梅雨の季節。雨がじとじと降り続け、外遊びもできず子どもたちも退屈ですよね。親も子も気持ちがしずみがちですが、雨の日ならではの楽しみを思い返してみませんか?
お気に入りの傘を持って外に出ると、ぽろろんと響く雨の音、長ぐつをはいていれば楽しい水たまり遊びが始まります。カラフルなレインコートを着て元気に鳴き出すカエルを追いかけ、雨がさあっとあがった瞬間にはきれいな虹も出てきます。ちょっと視点を変えると、雨ってけっこう楽しいできごとに思えてきます。
大人には面倒なことも多い雨ですが、親子でそんな雨の日を好きになる、梅雨におすすめの絵本をご紹介します!
あまがさ
3歳~
「あまがさ」
作/やしまたろう
福音館書店 1,320円
モモは、ニューヨークで暮らす小さな女の子。3歳の誕生日に赤い長ぐつと雨傘をもらいました。モモはうれしくてたまりません。ですが、おひさまギラギラ暑い日が続いたり強い風が吹いたり、なかなか長ぐつと傘の出番がなくがっかり。幾日もたった朝、おかあさんが「おきてごらん! とても いいことが ありますよ。」とモモを呼びました。ついに雨が降ってきたのです。雨が「ぽんぽろ ぽんぽろ」と音楽を奏でる中、モモは自分の雨傘を両手でしっかり握って歩き始めました……。
主人公のモモは3歳になったばかり。一般的には3歳くらいから傘を持ち始めますが、自分だけの真新しい長ぐつと雨傘、とってもうれしいですよね。
晴れた日でも傘を差したかったけれど、お母さんに言われて雨の日までじーっとひたすら待ち続けたこの日は、モモにとって素敵な一日となりました。初めて雨傘を差して、パパママとも手をつながず一人で歩いた特別な日となったのですから!
雨の日に起きた、幼い頃のかけがえのない思い出を描いた絵本です。
あめのひえんそく
3、4歳
「あめのひえんそく」
作・絵/まつおりかこ
岩崎書店 1,430円
楽しみにしていた遠足の日。モンタはお母さんに大好きなおかずもリクエストして準備ばっちりだったのに、起きたら雨で遠足は中止。悲しくって布団の中で泣いていたら、おかあさんが言いました。「えんそくに いくわよ!」 外では雨がたくさん降っているのに? 支度をしてついていくと、おうちの中におかあさんが作った川や洞くつがありました。さあ、とってもすてきな“雨の日遠足”の始まりです!
とっても楽しみにしていた行事やお出かけが雨で中止になってしまうことはよくありますが、子どもは本当にショックですよね? 子どもががっかりしていると親もしょんぼりしてしまいますが、モンタのお母さんはパワフルです。おうちの中をあっという間に森の中に仕立て上げ、モンタに雨の日遠足をさせてあげるんですから!
実際にここまでやってあげることはなかなか難しいと思いますが、おうちの中でお弁当を食べるだけでもなんだか特別で、「雨の日ってこうして遊ぶと楽しいかも」と思える絵本です。
カエルのおでかけ
4~6歳
「カエルのおでかけ」
作・絵/高畠那生
フレーベル館 1,650円
「おっ、あしたは いい てんきに なりそうだ。」とカエルが言っていた次の朝、カーテンをザッとあけたら、ものすごい雨。そう、カエルにとっては雨がなによりも“いい天気”なのです。カエルは大雨の中さっそく出かけます。できたてサックサクのカツバーガーが雨でぬれて、でろでろのぐちょぐちょになっても「ん~、ますますおいしそう」と上機嫌。びしょぬれで“とってもいい天気”を満喫するカエルの、雨の日を楽しむ絵本です。
「いい天気」と聞くと、ふつうは晴れた気持ちのいい日を思い浮かべます。ですが、水辺で暮らすカエルにとっては、雨の日のほうが「いい天気」なのかもしれません。
一人だけ傘を差さずに雨の中お出かけをして、水浸しの公園の中でピクニック。雨にひたすらあたりながら、カエルは雨の日を存分に楽しみます。そんな姿に「あれ? 雨の日ってけっこう楽しそう?」と逆の視点から雨の日の楽しみを教えてくれる、ユーモアたっぷりの絵本です。
カミナリこぞうがふってきた
3~5歳
「カミナリこぞうがふってきた」
作/シゲリカツヒコ
ポプラ社 1,650円
突然の雨。タケシが一本杉の下で雨宿りをしていたら「ドーン!」と大きな雷がおちてきました。ぼくの頭はチリチリになってしまい、雷とともにでっかい赤ん坊のカミナリこぞうまで落ちてきました。カミナリこぞうは学校まで付いてきて、タイコを「ドーン!」とたたき雷を落とすとクラス中がチリチリ頭。「早く家に帰さないと大変だ!」一本杉をのぼっていくとそこには本物のカミナリさまが! タケシはカミナリこぞうと一緒に雷を落とす仕事を手伝い……。
雨降りの季節につきものなのが“雷”。ピシャーン・ゴロゴロという大きな音とピカッと光る稲妻にびっくりしますが、そんな雷は“カミナリこぞう”が落としていると思うと面白いですよね。
雷は危険なもので子どもたちも怖がりますが、この絵本で描かれたような、むっちりかわいいカミナリこぞうが空の上でドンドコたいこを打ち鳴らしているかと思うとちょっと怖さも収まります。雷が鳴っている間、空の上では何が起こっているのかな? と、雷が収まるまでいろいろな想像をして楽しめそうな絵本です。
雨の日の地下トンネル
5歳~
「雨の日の地下トンネル」
作/鎌田歩
アリス館 1,540円
降り続く雨で町の中が水びたしにならないのはなぜでしょう? その秘密は町の下に、水を流しいれることのできる巨大地下トンネルがあるから! この絵本は、町に降り注ぐ雨が排水溝をつたい、雨水管に集めてから川に流され、あふれそうになった川の水を地下トンネルに流すことで町を洪水から守っている様子を、絵で分かりやすく伝えてくれます。
梅雨や台風、ゲリラ豪雨など最近の気候は強い雨が降り続くことが多くあります。降った雨は川に流れていきますが、急に水の量が増えると洪水が起きることも。その危険から町を守る工夫が「巨大地下トンネル」なのです。
この絵本では、ふだんは見ることのできない巨大地下トンネルの仕組みを詳細に描き、どのように町に水があふれないようにしているのかを子どもたちに分かりやすく伝えてくれます。時には危険も伴う大雨とどのように共存して暮らす工夫があるのか、子どもたちとともに学べる1冊です。
今回は雨がテーマの絵本を紹介しました。
次回は、「戦争」がテーマの絵本を紹介予定です。(7月公開予定)
お楽しみに。
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