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リアルなお悩みに本音アンサー! ヨメルバ会員×宮里暁美先生の育児Q&A


お茶の水女子大学特任教授で、幼稚園教諭やこども園の園長など、保育の現場の経験も豊富な宮里暁美先生。毎回、育児の疑問に答えてもらっていますが、今回は、ヨメルバ会員から届いた、リアルなお悩みに答えてもらいました。早速、お悩みを見ていきましょう。
 





Q1:5歳の娘がすぐに泣きます。今だけかと思う反面、少し心配です。

A:泣くことは感情を表す1つの手段。泣いちゃだめなわけではありません。



きっと心が優しいお子さんなのでしょう。まずは、いつ頃から泣き始めるようになったのか、泣くきっかけになるようなことが何かあるかな、など不安定になるきっかけや理由があったのかを考えてみましょう。

「いつも泣く」と思っているママやパパからすると、「大したことない」と思えるようなことでも、本人からしたら大したこと。そんな時に、「泣かないの」「がまんできるでしょ」などと、泣くことを否定するような声かけをするのは避けたいですね。「泣きたいんだね」「泣きたいだけ泣いていいよ」と、声をかけて、子どものペースに合わせてあげましょう。

そして、落ち着いてきたら、「どうして泣いていたのか教えてくれる?」と聞いてみてもいいし、おいしいものを一緒に食べるなどして、別の話をするでも良いと思います。ふとした時に話してくるかもしれないし、その子の中で乗り越えられたら、もう話してこないかもしれません。
いずれにせよ、泣くことを否定してしまうと、感情を表す手段を失ってしまい、どう表したらいいのかがわからなくなってしまいます。幼稚園や保育園でがんばっている反動かもしれないし、何かさみしいことがあったのかもしれないですね。

家庭は、子どもを受け止める場所です。その子がつらくて泣いていた時、どんな声をかけられたかはその子の心の中に必ず残ります。今、しっかり受け止めてあげれば、いつか自分以外の誰かが泣いている時に、手を差し伸べてあげられる子になります。それは、生涯における財産になりますよ。



Q2:「私の時代はこうだった」と、自分の価値観で物を見てしまいがち。新しい教育の形に親が対応できていない気がします。

A:最終決定をするのは子ども。大切なのは受け入れること

世の中は常に変化しているので、今の価値観が唯一絶対なわけではなく、それぞれの時代に応じて最適だとされた価値観で過ごしています。親の価値観を変えるという考えではなく、自分の価値観を広げる、と考えたらどうでしょうか。

今の教育の在り方は“多様性”を大切にしていますよね。「ママはこう思うよ。あなたはどう思う?」と、子どもに問いかけた時、「私はこう思う」と、お子さんが自分の考え方を言えたとしたらとても素晴らしいことです。ご自分が大事だと思うことを伝えていくことを大切にしてください。ママはママであっていいのです。
ただし、なんでもママやパパが主導権を握って、あれやこれや決めてしまうと、子どもはどんどん受け身になります。
もちろん、「これ、やってみたら?」と、物事を勧めるのはいいと思います。しかし、実際にやってみてよくなかった時には、即撤収! ママやパパの引き際が肝心なのです。
子どもが親からの指示待ちになるのではなく、「私はこうしたい」と言える子になるためには、まずは子どもの気持ちを受け止め、最終決定を子ども自身にさせてあげるようにしましょう。





Q3:障がいのある人について子どもに説明する時、どのようにしたらいいでしょうか?

A:子どもが興味を持ったタイミングで、自然な形で説明

いろいろな在り方の人たちが互いに認め合い、助け合って過ごすことが、とても大切になっています。学校教育でも障がいのある方と共に過ごすことを大切にしているので、子どもに話をすることはとてもいいことだと思います。

しかし、大人のタイミングで話すよりは、車いすに乗っている人や、杖を使って歩いている人を見かけて、「どうして?」と、子どもが興味を持った時が説明するタイミング。その時、「いいのいいの」などと、疑問に持つことを否定したり、「かわいそうだね」などと、ネガティブな声かけはしないようにしましょう。


「〇〇ちゃんは足で移動するけど、あの人は車いすで移動するんだね。車いすと足は一緒なんだね」と、あくまでも自然な形で説明するのがおすすめです。もし、電車やバスに乗り合わせている時など、相手の方が近くにいる時は、まず「こんにちは」と挨拶をすることから始めてみてはどうでしょうか。

あとは、絵本を使って話すのもひとつです。「バスが来ましたよ」(由美村嬉々/文、松本春野/絵:アリス館)という絵本は、バス待ちをしている目の不自由な人に小学生が「バスが来ましたよ」と教えてあげるという物語。
読み進める中で、いろいろと感じることができますし、親子で語り合うこともできます。また、障がいがある人と実際に話をしたり、あいさつをするなど、ママやパパが話しているのを見せることで、子どもも身近に感じることができます。
障がいのことを話題に出すことは大切だし、出会いのチャンスを活かすよう、普段から心がけたいですね。



Q4:今まではどんなことにも挑戦するタイプだったのに、2歳になって急に臆病になりました。

A:いろんなことが理解できるようになって、見える世界が変わってきたのかも



1歳の頃はただひたすらに楽しめていたことも、2歳になって認知力や言語力なども上がり、今までは見えなかったものが見えたり、イメージを膨らませたりしているのかもしれませんね。大人にはなんてことのない雰囲気や音、暗さなどを「不安」として、とらえている可能性もあります。成長をする中で、このような変化があることは、自然なことなので心配ありません。

例えば、保育園の散歩中、「もしかしたら、おばけがいるのかな?」と、子どもに声をかけると、4人中3人は「えー!」と言って喜びますが、1人の子は怖がって、その場で立ち止まってしまうことがあります。そのくらい、感じる力が強い頃なのです。
そんな時は、「やさしいおばけさんだと思うよ」などと、楽しげに話すと、ニコニコ笑ってまた歩き出すこともあります。

しばらくは今のような状態が続くかもしれませんが、自分の中で「大丈夫!」と思えれば、その先に進むことができます。誰にでも起きることなので、気にすることはありませんが、それを持っていると安心できるお守りのようなものがあってもいいかもしれません。



Q5:子どもが小さい頃は一緒にいてあげたほうがいいんでしょうか? 仕事復帰のタイミングで悩んでいます。

A:保育園は家庭の延長上にあるもの。子育てを一人で抱えこまないで



今は少子高齢化が叫ばれており、これからは、社会全体で子育てを支えていこうという時代です。「親子」が最小の単位となり、地域や社会の中でさまざまな人と出会っていく、出会いのひとつに「保育園」があります。

保育園は、預けたら預けっぱなしではなく、家庭の延長上にあるもの。家庭での悩み事を共有したり、一緒に解決したり、よりよい子育てをするためにある場所です。家庭のニーズに合わせて、短時間の利用や、週に2~3回なんて使い方もいいと思うので、ぜひ、保育園を活用してみてくださいね。

子育てはとてもハードです。「小さい頃は一緒にいてあげなきゃかわいそう」と一人で抱え込むのではなく、一緒に子育てする人(場所)が増えると子育てはもっと豊かになると考えるといいと思います。保育園に行くことで丁寧な子育てができなくなるわけでは決してありません。もし、預けるかどうかを迷っているなら、保育園の見学に行ったり、一時預かりを利用したりして、一度体験してみるといいかもしれませんね。


子育てで悩んだら、一人で抱え込まずに話してみよう!



子育ての支援は広がっているとはいえ、子育てに悩みや不安はつきものです。なかなか話すことができないと感じることもあるとは思いますが、話してみると「わかるわかる」と、共感を得られることもたくさん! このような場で、似たようなお悩みを見かけると、「よかった」と思うこともありますよね。このQ&Aを見て、少しでも気持ちがラクになってくれていたらうれしいです。

写真・イラスト:PIXTA



監修:宮里 暁美(みやさと あけみ)

お茶の水女子大学特任教授
お茶の水女子大学こども園園長として園運営に携わり、「つながる保育」を主軸に置いた教育・保育活動を展開。保育の現場や保育者の養成に30年以上にわたり従事。

 


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