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子育て・教育

寝る子と寝ない子の違いとは? 寝かしつけは必要? 睡眠の疑問にお答えします!


お茶の水女子大学特任教授で、幼稚園教諭やこども園の園長なども務めてきた宮里暁美先生は、3人のお子さんのママであり、今ではお孫さんも3人。今回は、厚生労働省から出ている子どもの睡眠時間などをもとに、「子どもの睡眠」について、保育者として、そしてママとしての先生の考えを伺いました。


1日何時間睡眠を目安にする? 起きる時間から逆算!


睡眠に係る推奨事項(案)について
※出典 :「健康づくりのための睡眠指針の改訂について(案)」(厚生労働省)より

◆1-2歳児は11-14時間、3-5歳児は10-13時間、小学生は9-12時間、中学・高校生は8-10時間の睡眠時間を確保することを推奨。
◆夜更かしや朝寝坊に対する注意を喚起。
◆生活習慣における注意点を提示。

• 起床後から日中にかけて太陽の光をたくさん浴びる。
• 朝食をしっかりとる。
• スクリーンタイムを減らし、体を動かす。
• 寝床ではデジタル機器の使用を控える。


現代の子どもたちは、睡眠習慣の乱れや睡眠障害など、睡眠に関する何かしらの問題を抱えていることが多いとも言われています。そして、どの年齢においても22時以降に就寝する子どもの割合も増加していて、年々夜型に転向しているという傾向にあるそうです。

厚生労働省が推奨する子どもの睡眠時間は1~2歳児が11~14時間、3~5歳児は10~13時間。「子どもの睡眠」について、疑問に思われる方が多いキーワードについて、宮里先生の意見を伺いしました。




 よく寝る子と寝ない子は何が違う? 

よく寝る子というのは、長い時間眠っているという意味と、寝つきがいいという意味があると思います。その両方に言えるのは、親の生活スタイルや昼間の子どもの活動量、何時に起きているかによって違うということ。家庭内全体が早く寝て早く起きるという生活スタイルなら、子どもも自然とそうなります。
昼間の活動量が多く、体力を使っていれば、疲れて寝つきがよくなることもありますよね。しかし、こども園での子ども達の様子を見ていても、同じような時間に起きて、同じような活動をしていても、すぐに寝る子となかなか寝られない子がいます。
なので、環境だけではなく、眠りに入りにくいタイプの子がいるように思います。



 寝かしつけはしたほうがいい? 
0歳児は寝かしつけるというよりは、その子の睡眠のリズムを尊重し、眠そうな時は寝かせてあげるというやり方でいいと思います。中には、何もしなくてもスッと眠りに入る子もいれば、なかなか寝られなくてグズグズする子もいますよね。
その子が眠りに入りやすいパターンを見つけて、眠りをサポートしてあげましょう。
2~3歳くらいまでは、子どもが寝る時に横にいてあげたほうが眠りに入りやすいかもしれませんね。“寝かしつけ”というと、「子どもをトントンしながら眠らせる」という風に捉えるかもしれませんが、部屋を暗くして、隣にいてあげるだけでOK。
子どもは寝入るまでの間、むにゃむにゃと何かを話したり、ベストポジションを探すため動き回ったりしますが、自分で眠りに入ろうとする大切な動きです。そのような時は、そのままにしておいてあげましょう。



 睡眠不足のままいるとどうなる? 
よく眠ることによって成長ホルモンが分泌されたり、免疫力をアップさせたりする効果があるとされています。
週末は、お出かけをして疲れがたまっていたり、平日の生活リズムがくずれたりすることがありますよね。そのためか、月曜日は機嫌が悪そうにしていたり、活動中にボーッとしていたりする子が多いかもしれません。
睡眠不足が原因で「眠そうにしている」「元気がない」という姿が見えたら、体を休められるようにしたり、ゆっくり過ごしたりすることを意識してみたほうがいいですね。

 

毎日続けられる「早起き・早寝」時間を考えよう!

共働き家庭は特に、厚生労働省が推奨している時間通りに睡眠をとるのはなかなか難しいことですよね。しかし、なんとか21時、いや22時までには寝かせていたいというのが、実際のところなのではないでしょうか?
 
保育園やこども園に18時頃お迎えに来るママやパパは、どんなに急いでも夕飯やお風呂、寝る支度を済ませるのは20時過ぎ。そこから「もう寝よう」という流れができるのは21時。そこからうまく寝入ったとして21時半、そうでなければ22時。それでも大丈夫です。

規則正しい生活に1番大事なのは、「早寝・早起き」ではなく「早起き・早寝」です。どんなに寝るのが遅くなったとしても、毎日同じ時間に起こすことで、早く寝るようになり、「早起き・早寝」が習慣になるのです。
そして、朝起きたらお日様の光を浴びること、夜になったら明かりを暗くすることも日課にするといいですね。

なかなか寝つけない子の場合、頑張って寝かせようとすればするほど寝なくて、ママやパパが疲れきるなんていうことも起こってきますよね。そんな時は、ママやパパが先に寝てしまうのがおすすめ。夜は片づけや自分時間など、やりたいこともあると思いますが、しばらくの我慢です。子供と一緒に寝てしまい、早起きして朝活に切り替えるのはどうでしょう?

 




「子どもの睡眠」に悩むママ・パパからのリアルなお悩みにアンサー!




Q:寝る前に絵本の読み聞かせをしたほうがいいでしょうか?

A:寝る前でなくてもOK!
1冊読んだ後に「もっと!」となってしまったり、絵本を読むために電気をつけなくてはならなかったりすることもありますよね。絵本を読むのは寝る前のタイミングでなくても大丈夫です。

寝る時は視覚の刺激より、聴覚の刺激だけの方がいいので、明かりを暗くして、お話をしてあげるのがおすすめです。内容は、昔話でも、今日あった出来事でもなんでもOK!

ママやパパの声は、子どもにとって安心できるものなので、気持ちがリラックスして自然と眠気を誘うでしょう。絵本の読み聞かせは、子どもの心を豊かに育むとても大切なことなので、毎日ではなくても、どこかのタイミングでしてあげるといいですね。


Q:抱っこしないと寝てくれません。このままだと抱きグセがつきますか?

A:抱っこしてはいけないわけではありません
抱っこし過ぎると抱きグセがつくというのは、よく言われていることですが、私の経験上、そんなことはないと思います。

ただ、抱っこしないと寝ないとなると、ママやパパも疲れてしまいますよね。抱っこして寝かせるのではなく、抱っこして泣きやませてから、ゴロンと寝かせて一緒に寝るのはどうでしょうか? あとは、抱き上げないで、隣に寝て抱きしめてあげても良いかもしれません。

「〇〇しないとだめ」と決めつけてしまうと、ママやパパもストレスに感じてしまうので、そう決めつけずに、いろいろな方法を試してみるのがいいかもしれません。




Q:いつから一人で子供部屋で寝かせるべきでしょうか?

A:いつからという決まりはありません
これは個人差が大きいですね。例えば、小学生になった途端「一人で寝る!」とか、きょうだいで「一緒に寝る」とか、子どものほうから言い出すパターンもあります。マンションなのか一戸建てなのかなどの住宅事情や、きょうだいの数によっても変わってきますよね。

欧米では小さい頃から自室で寝ることを習慣としている家庭が多いですが、日本は昔から川の字で寝るのが習慣でもあるので、大人も子どももストレスを感じなければ一緒に寝ていても良いし、安心した環境の中で子どもだけで寝ることができるなら、それでも良いと思います。


Q:上の子の生活リズムに合わせていると、下の子の睡眠時間が短くなります。

A:臨機応変に対応を!
別々の生活リズムを1つの家庭で作り出すのは、なかなか難しいことです。ふだんは上の子の時間に合わせていたとしても、下の子に疲れが見えたり、睡眠不足を感じたりするようならば、下の子に合わせた生活リズムに切り替えるなど、その時々で臨機応変にしていきたいですね。


Q:寝る前にYouTubeやテレビを見せていてもOK?

A:寝る1時間前までを目安に
タブレットやテレビなどの強い光を浴びると、脳が活性化して、眠りにつきにくくなってしまいます。
ママやパパが家事をしている間、YouTubeやテレビを見るということも、短時間ならばいいと思いますが、夜寝る前はなるべく見せないようにしたいですね。
その代わりに、音楽やお話を流すなどして、視覚ではなく、聴覚で楽しめるものにするのもいいでしょう。




Q:昼寝は何歳までしていたほうがいいですか?

A:3歳くらいまで
毎日必ずしなくてはいけないということではないですが、3歳くらいまでは昼寝を必要とする子が多いようです。3歳以降も昼寝をしてはいけないわけではないので、眠そうなら寝かせてあげても大丈夫です。

長く寝てくれると、ママやパパに時間ができるので、ゆっくり寝かせておきたい気持ちもありますが、1回の昼寝は1時間くらいにしておいたほうが、夜の睡眠に影響しません。もし、15時以降の時間に寝てしまったら、30分程度で起こすようにしたほうがいいでしょう。


「早く寝かせなきゃ!」と力まなくて大丈夫




夕方帰宅して、夕飯やおふろなどを済ませ、寝かしつけるのは至難の業です。そんな時に「早く寝かせなきゃ!」と思っていると、終わっていない片付けや、なかなか寝てくれない子どもに対してイライラしてしまうこともありますよね。
ママやパパがストレスを感じない範囲で、毎日続けられる「早起き・早寝」時間を見つけてみましょう。

写真・イラスト:PIXTA



監修:宮里 暁美(みやさと あけみ)

お茶の水女子大学特任教授
お茶の水女子大学こども園園長として園運営に携わり、「つながる保育」を主軸に置いた教育・保育活動を展開。保育の現場や保育者の養成に30年以上にわたり従事。

 


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