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子育て・教育

楽しみ方がわかる! はじめての、親子えほん 第1回<子どもが大好き! 繰り返しえほんのヒミツ>


こんにちは!《聞かせ屋。けいたろう》です。
僕は子どもや大人に絵本の読み聞かせをするプロです。二人の娘がいて、保育士でもあるので、絵本と常に一緒です。
そんな僕が、「子どもに絵本を読みたいな」「どんな絵本がいいのかな?」と思っているみなさんに、おすすめの絵本を紹介するコーナーです!
気軽に絵本を手に取ってもらえるように、楽しく紹介していきますね!

今回のテーマは、「繰り返しえほんのヒミツ」です。さっそく見ていきましょう!
まず、「繰り返し」って、どんなことでしょう? たとえば、おじいさんが来て、おばあさんが来て、孫が来て、犬が来て……みなさんこのお話しを知っていますよね? (そう、『おおきなかぶ』!)
いろいろな人が同じようにやってくるように、同じ展開が繰り返されるのが、“繰り返し”です。
子どもたちは、この”繰り返し”が大好き! そのヒミツは……。
「次はこうなるのかな?」と繰り返しのパターンに気づくと、「次も同じ展開なら、こうなるだろうな!」という予想ができます。期待もします。そしてページをめくって期待通りの展開があると、「やっぱり!」と楽しくなります。逆に、「え?そうなるの!?」という意外な展開が来ると、「じゃあ、次はどうなるんだろう?」と予想のつかないお話しにわくわくするんだと思います。
このように、ページをめくるたびに「楽しい!」と感じられるのが、繰り返しの魅力です。
赤ちゃん絵本を卒業した3歳くらいからの幼児期は、ある程度お話しの予測がついたほうがゆったりとした気持ちで絵本を楽しめます。心の余裕と驚きの繰り返し。こういったわけで、子どもたちは繰り返しえほんが大好きなのですね!


『てぶくろ』(福音館書店)
絵/エウゲーニー・M・ラチョフ
訳/うちだりさこ


冬の定番絵本『てぶくろ』です。知っている人もいるのではないでしょうか? この絵本の舞台は、雪が降り積もる森の中。そこに落ちていた人間の手袋に、動物が次々と入っていくお話です。
まずはネズミ、次にカエル、そしてウサギ、キツネ……と続いて、最後にはクマが入ります。当然、人間の手袋に入りきるはずのない大勢でさらに大きなメンバーなのですが、入ってしまうからおもしろい。
はじめにネズミが手袋に入ってひと言「ここで くらすことに するわ」。読者が、「あぁ、この手袋はネズミのおうちになるんだな」と思ったところで、二番目にカエルがやって来る。この時点で「この二匹はどうなるんだろう?」と思う子がいたり「次は誰かな?」と次の展開を察する子がいるかもしれません。そこへさらにウサギがやって来ます。これで、多くの子どもは気付くと思います。「どんどん動物がやってくる繰り返しのお話か!」と。
そして同時に、次から次へとやって来る動物がどんどん大きくなっていく事にも気付いて、次もそうであることを期待するでしょう。その期待にこたえるかのように、動物達は大きくなり、手袋も動物の“すみか”らしく変化していきます。
このように「こうかな?」と自分で想像したとおりになる物語、わくわくして楽しいですよね! さて、この手袋は最後にどうなるのでしょうか? ぜひ絵本を読んでみてくださいね。


『どうぶつしんちょうそくてい』(アリス館)
文/聞かせ屋。けいたろう 絵/高畠純


次は『どうぶつしんちょうそくてい』を見てみましょう。僕の作品です。これもおもしろいですよ!
動物園で、動物たちが順番に身長を測るお話です。
一番目はウサギ、ピンと耳を伸ばして測ります。二番目はカンガルー、ジャンプをしてしまい、測れません。このお話も二匹目が来たところで子ども達は“繰り返しのパターン”に気が付き、三匹目がやって来ることも期待するでしょうし、動物がどんどん大きくなることにも期待すると思います。その期待通り、三番目に早くも背の高さでは最大であろうキリンが!



ここがこの絵本のピークです(笑)。早い段階で子どもの心をつかみたかったので、「やっぱり!」という気持ちのいい展開にしました。
しかし、身長測定としては最大の動物を三番目に出してしまって、その後はどうするのか? ここまでを直球とするならば、四番目からは変化球です。ワニが三頭重なって測る、コウモリが逆さまに測る等の変化を加えています。



予想外の展開に、子どもは思わず笑ったり、「ずるーい!」と声をあげたりしてくれます。でもやはり最後は直球に戻さないとスッキリ終われないのですが……。最長のキリンは登場済み。そこで僕は、一番上手に身長を測れる動物として、シロクマに登場してもらいました。



シロクマは、人間と同じようにかかとをつけて真っすぐに立つことができます。大きさとしても人間に近く、海外のバスケットボール選手の身長としては、あり得る(笑)。
大きいうえに、一番上手に立てるという、身長測定としてのオチを作ったのです。
ちなみにこの絵本では、次に登場する動物が、前のページでも少しのぞいています。
繰り返しの期待感をふくらませているかもしれません。これは、絵を描いてくれた高畠純さんのアイデアです。「繰り返しの絵本は、次の展開が楽しみだよね。次の動物がちょっとのぞいていたらどうかな」と言っていました。

絵本には、一度読んだだけでは味わいきれない魅力があります。同じ絵本を何度も繰り返して読むのも、絵本を楽しむひけつですよ。
子どもはよく「もういっかい!」と言います。
楽しいことは「もういっかい!」嬉しいことも「もういっかい!」
繰り返しの魅力は、日々の中にも沢山あるのかもしれませんね。


絵:エウゲーニー・M・ラチョフ/訳:うちだ りさこ (福音館書店)

定価
1,100円(本体1,000円+税)
発売日
サイズ
28cm×23cm
ISBN
978483400050-4

文:聞かせ屋。けいたろう/絵:高畠純

定価
1,430円(本体1,300円+税)
発売日
サイズ
B5判
ISBN
9784752006800

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