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運命の出逢いがきっかけで絵本作家に! 子どもの頃の話を聞かせて!第11回「お笑い芸人・ムームー大陸 山﨑おしるこ」


大のダンゴムシ好き&お絵描き芸人としても知られる、吉本興業所属のお笑いコンビ「ムームー大陸」の山﨑おしるこさん。大阪で活動する人気若手芸人たち6名で結成されたバンド「ジュースごくごく倶楽部」で愛コーラとしてボーカルを担当するなど、多彩なジャンルで活躍中の山﨑さんが3月14日に、あふれ出るダンゴムシ愛と芸大出身のイラストスキルを駆使したダンゴムシをテーマとした絵本「だんごむしまつり」で、絵本作家としてデビューしました。そんな山﨑さんに子どもの頃の話などを聞いてみました。

【プロフィール】
山﨑おしるこ
福岡県出身。大阪芸術大学を卒業。現在、吉本興業所属のお笑いコンビ「ムームー大陸」として活動。イラストや似顔絵制作を得意とし、お絵描き芸人としても活躍。大のだんごむし好きとして知られ、「だんごむし愛好家」を自称。自宅で数種類のだんごむしを飼育している。他にも、人気バンド「ジュースごくごく倶楽部」ではボーカルを務め、ハンドメイドアクセサリーを販売するなど、アーティストとしても才能を発揮。今最も注目を集めるクリエイター芸人の一人。

 



子ども時代から虫とお絵かきが大好きだった

 6歳年上の兄と一緒に、セミを取りに行ったり、家族でキャンプしたりと、自然に親しむ環境で育っていたこともあり、ものごころついた時から、昆虫探しが大好きでした。それと同じくらいに絵を描くことも好きでした。小学生時代の調べ学習では、班で「どんな昆虫がどんなところにいるのか」といったことを発表したのですが、模造紙に昆虫の絵を描く役目をしたり、自由研究では、虫やトカゲを飼育して観察したりしていました。もちろん、イヌやネコも好きなんですよ(笑)。でも、小さい頃、親に「イヌが飼いたい」とお願いした時に、「イヌはだめだけど、虫だったらいいよ」と言われて。家の庭に虫がいっぱいいたので、よく捕まえて遊び相手になってもらっていました。子どもの頃は、トノサマバッタが大好きでした。カマキリもカッコいいなって思っていました。




 そんな私に対して、親は何も言わず、自由にさせてくれていましたね。とは言え、門限には厳しかったりと、すこし心配性だった面もありました。母もいきものが好きで、私が小学校高学年の頃、カナヘビの飼育にハマっていた時は、「職場の草刈りで捕まえた」といって、トカゲを家に連れ帰ってくれたのが、とってもうれしかったのを覚えています。



サンタさんがプレゼントしてくれたペンタブレットで、ますます絵にのめり込んだ小学校高学年~中高生時代

 絵本を読むことも好きで、子どもの頃は五味太郎さんの「きんぎょが にげた」が大好きでした。大きくなってからも、学校の図書館でいろいろな絵本を読んでいました。教室で絵を描いていると、みんな「上手だね」って声を掛けてくれたり、「○○描いてみて」とリクエストをもらったら、うれしくて頑張って描いてみたりと、絵がきっかけで友だちができたりすることもありましたね。

 小学5、6年生の頃からインターネットを使うようになって、お絵かき掲示板に絵を投稿しはじめていたのですが、当時はマウスで絵を描いていたんです。だんだんと、掲示板に上手な絵を投稿している人がペンタブレットというものを使って絵を描いていると知って、ものすごく憧れました。サンタさんに「ペンタブが欲しい」とお願いしたら、クリスマスの朝、枕元にペンタブがあって! それからは、もう夢中になってパソコンで絵を描いていました。

 習い事は、エレクトーンを5、6歳頃から小学校卒業くらいまで習っていました。合唱団にも入団していたので、やっぱり「虫」「絵」「音楽」が、子どもの頃から今もずっと変わりなく大好きなものですね。


お笑いの魅力に気づいた大学時代


 子ども時代はペットショップの店員さんになるのが夢でした。それがだんだんと変化して、漠然とですが「絵の仕事がしたいな」と思い始めて、高校では美術系のクラスを選択しました。高校時代のクラスメイトのほとんどが、芸術系の道に進むこともあり、私も大阪芸術大学に進学しました。大阪芸大は、笑福亭笑瓶師匠をはじめとする数多くのお笑い芸人さんや落語家さんの母校で、ミルクボーイさんやななまがりさんといった、お笑いコンビの先輩が落語研究会のご出身なのですが、在学中はそんなすごい先輩が卒業されていると知らなくて。私はよさこいサークルに所属して、よさこいを一生懸命躍っていたんですが、サークルには明るくておもしろいメンバーがたくさんいたんです。その人たちがお笑いが大好きで、私ももともと好きだったこともあって、お笑い芸人さんのラジオをいっぱい聞いたりするようになりました。その頃から、「自分でもお笑いに挑戦してみたい」という気持ちが芽生えてきました。よさこいサークルでは、合宿などでコントを披露したりする機会があって、毎年出場して、みんなの前でネタを見せて、笑ってもらえるとすごく楽しくて。「多くの人を笑顔にできるお笑い芸人さんになりたいな」とだんだん思うようになりました。

 大学卒業後は、吉本総合芸能学院(NSC)に40期生として入学しました。今の相方の渡邊直樹くんは、同期生になります。お笑い芸人になって良かったな、と思うのは、自分の変なところや失敗も笑いに昇華できるところですね。そして、いろいろなフィールドに挑戦できるのも大きな魅力だと感じています。私はムームー大陸として、東京の神保町よしもと漫才劇場のステージに立つのと同時に、芸人仲間とバンドを組んだり、今回のように絵本を出版する機会もいただきました。自分のやりたいことをいろいろチャレンジできるのは、本当に楽しくて、居心地のいい世界だな、と感じています。



大阪万博公園で行われた昆虫ツアーやザリガニ釣りイベントで、ガイド芸人を務めたことも。芸人になってからも、昆虫好きが仕事に生かされている。


だんごむしとの出会い、そして絵本に込めた思い

 小さい頃から虫が大好きでしたが、だんごむしの魅力に気づいたのは3年くらい前なんです。ある日、ゲームセンターのUFOキャッチャーの景品に、デフォルメされただんごむしのぬいぐるみストラップがあるのを見つけたんですが、それに胸を打たれまして…。丸くて大きな目と、まるっとしたフォルムで、「だんごむしってデフォルメしてこんなに可愛いんだ!」と衝撃を受けたんです。その日から、だんごむしのことで頭がいっぱいになって、家に帰ってインターネットで調べて、知れば知るほどすごい魅力の詰まったいきものだなって思ったのがきっかけです。庭や公園の石の裏にいる黒っぽいオカダンゴムシだけでなく、水玉模様のクラウンダンゴムシだったりと、いろんな種類がいて、奥深くって。だんごむしのことを考えるだけでテンションが本当に上がるんです。





 そんなだんごむしの魅力を得意のイラストをいかした絵本で、たくさんの子どもたちに伝えたい! という思いを、吉本興業が主催する吉本に所属する全タレントから本気で本を出したい人を募り、出版までをプロデュースするプロジェクト「出版チャレンジ塾」にぶつけました。すると、思いがけずたくさんの出版社の方々からお声がけをいただきまして、本当にうれしかったです。

 3月14日に出版された、私の絵本『だんごむしまつり』は、ある晩に開催されるだんごむしたちのおまつりと、そこに現れた、一際美しい青い色のだんごむしをめぐるお話です。私は、ミュージカル「キャッツ」が大好きなので、そのだんごむし版といったイメージで物語を作りました。

 今回、絵本作家としてデビューするという幸運に恵まれました。小さな頃から大好きだった「虫」と「絵」を大人になっても夢中になっていたら、こんな素敵な未来に繋がりました。いろんな「好き」を大切にすることで、いろいろな可能性が広がっていくんだな、と実感しています。

 だんごむしに日頃から興味を持っているお子さんはもちろん、虫との触れ合いが少ないお子さんにも、出会いの一冊として、ぜひ読んであげてほしいなと思います。「虫はちょっと苦手で…」という親御さんも、「絵本のだんごむしは、なんか可愛いな」って、ちょっとでも思っていただけたら、日常で出会うだんごむしに注目してみていただけたら嬉しいです。

取材・文:中村実香






書籍情報


著者: 山崎 おしるこ

定価
1,650円(本体1,500円+税)
発売日
サイズ
B5変形判
ISBN
9784046067906

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