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動物園の飼育員さんに聞きました!『野生動物と暮らしてみたら』連載第8回


動物と一緒に暮らしてみたい…と動物好きなら一度は夢見る世界! でも、実際はどんなことが起きているのか、動物たちのもっとも身近な存在である飼育員さんたちにお話しを伺いました。ご自身も大の動物好きという人気イラストレーター・伊藤ハムスターさんの4コママンガもお楽しみください!
第8回目は「カンガルー」について、福岡県・到津の森公園の深田直美さん(飼育員歴33年)に教えていただきました。




 

 


Q:飼育していて困ったこと、大変なことはどんなことですか?

神経質で臆病な動物なので環境や人に馴らすこと。跳躍力があり、攻撃力もあるため捕獲なども大変。激しく驚いてパニック状態になった時は対処ができない。けがをした際は治りにくい。


Q:どのようなことに気を付けて飼育していますか?

人に対して攻撃しないようにさせる。環境や人にならすように訓練している。けがや病気にならないように早期発見に努めている。個体管理ができるようにしている。餌の管理に気を付けている(餌の内容など)。


Q:うれしいのはどんなときですか?

個体がなれてふれあいができるようになったとき。飼育している全種が繁殖し、環境に慣れて頭数が増加しているとき。飼育管理ができているとき。


Q:どれくらい懐きますか?

個体差はかなりあるが、なれている個体は体中どこでも触れることができ、さらに抱き上げることもできる。なれている個体の場合、袋内にいる子どもを覗いて見ることができる。餌をねだってついて来たりする。


Q:どれくらい賢いですか?

環境に対しての順応性はある。隠してある餌を探して食べたりする。強い個体には従順で、弱い個体には強気。人が触ってほしくない物を感じ取り、必ずいたずらする。


Q:一緒に暮らすとしたら…どんなことが起きそうですか?

2mの高さを跳躍するため、子供の高い声や大声、家庭内で起こる大きな物音に驚き、天井にぶつかって穴を開けたり、壁を壊したりすると思う。草食動物なので和室の畳や柱を食べたりしそう。四肢の爪が鋭いため床や柱、壁をえぐるほど傷つける。驚いてパニックになった場合は人や家中に激突しそう。好奇心が強いため、ビニールや本など、なんでもかじる。


Q:印象的だったエピソードを教えてください。

・餌皿を重ねて持って行っていたときに、餌皿の裏に自分の好きな餌が付いて残っていな
いか1枚ずつ器用に前肢を使ってひっくり返して確認していた個体がいた。

・人なれしていたメス個体が人にかまってもらうため、袋内の子供が顔出しするくらいの
月齢になるとわざと赤ちゃんを見せに行っている個体がいた。

・オス個体で正面から飼育員に向かっていくのが怖いため、飼育員が背を向けるとこっ
そり近づいてけりを入れようとしている個体がいた(その個体は飼育員にけりを入れる
前に自分より強いオス個体に怒られていた)。

・飼育員を信頼しているメス個体は、袋の子供が袋外に出始め、自立する前くらいになる
と袋が重いのか、
飼育員の目の前で子供を袋の外に出し、飼育員に預けてから遊びに行
っていた。

 

ひびき動物ワールド

響灘緑地グリーンパーク内にある施設。到津の森公園を管理する「北九州市どうぶつ公園協会」が管理運営している。オオカンガルーとのふれあいや国内外でも希少なシマオイワワラビーを見ることができる。

ひびき動物ワールドHP
〒808-0121
福岡県北九州市若松区大字竹並286番地
TEL:093-741-2700


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寄稿:中村 倫也 監修:小菅 正夫 イラスト・マンガ:伊藤ハムスター イラスト:服部 雅人

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
A5判
ISBN
9784041140413

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©野生動物と暮らしてみたら展


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