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子どもの発達お悩み相談室 第31回 「トイレでうんちしない5歳の娘。最近はお漏らしして帰ってきます。できたことができなくなるなんてあります?」


みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。※金曜・不定期更新

Q31:トイレでうんちしない5歳の娘。最近はお漏らしして帰ってきます。できたことができなくなるなんてあります?

■家族状況
ゆきママ(相談したい子の母、20代後半)、長女(相談したい子、5歳)きょうだいはいません。一人っ子です。

■ご相談
 5歳なのに未だにトイレでうんちをしません。したくなったら自分でオムツに履き替えてやります。おしっこは、トイレでやる時もありますが、トイレでしたくないせいかうんちしたいと嘘ついてオムツにおしっこしたりします。今、娘は保育園の年長さんで来年、小学校に上がります。娘の同級生たちはみんなトイレで出来てるのに私の子だけ出来ないからとても恥ずかしくて誰にも相談できませんでしたが、ここを見つけてすぐ相談しようと思い投稿しました。今まで無かったのに最近から、パンツにお漏らしをして保育園から帰ってきます。うんちの時もありおしっこの時もありました。なんとか、トイレで上手にうんちやおしっこをさせたいのですが、教えようとしても「いやだ」と泣くので私も、呆れてものも言えません。小学校上がる前にはなんとか教えたいのですがどうしたらよろしいでしょうか?

 あと、気になることが1つ。トイレを流す際、怖いのか、大きい音などにはとても敏感で必ず耳をおさえます。トイレの流れる音、掃除機の音、花火など。また、落ち着きもありませんし、食事中他のことに気を取られるとそちらに行ったりもします。私は発達障害を疑っています。でも、実際に発達障害を持つお子様などスーパーなどで見かけたら、うちの子はそうでもないのかなぁなんて思ったりもしますがどこか不安です。もうどうしたらよろしいでしょうか? 言うことも聞かないので疲れてしまいます。

A. 専門家の回答

これまでできていたのになんで、と責めずに支えましょう。

それまでできていたことができないのは「退行」
 うんちだけではなく、おしっこもトイレではできずにお漏らしするようになった、「今までは無かったのに」というのが気になります。

 それまでに獲得したスキルが戻ってしまうことを「退行」と言います。繋がっていた脳内のネットワークがなんらかの理由で切れて、スキルが消失したのかもしれない、という状況が考えられます。

圧力を感じているのかも?
 なぜできなくなったのか、詳しくはわかりませんが、ゆきママさんの「恥ずかしい」「誰にも相談できない」といった気持ちを、娘さんが薄々感じてそれがストレスになっているのかもしれません。トイレで絶対にさせたい、という気持ちが強すぎて、圧力になっている可能性もあります。

 実はトイレトレーニングが、子どもだけでなく、親の接し方の問題を含んでいることが少なくないのです。親の方ができないことに過敏になり、ますます子どもを追いつめてしまい、さらにトイレトレーニングを難しくさせる、そんなことがよくあります。

 子どもはこちらが思っている以上に、親の顔色や思いを強く受けて止めてしまいがちです。ハラハラ、イライラせず、そのうちまたできるようになるわね、くらいにおおらかに受け止めて接してはどうでしょう。

音過敏があることを理解する
 明らかなのは、娘さんは「音」に対して過敏に反応する特性がある、ということです。耳をおさえるというのは、よほどその音を嫌がっているということです。同じ音でも、ゆきママさんが聞いている音より、大きく聞こえているのかもしれません。

 だとすれば、トイレでできないのは、流すときの音が嫌なのかもしれません。トイレを流す水の音は、自分が出したものをきれいにしてくれる音で、小さい音だと流れていってくれないからこれだけ大きな音になっているんだよ、ということを説明してみてください。トイレに行くときは音を遮断する耳栓をつけるという方法もあります。

 また、発達障害と診断されたお子さんで音や感覚などに過敏に反応するお子さんはいますが、過敏がある=発達障害、ということでは決してありません。

発達にはバラツキがある
 食事中に落ち着きがないのは、例えばテレビがついていたり、見えるところにオモチャがあったりということはありませんか。気が散りやすいお子さんの場合、食事に集中できるよう、環境を整えてあげることが大切です。

 発達は十人十色で、子どもによって色々なバラツキがあるものです。娘さんの場合、他のことは大体できていてトイレの問題しかないわけです。「しかない」を「がある」と思わないように。できていることを認めてあげましょう。

 他のお子さんと比べて、ゆきママさんが恥ずかしくなる必要はありません。多かれ少なかれ、他のお子さんにもできない何かはあります。まずはありのままの娘さんを受け入れてあげてください。そして、どうすればできるかな、とサポートしましょう。
 

(※第32回は2月4日(金)に更新されます)

発達に関するご相談を募集しています

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久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。

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