:家で一緒に暮らすとしたら…どんなことが起きそうですか?

オスのつので壁がめちゃくちゃになる、メスはそこらじゅうをける。糞は決まったところにしないので、掃除は大変。園でもふつうの金網だと壊れちゃうので、ワイヤーを使っていた。

 

夢見ヶ崎動物公園

現在ヘラジカはいませんが、昭和57年に国内で初めて飼育されたマーコールのほか、レッサーパンダやハートマンヤマシマウマなどの人気動物が見られます。フンボルトペンギンやフラミンゴなど鳥類も充実。

夢見ヶ崎動物公園HP
〒212-0055
川崎市幸区南加瀬1-2-1
TEL:044-588-4030


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寄稿:中村 倫也 監修:小菅 正夫 イラスト・マンガ:伊藤ハムスター イラスト:服部 雅人

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
A5判
ISBN
9784041140413

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©野生動物と暮らしてみたら展


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