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「自閉傾向があり知的な遅れもある5歳の娘。トイレトレーニングが進まず、闇の中にいるような気分です。」子どもの発達お悩み相談室


みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。

 

Q22:自閉傾向があり知的な遅れもある5歳の娘。トイレトレーニングが進まず、闇の中にいるような気分です。見まもるしかないのでしょうか。

■家族状況
サチママ(相談したい子の母、30代後半)、夫、長女、次女(相談したい子、5歳)、三女

■ご相談
 うちの次女は5歳8ヶ月ですが未だに排泄の自立ができていません。日中はオムツはやめて布パンツにパットをあてていますが排尿も排便も事後報告は一切ありません。私も頭では分かっていますが、いいかげん出たことくらい教えてくれてもいいのかなって思っています。でも、なかなか進みません。
 トレーニングは朝と寝る前にオマルに座っていますが、排尿もほとんど見られませんし出そうになると立ち上がり抵抗します。なんだか全然進まないので闇の中にいるような気分です。ただ見守るしかないのでしょうか? 診断は自閉傾向で、知的な遅れもあります。

A. 専門家の回答

「のんびりなんだな」と、おおらかに。親子が毎日楽しく過ごす方が大事。

自閉傾向があるとトイレトレーニングが遅い場合がある
 トイレトレーニングは、自閉傾向のあるお子さんの場合、遅い傾向があります。ご相談の娘さんの場合は、知的な遅れも見られるということなので、上や下のお子さんと同じようにはいかず、とまどわれているのだろうと思います。
 
 自閉傾向があるお子さんの中には、肌触りや匂いなどの感覚が過敏なお子さんもいますが、その逆で、気にならない、感覚が鈍い「鈍麻」というお子さんもいます。娘さんは、もしかするとパッドに排泄した後、気持ち悪い、という感覚がわかりづらいのかもしれません。そういうタイプのお子さんもいます。

娘さんが納得してできる場所を探す
 また、出そうになると立ち上がって抵抗する、というのは、オマルでトイレをしたくない、という意思表示なのかもしれません。サチママさんからすれば、オムツやパッドではなく、オマルに座ってするのが当たり前、と思われているでしょうが、娘さんにとってはそうではないようです。

 なら、どこでならできるのか。娘さんが納得してできるところ探してみるのもいいですね。トイレに子ども用便座を置くのがよいのか、大人と同じようにトイレにそのまま座りたいのか。色々試してみてはどうでしょう。

のんびりなんだ、と開き直る
 トイレトレーニング中は、うまくできずに後片付けが大変だったりして、そこばかりに目がいきがちです。「またできなかった」と毎日毎日思い続けていると目の前が真っ暗になってしまうのもわかります。

 でも、発達に遅れや特性のあるお子さんの場合、やはり、何をするにも時間がかかりがちなので、「この子はのんびりなんだよね」と思うしかありません。神経質になって自分を追い詰めると、お子さんを追い詰めることになります。

大切なのは、楽しく生活すること
 親が「なんで!?」と必死になればなるほど、子どもは思い通りにならないものです。できないことではなく、できることを見てあげましょう。

 何より大切なのは、親子が日々できるだけ楽しく生活すること。トイレトレーニングが大変だったら、「今日はオムツにしちゃおっか」とトレーニングせずオムツの日があったっていいと思います。「毎日やらなきゃ」とがんばりすぎないでいいですよ。サチママさんはもう十分がんばってるのですから。

「うちの子ちょっと変わってる?」子どもの発達お悩み相談室はこちらから

久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。


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