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この連載では、お魚や水の生きものが大好きな子が自由研究や調べ学習・探究学習などで思わず試してみたくなるアイデアを紹介していきます。第一線で活躍する現役研究者の先生たちにヒントや方法を教わりながら、観察・工作・実験・フィールドワークを通じて「研究」を学ぶことができます。角川の集める図鑑GET!シリーズでも大好評『GET!魚』を監修した魚のスペシャリストの先生たちと一緒に、小学生が実際に取り組めて、学校などで発表できるものを紹介しますのでお楽しみに!![月1回更新予定]
ハリセンボンの針は本当に1000本あるの?
第3回 ハリセンボンの針をかぞえよう
お魚や水の生きものが大好きな子が自由研究や調べ学習・探究学習などで思わず試してみたくなるアイデアを紹介していきます。第3回はハリセンボンという魚を使った驚きいっぱいの実験です。ぜひ試してみよう!
※手順をよく読み、安全に注意して行ないましょう。小さい子は大人に手伝ってもらいましょう
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■おすすめの年齢
<小学校低学年から>
自由研究で一番大事なことは、まず「疑問」を持つことです。
身近なことで「なぜだろう?」「どうしてそうなるのかな?」という疑問から研究が始まります。普段、いろいろな魚や水の生きものを見たり飼ったり食べたりするなかで、疑問があったら、ぜひそれを研究にしてみてください。
今回は、どのように疑問を持てばいいのか分からない人のために、疑問から研究を始める方法を紹介します。
みなさんはハリセンボンという魚を知っていますか?
身体にトゲトゲがたくさんあるこんな魚です。
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たとえばこのハリセンボンを見た時に、あなたはどんな疑問を持ちましたか?
「ハリセンボンという名前だけど、本当に針が1000本あるのかな」
この疑問は研究をするうえで、充分に立派な疑問です。
「こんな疑問じゃダメかな?」などと思わずに、何でも良いのでいろいろなことに疑問を持って、その疑問について自分で調べればそれが研究になります。
今回はこのハリセンボンの針が本当に1000本あるのかを調べてみましょう。
■用意するもの
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・ハリセンボンの魚 1匹
・粘土(色のついた粘土だと楽しい気分になるよ!)
・軍手(ハリセンボンの針で手を怪我しないように軍手を付けてね!)
■方法
① まず港などでハリセンボンを柄の長い虫取り網や釣り針で引っかけて入手します(生きている場合は冷蔵庫で一晩置きます)
② 粘土を丸くして小さな粘土玉をたくさん作ります
③ ハリセンボンの針ひとつひとつに粘土玉を数えながら挿していきます
(10本挿したら粘土玉の色を変えると数えやすいよ!)
④ ハリセンボンの針ぜんぶに粘土玉を挿したら実験は完了だ!
■観察を終えたら図鑑をチェック!
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ハリセンボンのことが知りたいなら角川の集める図鑑『GET!魚』70ページへ
実験を終えたら、角川の集める図鑑『角川の集める図鑑GET! 魚』70ページを読んでみましょう。
ハリセンボンの生態はもちろんのこと、針についてのヒントも書かれています。またハリセンボンがどのような環境にすんでいるのかもわかります。学校などで研究の発表をする時には、図鑑に書かれていた情報も入れると、さらに良い発表になりますよ。
■先生からのアドバイス
覚えやすい名前なので知らない人はいないほどの有名人ならぬ有名魚のハリセンボンは一度みたら忘れられない変わった姿をしています。しかし、この姿も彼らにとっては生き残るための重要な戦略、何万年もの進化によって辿り着いた姿なのです。からだが膨らんでいないときは倒れていた棘(とげ)が、膨らんだとたんに見事に立ち上がるのはなぜでしょう?一見すると同じ長さの棘が全身をおおっているようにみえますが、実は棘が短いところもあれば、そもそも棘がないところもあります。単純に数えるだけでなく、どんなところにどんな棘があるのか? またはないのか? それはなぜか? いろんな角度から観察して、たくさんのなぜ?を探してみましょう。
港などでハリセンボンをすくうには長い柄の網が必要です。釣り用の網があればもちろんOKですが、ない場合はホームセンターなどで長い棒を買って、その先になるべく網目の大きな虫網をしばりつけた自作の網を用意することでより採集はしやすくなります。(文・監修=小枝圭太)
☞小学生のみんなにお薦めの本
『磯魚ワンダー図鑑』(新書館)
■先生のプロフィール
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小枝圭太(こえだけいた)
1986(昭和61)年生まれ。琉球大学理工学研究科で学位取得。
博士(理学)。鹿児島大学総合研究博物館 特別研究員(PD)、台湾の国立海洋生物博物館 海外特別研究員、黒潮生物研究所 研究員、東京大学総合研究博物館 特任助教を経て、現在は琉球大学理学部海洋自然科学科生物系 助教として魚類に関する研究や教育活動に従事している。
研究室HPはこちら!!
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