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聞かせて!けいたろう 第14回 《恐竜絵本~想像力を広げたら~》


今回のテーマは恐竜絵本。恐竜の絵本を手にとったことがない方でも楽しめる、けいたろうさん特選の絵本です。もし恐竜がいたらどんな風に生きているのだろう? ぜひ想像してみてください!

こんにちは!聞かせ屋。けいたろうです。
今月のテーマは[恐竜の絵本]ということで、僕がオススメの絵本とそのポイントについて、お伝えしたいと思います。

[恐竜の絵本]と聞いて、皆さんが真っ先に思い浮かべる絵本は何ですか?
あくまでも僕の感覚ですが、日本には恐竜絵本がとても少ないと思うのです。僕がアメリカに行った時、本屋さんの絵本コーナーには、dinosaurというコーナーがありましたが、日本の本屋さんでそういう特集が組まれるのは、稀だと思います。でも、安心してください! 日本にも上質な恐竜絵本があるのですよ。まずは、この絵本を紹介しましょう。



『けがをした恐竜 化石が語るティラノサウルスの話』作:黒川みつひろ(こぐま社刊)

ティラノサウルスは、どう猛で恐ろしい恐竜というイメージが強いと思います。しかし、この絵本に描かれているのは、足にケガを負って動けなくなったお母さんティラノサウス。彼女を守る、家族の絆の物語なのです。大型肉食恐竜は、その強さから憧れを持たれるのと同時に、悪役にもされがちです。でも彼らが強い理由は自らが生きる為。僕らと同じように、ティラノサウスにも愛情があって、家族と支え合いながら生きていたのではないかと想像すると、何だか親しみがわいてきますね。

この絵本をはじめ、沢山の恐竜絵本をつくられているのが黒川みつひろさん。自らを[恐竜絵本作家]と称しています。黒川さんは、実際に見たこともない、ましてや性格も分からない恐竜達の物語を、どうやって考えているのだろう? と思いますが、その発想の元は[化石]なのだそうです。この絵本のモデルになったティラノサウスの化石の足には、骨折をして治った痕跡があったそうです。黒川さんは、そこからこのお話を想像したとのことでした。想像力と恐竜への愛情が、恐竜絵本をつくるエネルギーになるのだなと、僕は感じました。
恐竜の絵本はやはり「想像」がポイントなのかもしれません。



『きょうりゅうたちのおやすみなさい』文:ジェイン・ヨーレン/絵:マーク・ティーグ/訳:なかがわちひろ(小峰書店刊)

こちらはアメリカからやってきた翻訳絵本です。この絵本の魅力は、何と言っても描かれた恐竜の迫力! ページいっぱい、所せましと住宅の中に描かれた恐竜達。これが日本の住宅であれば、きっと収まりません(笑)。そしておもしろいのは、彼らが子どものように駄々をこねるところでしょう。「やあだもーん!」なんて言う恐竜は、他の絵本では見たことがありません。これも作者の想像力ですね!

この絵本はシリーズになっていて、『きょうりゅうたちのおやすみなさい』『きょうりゅうたちのいただきます』と続きますが、どの恐竜が登場しても茶目っ気たっぷり。この本を手にした日本の子どもたちはきっと、恐竜を友達のように思うのではないでしょうか? 人間の子どものような恐竜が現代に生きていたら……と想像するのも楽しいですね。
恐竜の絵本はやはり「想像」がポイントなのかもしれません。



『まいごのたまご』作:アレックス・ラティマー/訳:聞かせ屋。けいたろう(KADOKAWA刊)

さて、最後に紹介するのは『まいごのたまご』。僕が翻訳した絵本です。
今回は、僕もこの絵本の一読者として、魅力を見つけてみようと思います。まず、印象的なのが表紙ですね。「卵が主役!」と言わんばかりで、横から恐竜達の顔がのぞいています。この絵本に登場する恐竜達はカラフル! 体つきもシンプルで、丸みを帯びています。先に紹介した絵本の恐竜達とは、大分違います。実際の恐竜の色は分かっておらず、描く人の想像に任されています。生息地域や食べていたものは分かっていますから、そこから推測して色をつけたり、既にあるイメージで色を塗ったりもするそうです。『まいごのたまご』のようにここまでカラフルな恐竜を見ることは少ないですが、こういう想像もあって良いのだと思います。

恐竜が大好きな子どもが恐竜絵本に求めるものは、迫力だったり、ちょっとした恐さだったりもするのでしょう。でも、初めて恐竜絵本に触れる子どもは、この恐竜達の色や、丸みを帯びた体つきに、親しみを感じてくれるかもしれません。卵の中身との会話をもとに、親の姿を想像する恐竜達。そして、皆で協力して卵を親元へ届ける優しさも、人間臭くて面白いですね。こんな恐竜達を想像するのも自由です。
絵本をつくる方達の想像をきっかけとして、読者である子ども達の想像が広がっていけば嬉しいですね。

↓恐竜の骨格を元に、姿を想像して描き、色を塗る!まさに想像ぬりえです。



『恐竜 骨ぬりえ』構成:岡田善敬/監修:小林快次(KADOKAWA刊)

今月紹介した絵本


作:黒川みつひろ 作 (こぐま社刊)

定価
1,760円(本体1,600円+税)
発売日
サイズ
28×22cm
ISBN
9784772101981

文:ジェイン・ヨーレン /絵:マーク・ティーグ /訳:なかがわちひろ (小峰書店刊)

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
31×23cm
ISBN
9784338126274

さく:アレックス・ラティマー/やく:聞かせ屋。けいたろう(KADOKAWA刊)

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
その他
ISBN
9784041065631

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構成:岡田/善敬監修:小林 快次

定価
1,375円(本体1,250円+税)
発売日
サイズ
A4判
ISBN
9784041086506

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