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【スペシャリストに聞く 子どもの頃のこと、教えてください!】 数学インフルエンサー・古賀真輝


「分かりやすく伝えるよりも正確さを第一に考える」をモットーに、YouTubeチャンネル「Masaki Koga [数学解説] 」(チャンネル登録者数 6.91万人)にて高校・大学数学を解説している数学インフルエンサー・古賀真輝さん。YouTuberとして活躍する一方で、私立中高一貫校の現役数学教師という顔も持つ古賀さんに、子どもの頃の話、そして数学教師という道を選ぶまでを聞いてみました。

【プロフィール】
古賀真輝
開成中・高から京都大学、同大学院へと進み、現在は関西の私立中高一貫校で数学教師としても活躍中の数学インフルエンサー。著書に「数学の世界地図」(KADOKAWA)がある。

 





子どもの頃から、とにかく算数が大好きだった

 自分では割と普通の子どもだったと思うんですけど、物心ついた頃から、算数や数学はずっと好きでしたね。小学1年生で日本に帰国するまではアメリカにいたのですが、そこで公文式を習っていました。自主的に問題を解いていただけでなく、習ったことを参考に自分でプリントを作って、親に問題を解かせていました(笑)。今思うと、幼稚園時代から今とやっていることが変わらないんですよね。

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 当時、算数のどんな部分に魅力を感じていたのか、と考えると、「計算すると、答えがわかる」というところだったと思います。とにかく楽しくて、幼稚園の先生に九九を書いたのを見せたり、小学校に入学する頃にはかけ算や割り算もマスターしていました。とにかくひたすら問題を解いていたことを覚えています。小学3年生くらいの頃には、中3までの学習範囲をすべて終わらせることができて、とても嬉しかったという記憶が残っていますね。そんな中でも、小学校の授業は真面目に受けていましたよ。周りの友だちや算数が苦手な子に教えたりしていたのですが、その時に、教える楽しさや喜びを知ったような気もします。あ、でも友だちには自作のプリントを解かせたりはしてないですよ(笑)。




 でも、算数漬けという訳ではなく、親の影響で2、3歳の頃からテニススクールに通ったり、ピアノを習ったり。外で友だちと遊んだり、テレビゲームをしたり、アニメを観たりと、ごく普通の子ども時代を過ごしました。アメリカにいた頃は、いろいろな人種の子が通う幼稚園で、友だちと仲良く遊んでいました。自分のバースデーパーティーで、飾り付けを手にして笑っている写真も残っています。英語はしっかり習得していたようで、英語が苦手な母に代わって、父が入院する病院内の案内を読んであげた、といったこともありました。本もよく読みましたね。親に書店へよく連れて行ってもらっていました。小学生くらいになると、家にあった「ハリー・ポッター」シリーズを一日一冊のペースで読んでいました。その後、小学3年生で塾に通いはじめたのを機に、勉強に集中するようになったので、テニスとピアノとは距離を置くことになりました。

 小学低学年の頃は、電車の運転手になりたかったんです。でも、中学受験が間近になってきた頃には、なんとなく医者がいいかな、と思うようになりました。開成中学校を受験しようと思ったのは、自由な校風と充実した行事に魅力を感じたから。入学してからは、学校行事が好きになりました。行事は生徒主体で運営されるのですが、その中でも春に行われる運動会は、とても大規模で、審議会、準備委員会、審判団、記録委員会とさまざまな組織が関わります。準備委員会の委員長に就任した時は、運動会を成功させるため、奔走しました。とても大変でしたが、いま振り返っても本当に充実した時間だったな、と思います。もちろん数学への情熱は変わらず、同じ問題を一週間考え続けたりしていました。





数学のことを話す機会を増やしたくて、YouTuberに

 開成中・高には、大学院に通いながら生徒に勉強を教えてくれている先生が何人かいて、数学の指導をしてもらっていたんです。その中で、僕も「自分の専門分野を研究しながら中高生に教える場を持ちたい」という思いを抱いていました。ずっと同じ問題を突き詰めるという数学の研究も好きなのですが、非常勤講師として子ども達に数学を教える中で教材を作ったり、解けなかった問題の答えにたどり着くことができた生徒の反応に、大きな喜びと達成感を覚えたことから、教師という道を選びました。

 Youtubeでは大学受験に向けた数学や、高度な大学数学などについて解説しています。きっかけは、単純に数学のことを話す機会を増やしたいから(笑)。高校3年生の時、志望大学を東京大学から京都大学に変更したことで余裕ができたのを機に始めて、もう今年で10年になりますね。今、授業を受け持っているのが中学生なので、彼らにとっては難しいレベルなのですが、動画にコメントを残してくれたりするのは、とても嬉しいです。教師という本業があるので、Youtubeの動画作成はあくまでも趣味のひとつですが、今後も続けていきたいと思っています。




 京都大学大学院に在籍中、「周囲はもっと勉強している」とプレッシャーを感じ、前に進もうと焦りすぎて、休学したことがあるんです。やっぱり自分のペースで無理なく頑張ることが、好きなことを続けていける秘訣だと思いますね。今も、数学で煮詰まった時は、別の問題を解いてリフレッシュしています(笑)。


書籍「数学の世界地図」で数学の楽しさを知ってもらえたら

 今回、出版した「数学の世界地図」は、数学の世界を俯瞰できるガイドマップです。中学校や高校で習った数学が、学問としてどのような広がりを見せるのかを解説しています。数学を学び、研究するということは山登りと似ているんです。登っている最中は難しいと感じていたことも、頂上から見下ろすことで簡単に見えるようになるものですが、まだふもとにいる人からは、上の様子やそこから見下ろした景色がどうなっているかは想像しづらいですよね。数学も同様で、道半ばで挫けてしまうことも少なくありません。
「数学の世界地図」という本は、数学の困難を克服することを目的としています。旅行に行く際に買うガイドブックは、眺めるだけでも楽しいですよね。それと同じように、これから先、数学という山の上の方にどのような世界が待っているのかを本書を見て、知っておくことで今歩んでいる道も楽しめるようになったり、これからの観光ルートもはっきりしたりするでしょう。本書をきっかけに、少しでも数学に興味をもったり、チャレンジしてみようと思ったりする人が増えると嬉しいです。 



ライター:中村実香

 



書籍情報▼


著者:古賀 真輝

定価
2,420円(本体2,200円+税)
発売日
サイズ
A5判
ISBN
9784046056276

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