文房具は、子どもの学習意欲を支える大切なパートナー。はじめて使う文房具は、子どもが使いやすいものを選びたいですよね。今回は、文具ソムリエールの菅未里さんが“文房具デビュー”する子どもにおすすめする「はじめての文房具」5選を紹介します。
◆『キャップ一体こどもハサミ』
キャップ紛失の心配がなくなる画期的なデザイン
小学校の入学準備で必ず揃えるアイテムのひとつが「ハサミ」。親のプチストレスを解決する子ども用ハサミとして菅さんがおすすめするのが『キャップ一体こどもハサミ』です。


ボタンを押しながらキャップをスライドすると刃が開く。キャップを外さないからなくさない!

刃にはのりがつきにくく、テープがサクサク切れる。
- 菅さんのイチオシPOINT!
「小学校で使うハサミは、安全のためキャップ付きのものがよく指定されます。取り外し式のハサミでよく起こるのが、キャップの紛失。ハサミはあるけどキャップがないという困った状況を防ぐ画期的なアイテムが『キャップ一体こどもハサミ』です。キャップが本体と一体化していて、使うときはボタンを押しながらスライドするだけ。キャップをなくす心配がなく、キャップに名前を書く手間も省けます。 ハサミは品質によって使い心地が大きく異なります。子どもが使うハサミは、信頼性の高いメーカーの子ども用ハサミを選ぶのがおすすめです。『キャップ一体こどもハサミ』は2枚の刃がしっかり合っていて、薄い紙でも巻き込むことなく、サクサク切れます。刃先が丸く、子どもの手の大きさにあったサイズなので、子どもが安心して使えます 」

左上から、ネイビー、パープル、ミント、ホワイト、ライトブルーの5色展開。ライトブルーは左手用。
商品情報
『キャップ一体こどもハサミ』
商品サイト:https://www.kutsuwa-online.com/?pid=183353771
画像提供:クツワ株式会社
◆『しっかり線ビキ』
強力な滑り止めで手元がブレない
定規はどれも同じだと思っていませんか? そんな固定観念をくつがえすのが『しっかり線ビキ』です。


ノートにピタッと止まる強力な滑り止め付き。
- 菅さんのイチオシPOINT!
「定規を使い慣れていないと、手元がブレて線が曲がってしまうことがあります。そんな悩みを解決するのが『しっかり線ビキ』です。定規の裏側に強力な滑り止めが付いているため手元がブレにくく、商品名の通り“しっかり”線を引けます。また、定規の端が0ミリに設定されていて、高さや奥行きを測りやすいところも魅力。右利き・左利きどちらも使えるデザインも秀逸です。定規の中央には7ミリ幅の透明ラインがあり、教科書や本などの文字の読み取りにも使えます。1本440円という価格に驚くかもしれませんが、一度使えばその価値を実感できるはず。すでに使っている定規がある子どもにも、次の買い替えどきにぜひ試してほしいアイテムです」

カラーは左から、ソーダ、青りんご、グレープ、さくらんぼ、パインの5色展開。
商品情報
『しっかり線ビキ』
商品サイト:https://kyoei-orions.com/product/19101/
画像提供:共栄プラスチック株式会社
◆『モノ消しゴム』
手にぴったりのサイズが選べる王道消しゴム
親世代にもおなじみの『モノ消しゴム』。1969年の発売以来、鉛筆やシャープペンの線をきれいに消す高い性能で多くのユーザーに愛されています。


スタンダードなモノ消しゴムは、長さ43ミリの最小サイズから長さ79ミリの最大サイズまで5サイズ展開。
- 菅さんのイチオシPOINT!
「『文字がうまく消せなくて子どもがイライラしている。どの消しゴムにするといいの?』とよく尋ねられますが、結論としては、国内の文房具メーカーのプラスチック消しゴムであれば、基本的な消字性能にそれほど大きな差はありません。では、なぜ子どもが文字をうまく消せないのかというと、多くの場合、消しゴムのサイズが小さいため、消すときに十分な力を入れられていないからです。 筆箱に入れるために小さな消しゴムを選びがちですが、手にフィットするサイズに上げるだけで、うまく消せるようになることがよくあります。『モノ消しゴム』はサイズ展開が非常に豊富で、スタンダードタイプだけでも5種類の大きさがあります。子どもが消しゴムを使いにくそうにしているときは、まずは消しゴムのサイズアップを試してみてください。もし手に合うサイズが筆箱に入らない場合は、筆箱用と自宅用で使い分けるのもいいですね。子どもに合うサイズのモノ消しゴムが見つかったら、複数ストックしておくと、紛失したときサッと渡せますよ 」

写真のスタンダードタイプのほか、さまざまな機能・形状があるモノ消しゴム。
商品情報
『モノ消しゴム』
商品サイト:https://www.tombow.com/products/mono/
画像提供:株式会社トンボ鉛筆
◆『アラビックヤマト エル』
転がらないL字型。塗りやすくて液漏れしにくい
1975年の発売以来、今年で50周年を迎える液体のり『アラビックヤマト』。速乾性とすぐれた接着力、なめらかな塗り心地が特徴で、学校や家庭、オフィスなど幅広いシーンで活躍している文房具です。


口元のカーブとスクエアなボディが人気。塗り心地の良さの秘訣は、のりを均一に塗れる二重構造のスポンジキャップ。
- 菅さんのイチオシPOINT!
「液体のりの定番である『アラビックヤマト』。円錐型の『アラビックヤマト スタンダード』がおなじみですが、子どもが使用すると机の上をコロコロ回転して落ちてしまうことも。L字型の『アラビックヤマト エル』なら机から転がり落ちることがなく、キャップ部分を上にしてしまえば液漏れの心配もありません。子どもが持ちやすい形状なので、塗りやすいというよさもあります。 液体のりは、力の入れ具合でのりの量を調節できるため、小学校低学年の子どもにも最適です。キャップのスポンジが万が一固まって使えないときは、スポンジ部分をお湯にひたしてもみ洗いして乾かせば、再び使用できます。コストパフォーマンスがよく、量を気にせず使えるのもうれしいポイントです 」

横にしても転がらないスクエアなデザイン。
商品情報
『アラビックヤマト エル』
商品サイト:https://www.yamato.co.jp/products/al-200/
画像提供:ヤマト株式会社
◆『グリッパーえんぴつ』
鉛筆デビューにおすすめ!滑りにくく、しっかり握れる
学習に欠かせないアイテムといえば「鉛筆」。鉛筆に慣れていない子どもや筆圧が安定しない子どもに菅さんがおすすめするのが『グリッパーえんぴつ』です。


しっかり鉛筆を握れるように、えんぴつ軸表面には「グリップ層」を採用。
- 菅さんのイチオシPOINT!
「親指、人差し指、中指の3点で握る鉛筆は、角の数が“3の倍数”のものが持ちやすいといわれています。『グリッパーえんぴつ』は握りやすい六角型に加え、鉛筆の軸表面に『グリップ層』という特殊な表装が施されていて、強く握らなくてもしっかりと鉛筆を持てるようになっています。名前を書くスペースが広いところも、保護者にはうれしいポイントです。 子どもが勉強を嫌がったり集中力が途切れがちだったりする場合、相性のよい鉛筆に買い換えると、文字を丁寧に書くようになったり、学習がはかどったりするケースは少なくありません。子どもは使いづらさをうまく言葉にできず、『もう嫌だ!』と机に背を向けてしまうこともあります。書きづらそうな様子や、集中力が途切れがちな様子が見られるときは、『グリッパーえんぴつ』のようなかきかた鉛筆をぜひ試してみてください。持ちやすい鉛筆は学習用に、お気に入りのキャラクター鉛筆は観賞用にと使い分けるのもおすすめです 」


カラーは青、ピンクの2色展開。硬度はBと2Bの2種類。1ダース(12本入り)で販売。
商品情報
『グリッパーえんぴつ』
商品サイト:https://www.mpuni.co.jp/products/pencils/black/school/gripper.html
画像提供:三菱鉛筆株式会社
■ 文房具を変えると学習がはかどることも
「はじめて使う文房具は、できるだけ使い心地を優先して選ぶことをおすすめします」と菅さん。数十円、数百円の差が、子どもの成長や集中力を大きく左右することもあると話します。
「消しゴムのサイズが合わずに文字が消えなくてイライラしたり、鉛筆との相性が悪くて文字を書くのを嫌がったりして、結果的に勉強そのものを嫌がるケースはめずらしくありません。そんなときこそ、子どもや大人の学習環境を長くサポートしてきた文房具メーカーのアイテムが役立ちます。長年培われた知識と技術が注ぎ込まれた文房具の力を、ぜひ頼ってみてください」
これから文房具デビューする子どもにも、学習が今ひとつはかどらない子どもにも。文房具メーカーが自信を持って送り出す頼れるアイテムたちが、きっと学習の強い味方となってくれるはず。菅さんのおすすめアイテムを参考に、子どもにぴったりの「はじめての文房具」を見つけてみましょう!
取材・文:三東社

【プロフィール】
菅未里(かん みさと)
文具ソムリエール。文房具販売・仕入れ担当を経て、文房具の専門家として独立。国内外で商品や売り場の企画・監修、メディア出演、メーカーのコンサルティング、執筆などを行っている。『毎日が楽しくなる きらめき文房具』(KADOKAWA)など、著書多数。