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『11ぴきのねことあほうどり』を紹介! <聞かせ屋。けいたろうのおやこ絵本さんぽ>


ヨメルバ編集部がセレクトした絵本を、聞かせ屋。けいたろうさんといっしょに掘り下げます。第五回は、なんだか不思議な笑える絵本『11ぴきのねことあほうどり』です。


『11ぴきのねことあほうどり』(こぐま社)


 



 



今回は、「11ぴきのねこ」シリーズのなかから、「あほうどり」です。
1972年の発行で、約50年前の絵本ですね。



「11ぴきのねこ」シリーズは、じっくり味わう絵本だと思うので、ぼくの読み聞かせの会では登場してこなかったんです。シリーズのすべての本で、子どものツボもおとなのツボもついてくる、おもしろいシリーズですね。



シリーズのほかの本と比べて、「あほうどり」は、お話の展開にびっくりしました。



ぼくもそう思いました。コロッケを絵本の重要なモノとして選ぶのが、さすがだなと。コロッケは親しみやすいですよね。この絵本のなかで、個数を数えますが、コロッケは数を数えやすい。たとえば、カレーだと数えにくいですから、コロッケは絶妙だなと。



この絵本が発売された当時は、コロッケはたぶんお肉屋さんで買う機会が多いものですよね。子どもたちがわくわくするモノだったのかな。



そうかもしれないです。お買い物のついでにその場で食べるコロッケって超おいしいですよね(笑)。わくわくする。子どもが食べたいなと思うモノを選ぶのはさすが。



けいたろうさんのお宅でこの絵本を読んでみて、お嬢さんたちの反応はいかがでしたか?



うちの子どもたちもすごく喜んでいました。じっくり味わって、次の日も「これ読んで」と持ってくる感じです。特定のページがお気に入りというわけではないですが、全体で楽しんでいる雰囲気です。



なるほど。
猫たちがアホウドリの島へ行くと、アホウドリたちが次々に登場します。登場するアホウドリを数えるシーンでは、「11わあっ」のところで猫の体の色が紫から緑に変わっていますね。



そうそう! 何で猫の色が変わるのかなって思いました。



青ざめているのかな?



馬場さん、自由ですよね(笑)。猫の色だけでなく、部屋の色も緑や黄色、ピンクといろいろ変わるんです。
あと、この絵本は、お話の前半から何かを数えることにフォーカスしているところがありますよね。コロッケの数を数えるときに、「3こが ふたつもある」と不思議な数字の数え方をしていたり。テーマにはしていないかもしれないけれど、数えることに面白みを持たせているところがある。
「3こが2つもある」という文章はこの本でしか見たことがないんです(笑)。


たしかに、すごく自由というか不思議な数え方です。
猫たちは、どうしてコロッケ屋さんをはじめたんでしょう。


このシリーズは、唐突さもいいですよね。
絵本って、全てを説明しなくてもいいんです。読者としては、想像するのもおもしろい。「11ぴきのねこが コロッケのみせを はじめました。」でページをめくったら一番楽しい場面から始めるのがいいんですよね。11ぴきのねこの説明をしたり、なんでコロッケ屋さんをはじめたのか説明をしたりすると、おもしろくなくなっちゃう。歌でいったら、いきなりサビから入っちゃうのも、絵本の魅力でもありますよね。


そのさじ加減が絶妙なんですよね! こういう子たちがいますという前段が、1冊目にあって。2巻からは、いきなりはじめるのはありですよね。


シリーズものの魅力です。1冊目で、すでにその絵本をおもしろがってくれる子どもたちがいるから、いきなりサビからはじめられるんです。読者としても、そのシリーズを好きになったらシリーズ全部を楽しめる。何かのシリーズを気に入ったら、シリーズの全巻を読んでみるといいですね。
そうしているうちに絵本が好きになるかもしれない。「この絵本も読んでみよう」と、ほかの絵本を読む気になるかもしれないので、シリーズものを好きなったら絵本好きになるチャンスです。
この「11ぴきのねこ」シリーズは6冊もでていて、全部おもしろかったです。ぶっ飛んだストーリーでどれを読んでもおもしろい。


けいたろうさんは、この絵本をどんな人にすすめたいですか?


うーーん。寝る前にクスッと笑いたい親子に、かな? クスクスッと笑って楽しい気持ちで寝られるのはいいと思いますよ。
「寝る前におすすめの絵本ってありますか?」って聞かれることがよくあるんですけど、子どもは静かな絵本で眠りたいと思っているわけじゃないこともあるので。寝る前に、絵本を読んでくれる特別な時間なので、笑っちゃう絵本っていいなと思います。「あはは、今日もたのしかったね」でいい気がします。


たしかに、この絵本は「おやすみー」と言って電気を消したあとに、ぼそぼそと感想を言い合える絵本ですね。


なんで11ぴきもいるのかなー? とか、なんで気球の形が魚なのかなーとかね(笑)。感想を言いたくなる絵本ですね。


けいたろうさん作『11ぴきのねことあほうどり』のポップ


 

 


作:馬場のぼる

定価
1,320円(本体1,200円+税)
発売日
サイズ
26cm×19cm
ISBN
978-4-7721-0033-5

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