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今回は、みなさんからいただいた質問のなかから、絵を読むスピードや抑揚(よくよう)をつける?などの絵本の読み方と、絵本の読み聞かせ会や、ごく一般的な絵本の選び方などについてけいたろうさんに答えてもらいました。
質問1【絵本の読み方】◆読み聞かせは、抑揚をつけない方がいいとか感情をこめない方がいいという意見もありますが、実際はどちらの方が効果的なのでしょうか? (3歳の女の子向け)
➡よく聞かれる質問です。皆さん疑問に思っているのですね~! 読み手も一緒に絵本を味わっていれば、自然と声色も変わります。鬼と少女が同じ声にはならないですよね(笑)。また、読み方に感情も表れるでしょう。感情をわざわざ抑えて読むのも不自然で、ぎこちなくなると思いますし、読み手が楽しめないような気がします。読み手も自然体で楽しんだ方が、伝わると思います。
質問2【絵本の読み方】◆以前、ある読み聞かせ講習会に参加した時に、「読み手は感情を込めて読んではいけない」「この本は読み聞かせに向いてない」と言われ、納得いかない気持ちになった経験があります。 小さい本屋で読み聞かせをしていますが、人数もそんなに来ないので、子供たちがその場で選んだ本を読んだりしています。 その場の子供たちの反応を見ながら、抑揚をつけたりして楽しんでいますが、これも子供たちへの押し付けになってしまうのでしょうか? 子供たちは、2歳〜小学生中学年くらいまできます。
➡僕もそんな風に言い切られると、納得がいかない (笑) ! こちらも、感情や抑揚についてですね。
読み聞かせに「決まり」はありません。読み手もお話を楽しんでいれば、多少の抑揚や声色がつくのは自然なことです。
ただ、絵本より読み手が立ち過ぎてしまうと、もったいないとは思います。僕は読み聞かせの活動を始めた頃、声色も抑揚も目一杯つけて読んでいました。ある時、鬼が出てくる絵本を読む中で、「お前のな〜!」と怖い声で鬼を演じたのです。気付くと子ども達が、絵本でなく僕の方を見ていました。絵本の絵を見てほしかったのに、僕の下手な芝居の方が目立っていたのです。その日からは読めば読む程、シンプルに自然になっていきました。
読み手でなく絵本が主役になったら、素敵ですね。
質問3【絵本の読み方】◆読み聞かせのスピードはどれくらいがいいのでしょうか? 早すぎるとダメかなと勝手に思っているのですが。 (5歳男の子向け)
➡子どもの年齢や、絵本の内容によっても、理想のスピードは変わると思うのですが、赤ちゃん絵本は特にゆっくり読むのがオススメです。絵本を通した親子のふれあいを味わって欲しいですね。幼児に関してもその思いは一緒で、早過ぎない方が良いと思います。
僕は「よむのがはやい!」と言われたことはあるのですが、「おそい!」と言われたことは無いのです。大人が思っている以上に子どもは、絵とふれあいを楽しんでいるのかもしれませんね。
質問4【絵本の選び方】◆妊娠中の両親学級で、地域の図書館員さんから「良い絵本の選び方は、奥付(最後のページ)に書いてある発行日が古ければ古いほど、刷数が多ければ多いほど良い絵本です」と教わり、モヤッとしました。本当にそうなんでしょうか?
➡僕も今、モヤっとしました(笑)。その方がおっしゃることも間違いではないですが、そこに固執しては、もったいないと思います。売れているから良い絵本とは言い切れないですし、逆にあまり広まっていない絵本でも、その子にぴったりの絵本があるかもしれません。もちろん新しい絵本でも、良いものは沢山ありますよ!
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『ぷあぷあ』文:うしろ よしあき/絵:かまた みつよ (KADOKAWA刊)
飛んでいく赤い風船を、シンプルに追いかけるこの絵本。「本をめくるのって、楽しい」初めて絵本に触れた子ども達も、そんな風に感じてくれると思います。
質問5【絵本の選び方】◆読み聞かせる相手が(読み聞かせ会が)始めるまでわからない時の選書について教えてください。赤ちゃんとおうちの方、そのご兄弟は幼稚園や小学生だったり、おじいちゃんやおばあちゃんだったり…年齢に関係なく読めるオールマイティーな絵本とは?
➡赤ちゃんから親御さん楽しめる絵本として、歌絵本がおすすめです。数冊読むおはなし会では、メリハリもつきますよ。
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『どんな いろが すき』絵:100%ORANGE (フレーベル館刊)
絵本を開いて歌えば「あか!」「あお!」「きいろ!」と、子どもの元気な声が聞こえてきます。100%ORANGEさん絵が、まさにカラフルで素敵!
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『はじめまして』作:新沢としひこ/絵:大和田美鈴(鈴木出版刊)
タイトル通り、初めて出会う子どもたちとの距離を、歌と絵で縮めてくれる絵本です。赤ちゃんも親しめる内容で、場の雰囲気を穏やかにしてくれます。