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トイレトレーニングの本当の目的はおむつを取ることではない⁉ 専門家に聞く正しい進め方


1歳半を過ぎたあたりから「そろそろトイレトレーニングをしたほうがいい?」と、気になり始めるママ・パパもいますよね。お茶の水女子大学特任教授で、幼稚園教諭やこども園の園長なども務めてきた宮里暁美先生に、トイレトレーニングの基本や疑問点について話を伺いました。

年齢ではなく子どもの成長に応じてトイレトレーニングをスタート!

「トイレトレーニング」は、“トレーニング”という言葉から、親が頑張らなくてはいけないもの!と、気合いが入ってしまうママやパパもいるかもしれません。しかし、神経質にならなくて大丈夫! ゆったり構えて、子どものペースに合わせて進めていきましょう。具体的に何歳になったら始めるという決まりはありません。年齢よりも子どもの成長の中で見られる「サイン」に注目してみましょう。

 

そろそろトイレトレーニング?のサイン

①ひとりで歩くことができる
ひとりで歩けるようになったのは大脳皮質が発達してきたしるし。おしっこがたまる感覚や、おしっこをしたいという意識が少しずつ持てるようになってきます。

②言葉の理解が進み、少しおしゃべりができる
「おしっこ出る?」と聞いたことが理解できたり、「おしっこしたい」という意志を伝えたり、言葉でコミュニケーションが取れるかどうかは重要なポイント。

③おしっこの間隔がある程度あくようになった
1歳半~2歳半くらいになると、おしっこの間隔が2時間くらいあくようになってきます。すっきりした顔になる、ブルブルッと震えるなど、普段から子どもの「おしっこ出たサイン」を観察するようにしてみましょう。

トイトレ


トイレトレーニングを始められるサインが見られたら、少しずつ始めていきましょう。その際、いきなりトイレでおしっこをさせるのではなく、「おしっこ出た?おむつ替えようか?」「(おしっこ出たと言われたら)おしっこ出てよかったね」という声かけからスタート。子ども自身が「トイレでおしっこをしてみたい!」と言うまで、気長に待って大丈夫です。

<トイレトレーニングを始めたらここに注意!>
●頻繁に声をかけすぎない

成功させたいと思うばかり、「トイレに行こう」「そろそろ出るんじゃない?」などと頻繁に声をかけてしまいがち。そうすると、子どもがトイレにいくことを面倒に感じてくることもあります。

●もらしても怒らない
ママやパパが「トイレでおしっこをして欲しい」と力が入り過ぎると、おもらししたことに対してイライラしてしまうことも。失敗はつきもの、「トイレでできたらラッキー」くらいにゆったり構えましょう。

 
 




トイレトレーニング中のママ・パパからのリアルなお悩みにアンサー!



 

今、トイレトレーニングをしている人、これからしようと思っている人は、実際にどんなことに悩んでいるのでしょう?宮里先生に答えてもらいました。


Q:保育園では成功しているようですが、土日でおむつに戻ってしまいます。

A:園ではがんばっているのかも! 子どものペースでOK
園では他の子どもが刺激になってがんばってトイレに行っているけど、自宅では行きたくない!という子どももいます。おむつになったり、パンツになったり、排泄の成長は行ったり戻ったり。「いつでもおむつに戻っていいんだ」という安心感が子どもを成長させます。「今日はおむつがいい」と言ったら、「そうなんだね」と言っておむつをはかせてあげて大丈夫。
あとは、お出かけなどのママやパパの都合で、トイレに頻繁に連れて行くのが難しそうな時もあると思います。そんな時は「今日はお出かけするから、おむつにしてもいい?」と子どもに話してみましょう。親も子も無理することはありません。

 

Q:トイレでおしっこはできるけど、うんちをすることができません。

A:体のために大事なことは、うんちが出ること。トイレにこだわらないで。
このお悩みもよく聞きます。便器に座った時に足がぶらぶらしていて踏ん張れない、おしりからうんちが落ちる感覚を不安に感じる、単純におむつでしたいなど、そこには子どもなりの理由が存在しています。
「トイレでうんちをする」ということをゴールに考えてしまうと、うんちを我慢するようになる子もいて、便秘の原因にもなります。そのため、おむつにでもトイレにでもうんちを出すことをゴールとしましょう。
おむつでうんちをした場合も、「うんちの居場所はトイレ」ということがわかるよう、一緒にトイレに行って「うんち流そうね」と声をかけてあげるのがいいですね。




Q:自宅のトイレにしか座りたがりません。外出中はどうすればいい?

A:外のトイレが嫌な理由があるはず! 
先ほどのうんちの話と一緒で、子どもなりの理由があることが考えられます。3歳の女の子が園のトイレに座りたがらないという話を聞いたことがあります。隣にママがいればできることもあり、1時間おきにママが園に来ていた時期も。その子の嫌な理由は「トイレを流す時の流水音が大きくて怖い」ということでした。
あくまでも排泄することが目的なので、無理に外のトイレを使わせなくても大丈夫。外のトイレに慣れさせる目的で、外出するたびに、「ここはどんなトイレか見てみようか?」と、トイレ探しツアーをするなど、楽しく進められるといいですね。

 

Q:5歳になっても寝る時のおむつが取れません。病院に行った方がいい?

A:小学生になってもおねしょをすることもあります。焦らなくて大丈夫!
夜間に作られるおしっこの量は、「抗利尿ホルモン」によって左右されています。1歳ごろまではこのホルモンがほとんど分泌されないため、夜間でも大量のおしっこが作られるのです。5歳ごろから分泌量が増えるため、おねしょをする回数が減って来るのですが、そこにも個人差があります。
私には3人の子どもがいますが、小学生になってもおねしょをしていた子もいました。心配で夜中に起こしてトイレに行かせたり、寝る前の水分を制限したりもしましたが、何をしてももらしてしまうことはあります。子ども自身に抵抗がなければ、寝る時におむつをはかせていてもOK! 私は病院には行きませんでしたが、ママやパパが心配なら、行ってもいいと思いますよ。



Q:今、年少さんの3歳半。トイレに興味を示さず、まだおむつをしています。このままでいい?

A:集団生活を送る中で刺激を受けて、トイレに行くことを意識するかも!
幼稚園などの集団生活を送っていると、トイレがクローズアップされることがあります。お友達がトイレに行っているのを見る機会も増えるので、刺激を受けて少しずつ興味を持つかもしれませんね。
ママやパパのほうに焦る気持ちがあるかもしれませんが、「できないと恥ずかしいよ」「トイレでしなきゃだめだよ」などと追い詰めないよう、子どものペースで進めていきましょう。
大人が焦るほど子どもは不安になって、おむつに固執してしまう場合もあります。「いつか必ず」を信じて、おおらかに構えているようにしましょう。
“かっこいいパンツ”、“かわいいパンツ”を用意すると履いてみたい、というかもしれませんよ。その子がおむつのほうが安心するなら、納得いくまでおむつでいればOK! その子のタイミングでトイレに行くようになります。

Q:子どものペースでいいと思いつつ、私自身が焦ってしまいイライラ……。

A:おむつが取れないのは親のせいではありません!
トイレトレーニングがなかなか進まないと、焦ってしまいますよね。特に一人で悩んでいると、焦る気持ちがだんだんイライラに変わってきてしまうことも。おむつが取れているか取れていないかは、この時期にわかりやすい成長の基準だからかもしれませんね。
しかし、ハイハイや歩くことにトレーニングはありません。初めて歩けた時は喜びの方が大きく、歩くのが遅いことが心配にはなったかもしれませんが、焦ったりイライラしたりはしなかったと思います。
「トイレトレーニングは、親の力で早くできる」と力が入ってしまいがちですが、成長の中の一点の話。子どもと一緒にトイレの絵本を読んだり、トイレを楽しい雰囲気にしたり、「ま、いっか。おむつでも」と、気楽に考えてみてください。

 

いつかはおむつ→パンツになる。大人が焦らず子どものペースで!

「あの子はもうおむつが取れた」「お兄ちゃんの時は2歳で取れていた」「入園までにパンツにしなきゃ!」など、ママやパパの中では焦る気持ちがあると思います。しかし、トイレですることに集中し過ぎず、あくまでも「おしっこを出す」「うんちを出す」ことを最優先で考えるようにしましょう。トントン拍子でパンツになる子もいれば、ゆっくりペースの子もいて当然! いつかはおむつが取れる時がくるので、焦らずにサポートすることが大切です。





監修:宮里 暁美(みやさと あけみ)

お茶の水女子大学特任教授
お茶の水女子大学こども園園長として園運営に携わり、「つながる保育」を主軸に置いた教育・保育活動を展開。保育の現場や保育者の養成に30年以上にわたり従事。

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