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Children & Education

子育て・教育

世界と比べた日本の子どものねむり事情


小さいころから、学校以外にも習い事や塾などでとても忙しい子どもたち。「寝る時間を削ってでも……」となりがちですが、「睡眠」こそ賢い子・生き抜く力を持つ子に育つためにとても重要なもの。

そうはいってもなかなか時間がとれない、とお悩みの保護者のみなさんのために、親も子もがんばりすぎないベストな睡眠のためのよい方法をお伝えするのがこの本です。

※本連載は『忙しくても能力がどんどん引き出される 子どものためのベスト睡眠』から一部抜粋して構成された記事です。記事内で使用している写真は本誌には掲載されていません。


 私が暮らすアメリカでは、小児科医と1対1の最初の健診が生まれて3〜5日以内にあり、その後2歳半までに8回、そして2歳以降は1年に1回、これが21歳まであります。その際に必ず小児科の先生に「お子さんの睡眠時間は?」「昼寝はする?」「夜はまとまってどれくらい寝ているか?」と聞かれます。生後6ヶ月の健診時に「子どもが夜中に何回も起きる」と伝えると「ママもしっかり眠らないといけないし、もう寝る力はあるから子どもがひとりで寝るように、ねんねトレーニングをしなさいね」と子どもも親も睡眠を確保するように促されることもあります。



 そしてこの「よく眠れている?」という質問は、10歳以上の子どもに対しても必ずあります。もし、ここで子どもがぐっすり眠れていないとなれば具体的なアドバイスをされますし、睡眠にトラブルを抱えているようなら睡眠の専門家の紹介もしてくれます。子どもの人生にとってどれほど睡眠が重要なのかということが、アメリカにいると実体験としてわかります。

 日本では、生後1ヶ月〜3歳までほとんどの地方自治体で実施している乳幼児健診がありますよね。そこで「睡眠のリズムはできましたか?」「朝は何時に起きて夜は何時に寝ますか?」とたずねられることもあると思います。でも、その健診以降、「子どもの睡眠時間を確保できているか」と確認される機会はあまりないかもしれません。これを踏まえても、就学期前後の日本の子どもたちの睡眠は二の次になっているような気がします。

 実際、日本の3歳以下の子どもの睡眠時間を世界の子どもたちと比較したら、なんとワースト1位という結果が出ています(図2)。米国国立睡眠財団によると、3歳の子どもの理想的な睡眠時間は1日10〜13時間です(図1)。



 



 しかし、日本の0〜3歳児の総睡眠時間の平均は約10時間30分で、推奨される睡眠時間内に届いていません。また、年代別に見ても日本の子どもの睡眠時間はすべての年齢で推奨される睡眠時間に足りていない、ということも見てとれます(図3)。



 ちなみにフィンランドでは中学生は平均的に22時までに就寝をしますが、日本の中学生は0時前後に寝る子どもが多いという調査結果があります。フィンランドで日本のように0時に寝る中学生がいたら、虐待だと言われることすらあるそうです。教育熱心な日本、そして世界トップクラスともいわれる教育を誇るフィンランド。どちらの国も子どもの教育に力を注いでいますが、睡眠に対する捉え方は随分と違うようです。もちろん、子どもを取り囲む環境が違うのでフィンランドのように就寝時間を早めるのは日本では難しいのは理解できます。でも、日本の子どものいる環境に適した質の良い睡眠法を探して、それを子どもに促すことは必要だと思うのです。



 

■ 「休む時はしっかり休む」を心がける

私(著者)が自分の子どもたちに願うのは、「自分自身を好きでいること」と「やり抜く力を身につけること」。しかし、しっかり睡眠がとれていないと、この2つを育むのはなかなか難しいのです。

そして大人が幸せで幸福度が高いことも、子どもの笑顔に大きく影響します。ですので、この本では大人の睡眠についてもふれています。

親も子も、睡眠をないがしろにせず「休む時はしっかり休む」を心がけていただけることがとても大事。この本がみなさんにとって、「最高のねむり」を手に入れられるヒントになることを心から祈っています。

書籍情報


著者: 愛波 あや 監修: 三池 輝久

定価
1,650円(本体1,500円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784046068576

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