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トイレトレーニングにおすすめの絵本11作品を厳選! 選び方のポイントもご紹介


赤ちゃんのころはおむつでおしっこやうんちをしますが、成長に合わせて徐々に「トイレでおしっこやうんちをする」ように促していく必要があります。トイレでおしっこやうんちができるように訓練することをトイレトレーニングと言います。しかし、おむつからトイレに移行することは簡単ではありません。うまくトイレトレーニングが進まないことで、大人のほうが精神的に追い詰められてしまうこともあります。

前向きな気持ちでトイレトレーニングするために、絵本は親にも子どもにも役立ちます。そこで、絵本専門士・高橋真生さんに、トイレトレーニングにおすすめの絵本を紹介してもらいました。選び方のポイントも解説してもらったので、大人と子どもが一緒に楽しくトイレに向き合うきっかけにしてみてください。

(※表紙の画像を押すと、それぞれの作品ページへ飛ぶことができます)


もくじ

いつから始める? トイレトレーニングに絵本を使うメリットとは?


トイレと排泄について教えてくれる絵本

トイレとパンツに親しむ絵本

トイレに行ってみよう! と思える絵本

親子の気持ちや不安を解きほぐす絵本

 

いつから始める? トイレトレーニングに絵本を使うメリットとは?

焦りは禁物!  始める時期を見極めることが大事

はじめに、トイレトレーニングを始めるのは、いつごろからがいいのでしょうか?

高橋さん:
「トイレトレーニングは、心身の準備が整ったタイミングで始めます。一人で歩く・おしっこの間隔が空く・尿意や便意を自覚し大人に教える、といったことができるかどうかが目安です。年齢によって一概に言えるものではなく個人差がありますが、焦る必要はありません」

膀胱が大きくなっておしっこを溜められるようになるといった身体的な成長も必要ですが、大人に意思を伝えられるということが大切です。

トイレトレーニングに絵本を使う理由

トイレトレーニングに絵本を使うことは、どういった効果があるのですか?

高橋さん:
「状況に合った絵本を読むことで、子どもの気持ちに寄り添いながら、排泄の自立を促すことができます。幼い子は、トイレや排泄についての知識がありません。特に、保育園や幼稚園に入っていなかったり、きょうだいがいなかったりする環境では、トイレやパンツに当惑してしまう子も多いものです。そんなとき、絵本は子どもの理解を助け、不安を解消してくれます。絵本の中でのトイレの成功体験は、子どもの実際の行動のヒントにもなります。

また、絵本には、なかなかうまくいかないトイレトレーニングで行き詰まりがちな親子の気持ちを楽にしてくれる効果もあります。トイレではなく絵本についておしゃべりする中で、トイレトレーニングがうまくいかない理由がわかったり、子どもの気持ちが前向きに変化したりすることもあるでしょう。もし、おまる・補助便座・トイレ・踏み台など、絵本とおうちの違いにお子さんが戸惑うようであれば、『絵本とは違うけど、こうすると座りやすいね』などポジティブな声をかけてあげてください」

大人にとっては当たり前の「トイレ」や「パンツ」も、子どもにとっては未知のもの。絵本の登場人物たちが、ポジティブにトイレに向き合っている姿を見ることで、子どもたちがトイレに行くきっかけになります。
トイレトレーニングの段階や、つまずきやすいポイントはさまざまです。お悩み別に絵本の選び方やおすすめ作品を紹介します。

トイレと排泄について教えてくれる絵本

「トイレってどんな場所? 何をするところ?」という基本から解説

トイレトレーニングをスタートさせようかな……と考えているタイミングの子どもには、どんな絵本を選んであげるとよいのでしょうか?

高橋さん:
「生き物は食べたら必ず排泄をするということ、大きくなったらおむつではなくトイレで排泄するということが、明確に描かれた絵本がおすすめです。
自分のおしっこやうんちにびっくりしてしまう子、トイレに行きたがらない子はたくさんいます。トイレトレーニングを始める前にこのような絵本を読むと、子どもたちは、トイレや排泄に興味を持ちますし、心の準備をすることもできます。
また、絵本で同じ年齢くらいの子がトイレを使っているのを見ることで、子ども自身が『もう自分もトイレを使うお兄(姉)ちゃんなんだ』と理解します。トイレが成功したらシールを貼るといったことに興味がない子、飽きてしまった子がやる気を出すこともありますよ」

おまるトレーニングに最適『うんちがぽとん』(アリス館)



さくまゆみこ / アロナ・フランケル

トイレトレーニングの過程を描いた、イスラエルの絵本作家による1984年発行の、世界各国で読まれているロングセラーです。おむつでうんちとおしっこをしてきたまあくん。ある日おばあさんからプレゼントをもらいます。中身はおまるでした。さっそくおまるを使おうとするまあくんですが、失敗してしまうことも……しかしついに……! 最後はうんちとおしっこに「バイバーイ!」。

高橋さん:
「排泄について丁寧に説明している絵本です。小さいうちは、おむつでおしっことうんちをするけれど、少し大きくなったら、おまるでするということがよくわかります。かわいらしい絵とユーモアのある文章も、子どもたちの心に合うようです。トイレトレーニングがうまくいかずにおむつに戻る場面もあり、『うちの子どもと同じだな』とほっとしたというママ・パパもいます。
なお、おまるではなくトイレを使うというご家庭でも、『絵本ではおまるだけれど、うちではトイレを使おうね』と説明すれば、低年齢の子でも無理なく理解できます」

うんちについて学べる科学絵本『みんなうんち』(福音館書店)



五味 太郎 作

大きいゾウは大きいうんち、小さいネズミは小さいうんち、あなたのうんちはどんなうんち?  うんちの形や仕方は色々あるけれど、生き物はみんなうんちをするんだということを教えてくれる「うんち」について学べる絵本です。

高橋さん:
「いろいろな動物のうんちと排泄を描いた、ユーモアたっぷりの科学絵本です。
うんちの形も、大きさも、色も、うんちをした後どうするかも、みんな違う。けれども、『食べるからうんちをする』というのはみんな同じ。子どもたちは、うんちが汚いというイメージを持たずに、排泄について学ぶことができます。
また、この絵本のポイントは、人間がうんちをする姿が、世代ごとに描かれていること。大人と子どもはトイレですが、少し小さな子はおまる、赤ちゃんはおむつでうんちをしています。子どもたちに、おむつはいつか卒業するのだという気付きや、大きくなったらトイレでするのだという憧れを与えてくれる絵本でもあります」

トイレとパンツに親しむ絵本

トイレやパンツへのネガティブな気持ちを絵本で吹き飛ばそう!

トイレトレーニングの悩みでは、怖がってトイレに行きたがらない、パンツを嫌がってはかないというものも多いようです。そんなときにはどのような絵本がよいのでしょうか?

高橋さん:
「トイレやパンツが出てくる、楽しい物語絵本や、しかけ絵本がおすすめです。
特にトイレについては、怖い・暗い・寒い・よくわからないなど、ネガティブなイメージを持っている子どももいます。トイレが暗くて怖いといった子どもには、トイレをできるだけ明るくして、絵を飾り楽しい雰囲気にするなど、現実的に対処できることをしていただくのはもちろんですが、トイレが出てくるお話を読むことで抵抗感が減り、トイレをグッと身近に感じることができるでしょう。
また、幼い子は自分の気持ちを明確に言語化することができませんが、『こういうトイレがいいな』などの感想から、トイレトレーニングにつまずいている原因がわかることもあります」

トイレが主役の愉快な絵本『おトイレさん』(教育画劇)



きたがわめぐみ さく・え

“おトイレさん”は、トイレをしたい子どもたちを愛する優しいトイレ。おトイレさんが歩いていると、トイレをしたい動物たちがやってきて、おトイレさんでうんちやおしっこをしていきます。まだ上手にトイレができない子には、おトイレさんが歌って踊って応援!  最後にはダジャレのおまけつき。楽しい雰囲気で、トイレデビューができる強い味方です。

高橋さん:
「こちらの絵本は、なんとトイレが主人公です。ちょびひげがトレードマークの『おトイレさん』は、とっとことっとこと歩いて、出会った動物たちにおしっこやうんちをさせてあげます。
トイレ初挑戦のきりんのぼうやへの応援やダジャレは、実際にトイレに行ったお子さんへの声かけとして使うと効果抜群。緊張をほぐしてくれます。『いっトイレー』『がんばれっ うーん!』『トイレで すっキリン!』など、絵本を読んだ後にはぜひ試してみてくださいね。
明るくてとぼけた味わいの絵本ですから、トイレトレーニングを始めるころに読むことで、子どもがトイレに好感を持つようになります。また、トイレを『怒られる嫌なところ』と認知してしまったお子さんにもおすすめです」

自然とトイレに行きたくなる絵本!『トイレ トイレ』(小学館)



作/西村敏雄

森の木の下にポツンとある、真っ白なトイレ。動物たちが次々にやってきて、うんちやおしっこをしていきます。すっきりしたら、最後はお水を「じゃー」。最後にやってきたうさぎは、なかなかうんちが出てきません。すると、どこかから励ます声が……うさぎはうんちがでるのでしょうか?  座って、排泄をして、水を流すというトイレの使い方が自然と理解できる生活絵本です。

高橋さん:
「子どもたちに、トイレでおしっこやうんちをしてみようかな、と思わせてくれる絵本です。たくさんの動物が出てくるので、『しー しー しー』『ぶっぼーん!』など、排泄の音もいろいろ。音の楽しさを味わえるのに加え、子どもたちが排泄に関心を持つきっかけにもなるでしょう。『じょぼじょぼだったよ』『たくさん食べたから、ぞうさんだったよ』などと教えてくれる子もいます。
排泄の後、『あー すっきり』とみんなが笑顔になるのもポイントで、おむつでは感じづらい、排泄後のスッキリした気持ちよさが伝わります。
絵も色遣いも穏やかなので、親子ともにトイレトレーニングに気づまりなときなどにもおすすめです」

パンツがはけるまでを描いたベストセラー『はけたよはけたよ』(偕成社)



文:神沢利子(かんざわとしこ) 絵:西巻茅子(にしまきかやこ)

たつくんはひとりでパンツをはけません。はこうとしては「どでん!」と転んでしまいます。嫌になったたつくんはパンツをはかないまま外に飛び出しますが、犬や猫たちがやってきて、たつくんのお尻を「しっぽのないおしり」と笑うのです。失敗を重ねながら自分なりの工夫でパンツがはけるようになるまでを描いた1970年発行のロングセラー作品。たつくんのお母さんのおおらかさにも注目です。

高橋さん:
「トイレトレーニングは、『自分でしたい』と『まだ上手にできない』の狭間で、気持ちが不安定になる時期と重なることも多いものです。
この絵本の主人公たつくんも、自分でパンツをはこうとしますが、何度チャレンジしても失敗ばかり。
嫌気がさして、パンツもはかずに外へ駆け出してしまったたつくんに、子どもたちは笑いながらも共感し、最後にはちゃんと自分でできるようになることに満足します。
パンツをうまくはけず、『おむつはよかったな』と思う子もいるでしょう。そんなときに、『必ずはけるようになるよ』と応援できる、あたたかな絵本です。
もしトイレで排泄できなくても、上手にパンツがはけるようになったら、ぜひそのことをほめてあげてくださいね」

さまざまなパンツが登場する楽しいしかけ絵本『しろくまのパンツ』(ブロンズ新社)



tupera tupera

NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションでもおなじみのアートユニット「tupera tupera」によるしかけ絵本。パンツをなくしてしまったしろくまさん。そこにねずみさんがやってきて、一緒にパンツを探しにいくことになります。しましまのパンツ、花柄のパンツ、水玉のパンツ……色々なパンツがありますが、しろくまさんのパンツはなかなか見つかりません。物語のラストにはあっと驚く発見が!

高橋さん:
「表紙のしろくまさんがはいたパンツを脱がしてから読む、とにかく楽しいしかけ絵本です。しろくまさんの行方不明になったパンツを探しながら、みんなのおもしろパンツを見ることができます。
『お兄(姉)ちゃんパンツ』という呼び方があるように、トイレで排泄ができ、パンツをはいている子は、子どもにとってもやはりかっこいいもの。それでも、『紙パンツの方が楽』『おむつの方が安心』という気持ちが、トイレトレーニングを妨げてしまうというケースも多く見受けられます。
こういった絵本で、パンツへの親しみを持たせてあげた後、お気に入りのパンツを探し、その動きやすさや気持ちよさを教えてあげてくださいね。
続編に『ねずみさんのパンツ』(ブロンズ新社)があります」

トイレに行ってみよう! と思える絵本

トイレについて実践的に学ぶ!  トイレに行きたがらない子どもの気持ちを描いた絵本も

トイレを怖がっているわけではないのに、自分からトイレに行くことを嫌がるパターンもあります。そんなときはどんな絵本がよいのでしょうか?

高橋さん:
「リアリティがある絵本、子どもが共感できる内容の絵本がおすすめです。トイレで実際にする動作がわかりやすく解説されていたり、子どもたちがトイレに行きたくないと感じるような状況が描かれていたりすると、興味を持ちやすいと思います。
本当はもうトイレに行けるのに、面倒くさい、他にしたいことや気になるものがあるという理由で、トイレに行かない子もいますよね(遊びに夢中になっていて、尿意や便意に本当に気づけないこともあります)。イヤイヤ期には、そもそも『大人の言う通りにするのは何であっても嫌』という気持ちになりがちです。そういうときでも、子どもがふと絵本を思い出して、自主的に、もしくは素直に、トイレに行くことが出てくると思います。
また、大人が子どもの気持ちや事情を理解することで、子どもの困った言動にも、上手に接することができるようになるはずです」

男の子のトイレトレーニングにぴったり!『おとこのこトイレ』(ポプラ社)



監修/江東区南砂さくら保育園 絵/jinco

男の子のトイレの仕方を具体的に解説した、男の子のトイレトレーニング絵本。座っておしっこをするときのポイントや、立ってするときのポーズ、女性にはなじみのない小便器の使い方ガイドも掲載しています。同じシリーズで女の子のトイレトレーニング絵本もあります。トイレトレーニングに向けて、大人も読んでためになる一冊です。

高橋さん:
「おしっこに行きたくなってからの流れと、具体的な動作を教えてくれる、男の子用の絵本です。女の子用には、『おんなのこトイレ』があります。2冊とも、物語ではなく解説系の絵本なので、トイレに興味を持ったときにイメージトレーニングとして、トイレを使った後の復習として読んであげると、より理解が深まります。
大人の方は、まずご自分で読んでみてください。子どもに教えるべきポイントが整理できます。異性のトイレのことはわかりづらいこともありますし、同性でも、簡潔にわかりやすく説明できるようになります。たとえば男の子が立ってするときの『えびさんのポーズ』のように、短く・楽しく・イメージが伝わるフレーズは、子どもへの声かけに積極的に取り入れるとよいですね」

元保育士の作者による実体験のトイレ絵本『はるちゃん トイレ』(文溪堂)



中川ひろたか(文) 田中靖夫(絵)

はるちゃんが砂場で遊んでいたら……ん? なんだかトイレに行きたくなったみたい! お母さんに促されて、トイレに向かいますが、他のことに気を取られているようです。はるちゃんは無事にトイレをすませられるのでしょうか?  作者の中川ひろたかさんは元保育士。現場の実践経験をもとに作られたトイレ絵本です。

高橋さん:
「遊びに夢中で尿意や便意に気づかないのは仕方がありませんが、自分でも気づいているのに遊びを優先したり、声をかけてもトイレに行かなかったりすると、大人はハラハラしてしまいますよね。
この絵本のはるちゃんも、お砂場遊びの最中にうんちに行きたくなります。お母さんの声かけですぐにトイレに向かったものの、とにかく寄り道ばかりです。
けれども、はるちゃんの行動は、幼い子の行動そのもの。子どもたちは、はるちゃんを身近に感じ、トイレが成功したときには一緒に達成感を味わえると思います。また、おなかがむずむずしたらトイレに行くということも学べます。
リズミカルな音と味のある絵も楽しい、『もう1回!』のリクエストが多い絵本です」

 夜の一人トイレに勇気を与えてくれる! 『まよなかのおしっこ』(KADOKAWA)



作:さいとう しのぶ

今日からひとりで寝ると宣言した男の子。そしたら真夜中にトイレに行きたくなってしまいました。夜のトイレはなんだか怖い……おばけが出てきたらどうしよう……子どもならではの気持ちをユーモアたっぷりに描いた絵本です。絵本には「おばけちゃん」が隠れています。あなたは全部見つけられますか?

高橋さん:
「こちらは、トイレトレーニングが完了している男の子が主人公の絵本です。トイレは上手にできるけれど、夜中に一人でトイレに行くとなると、おばけが怖い。どうしよう!
一度怖いと思ってしまうと、そこから抜け出すのは難しいものですが、男の子は想像をむくむくと膨らませては自分で突っ込み、トイレへと進んでいきます。思わず親子で『なんでやねん!』と言ってしまうようなエンディングですが、無事にトイレに行けたその姿に、子どもたちは『自分も大丈夫』と思えるでしょう。
関西弁が効いていてなんともユーモラス、絵の中に隠れているおばけを探すのも楽しく、幅広い年齢に人気の絵本です」

親子の気持ちや不安を解きほぐす絵本

トイレトレーニングがうまく進まない……そんなときはリラックスが大事!

トイレトレーニングの進み具合や困り事は個人差が大きく、ついつい周りと比べてしまって、大人がトイレトレーニングに対して前向きになれないということもあります。

高橋さん:
「そんなときはリラックスできる内容の絵本や、親子で触れ合う要素のある絵本がおすすめです。ほのぼの、ユーモラス、まったりと、お好きなテイストの絵本でかまいません。
トイレトレーニングの疲れから、親がつい子どもを叱ったり、ため息をついたりしてしまうことがあるかもしれません。『入園までにできるようにする』などの期限や、周囲からのプレッシャーがあると、どうしても焦ってしまいますよね。
子ども自身も、失敗すれば当然傷つきますし、叱られたくない、大人にがっかりされたくないという気持ちを持っています。
状況が許せば無理をせず中断するのも一つの方法ですが、そうできないとき、親子の空気がピリピリしてしまったときの気分転換には、絵本がぴったりです。絵本の世界に入ってしまえば、自然と呼吸が深くなり、気持ちも楽になると思います」

前向きにトイレトレーニングに向き合えるようになる一冊『ぷくちゃんのすてきなぱんつ』(アリス館)



ひろかわさえこ/作・絵

おむつからパンツになったぷくちゃんですが、おもらしをしてしまいます。でも、お母さんはそのたびに「おかわりぱんつ」を出してくれるのです。最後はぷくちゃんのパンツコレクションからどのパンツがいいか話し合ってみましょう。失敗しちゃっても「だいじょうぶ」とそんな優しい気持ちになれる一冊です。

高橋さん:
「トイレトレーニングがうまくいかずに焦ってしまったときに、読んでいただきたい絵本です。
ぷくちゃんのお母さんは、ぷくちゃんが何度パンツを濡らしても、『だいじょうぶ』と『おかわりぱんつ』を出してあげます。
おもらししたお子さんに、疲れと勢いで厳しい一言を言ってしまう前に、この絵本を思い出して『だいじょうぶ』とおかわりパンツを出せたら、親も子も前向きであたたかな気持ちになれるはず。言葉で感情が整えられることもあるのです。
また、ぷくちゃんのトイレトレーニングが少しずつ進んでいく様子は、子どもたちに安心感を与えてくれます」

トイレトレーニングの合間に最適!  親子で楽しめる歌遊び絵本『だっこのおにぎり』(佼成出版社)



長野 ヒデ子 作 つちだ のぶこ 絵

子どもをおにぎりに見立てて、抱きしめたり、こちょこちょしたり……と親子のスキンシップを促す歌遊びの絵本。うめぼし入りのおにぎりは酸っぱい顔に、たらこ入りのおにぎりはくちびるを膨らませたりと、顔遊びをしてみるのもおすすめです。巻末に楽譜付き。

高橋さん:
「トイレの絵本ではありませんが、トイレトレーニングの間にぜひ読んでいただきたい、歌遊びの絵本です。子どもをご飯にしてお母さんがおにぎりを作るので、たくさんスキンシップをとることができます。絵本のお気に入りの部分だけで遊んでも、十分楽しめますよ。
子どもの感じ方は本当にさまざまで、親のイライラした態度に傷つくだけでなく、励ましの言葉がプレッシャーになってしまうこともあります。ですから、トイレトレーニングから離れて一緒に笑う、そんなひとときはとても大切です。親のぬくもりが、子どもを元気にしてくれます。そして子どもの笑顔が、親の焦りや緊張を忘れさせてくれるでしょう」


トイレトレーニングに一進一退はつきもの!  焦らず進めよう

一度トイレでの排泄に成功しても、次は失敗してしまった……というような一進一退はトイレトレーニングではしばしば起きること。失敗に対して大人が落胆したり、叱ってしまったりすると、子どもが萎縮してしまい、トイレを嫌がるようになってしまうこともあります。ネガティブな気持ちに陥りそうになったら、楽しくトイレのことを描いた絵本の力を借りて、前向きに気分転換しましょう。
 

【監修者プロフィール】

高橋真生(まい)さん



学びと読書のアドバイザー・絵本専門士。教員・図書館司書の知識と経験を活かし、学習・読書支援に携わる。また、言葉や日本の伝統に関する疑問について、生活文化の伝承という視点から解説を行う。
ホームページ:https://maitaka84.com/


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