外遊びが気持ちいい季節。子どもたちの大好きな泥遊び・砂遊びにぴったりな時期ですね。泥をぐちゃぐちゃこねたり砂をサラサラ落としたり、何時間でも夢中になれます。しかも、その「ぐちゃっ、ざりっ」といった感触は子どもの五感を刺激して発達も促します。 なにより想像力も育まれ、幼稚園・保育園でもそうした効果をねらい、泥遊び、砂遊びを推奨している所もあります。
ですが、ママパパ達にとっては泥に汚れた服のお洗濯、つらいですよね。毎日遊ばれてしまうと、着られる服が無くなってしまう……。
ということで、まずは絵本の中で泥遊び・砂遊びに親しんでワクワクを高めてから、とっておきの日に外でどろんこまみれで思いっきり遊ぶ、というのはどうでしょうか? そんな準備にうってつけの絵本をご紹介します!
どろだんご
2歳~
「どろだんご」
文/たなかよしゆき 絵/のさかゆうさく
福音館書店 990円
一度は作ってみたい“どろだんご”。子どもたちは土の中にあなをあけ、ざばっと水を入れて力いっぱい泥をかきまわします。べちゃべちゃになった手で泥をにぎり、大きなどろだんご、小さなどろだんご、ぴかぴかのどろだんご、思い思いのどろだんごを作ります。乾いた土をさらさらまぶしてぎゅっぎゅとにぎると、どろだんごの完成! できあがったどろだんごを比べて遊んで楽しさはつきません……。
泥遊びの中でもみんなが大好き“どろだんご”作り。この絵本では、子どもたちがいろいろな形のどろだんごを作っていく様を「どぼどぼ、たぷたぷ、ぐにぐに、にゅるにゅる」など擬音語を用いて臨場感たっぷりに描きます。
泥をかきまぜ無我夢中でどろだんごをにぎる手つきは真剣そのもの。この絵本を読んだ後、ママパパも一緒にどろだんごを作って、子どもたちと楽しく比べっこしてみませんか?
どろんこ おそうじ
3歳~
「どろんこ おそうじ」
作・絵/さとうわきこ
福音館書店 1,320円
おうちの中を散らかしている子イヌと子ネコに、ばばばあちゃんはおそうじするように言います。ですが、2匹はほうきとぞうきんで野球を始めるしまつ。ぞうきんの球はぽーんと森にとんでいき、ウサギにぶつかりキツネにぶつかり、しまいには森中の動物たちが集まって大げんか。水道ホースから水もかけあい気づけばみんな泥まみれ。そんな大騒ぎに「おもしろそうじゃないか!」とばばばあちゃんまで参戦し……。
本当は泥のかけ合いの大げんかだったのに、ばばばあちゃんは一人「やろうやろう、どろんこあそび」と張り切ってしまいます。ふつうは逆ですよね? そんな、ばばばあちゃんに動物たちはあきれて普通にそうじを始めますが、ばばばあちゃんは夜までどろんこあそびを続けるのです。
好奇心旺盛でパワフルさが魅力のばばばあちゃんが、こんなに夢中になってしまう泥遊び。その心底楽しそうな姿に「たまには泥まみれで遊びたいなー」とママパパもつい思ってしまう、楽しい1冊です。
わんぱくだんのどろんこおうこく
3、4歳~
「わんぱくだんのどろんこおうこく」
作/ゆきのゆみこ、上野与志 絵/末崎茂樹
ひさかたチャイルド 1,320円
雨が上がって公園に出かけた、なかよし3人組のわんぱくだん。水たまりを越えたり泥水をかけ合ったり、みんな泥まみれの泥人形状態です。そこに「ここに おられましたか。おうさまと おきさきさまを たすけに、おしろに まいりましょう!」と本物の泥人形の兵隊がやってきました。「おもしろそう」とついていくと、泥の王様とお妃様がワル大臣に縛られています。わんぱくだんは「参上!」と飛び出し戦いますが……。
ずっと雨で外に出られなかった分、久々の外遊びでぬかるんだ公園に来てしまえばテンションも上がって泥だらけになるのは当たり前! 泥とたわむれているうちに、ぬるっとした泥の感触や、雨上がりのキラキラした光などもあいまって、「泥人形の王国」に行ったかのような想像もぐーんと広がります。
子どもの遊びの中の、かけがえのない伸びやかな想像力を伝える絵本です。
どろんこおばけになりたいな
2歳~
「どろんこおばけになりたいな」
作/内田麟太郎 絵/石井聖岳
童心社 1,430円
ゾウも子どもたちも、「ずぶり ごろん ごろ ごろ ごろ」と、泥の中で転がり回れば、あっという間に“どろんこおばけ”のできあがり。そこに本物のおばけもやってきて、泥に飛び込み、ばっしゃーん。みんな泥まみれで汚れすぎて、このままではおうちへ帰れません。じゃぶじゃぶ、ごしごし、きれいにすると現れたのは?
子どもも動物もおばけも、どろんこを見ればどうしても飛び込んでしまいがち。この絵本は泥だらけの楽しさに加え、そのあとの水をきれいにする面白さも描かれ、土と水への触れ合いを、小さな子へも分かりやすくほがらかに伝えてくれます。
五感や想像力、それに免疫も高められ、2歳くらいになったお子さんには泥・砂遊びがおすすめです。ぜひこの絵本を読み聞かせながら、泥遊びにいざなってみてはいかがでしょうか?
どろんこどろにゃあ
3歳~
「どろんこどろにゃあ」
作/ささきみお
アリス館 1,430円
猫の“どろにゃあ”は、その名の通りどろんこが大好き。公園に行き、たくさんのどろんこがあることを見逃さないどろにゃあは、あっという間に、するるるるーと泥の山に滑り込み、ごろろろろーと転がります。泥の中で遊んでいるのはどろにゃあだけではありません。犬も鳥もねずみもかえるも、みんな日暮れまでずーっとどろんこ遊びに夢中になってしまうのです。
猫のどろにゃあが、泥に飛び込み泥まみれになっていく表情は幸せそのもの。ほかの動物たちも、ありとあらゆる方法で泥の中を駆けずり回って遊びます。中には泥だらけをちょっぴり怖がる動物もいますが、最後には一緒に仲良く泥だらけ。
泥遊びのような、みんなでいろんな方法で楽しめる遊びは、お友達同士の距離をぐっと引き付ける魅力がいっぱいです。時間を忘れて没頭できる、子ども時間の大切さがしみじみと伝わる絵本です。
今回は泥・砂がテーマの絵本を紹介しました。
次回は、「雨」がテーマの絵本を紹介予定です。(6月公開予定)
お楽しみに。
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