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小学校受験はどんな人が受けるの? 基礎知識を専門家にお聞きしました


少子化と言われる今、コロナ以降首都圏を中心に高まりつつある小学校受験。具体的にどんな試験内容で、いつ頃からどんな準備をすればいいのでしょうか。そこで、11月24日に発売される小学校受験に役立つ絵本『やってみよう!』(KADOKAWA)を監修してくださった、伸芽会 教育研究所の麻生尚子先生に全3回で小学校受験にまつわるお話を伺います。
絵本と合わせて読んでいただけると、さらに理解が深まること間違いなしです!

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そもそも、私学や国立にはなぜ小学校受験があるのでしょうか?

 小学校は義務教育ですから、お住まいの地域の公立小学校には誰でも入学できるわけです。そんな中、公立とは違った「建学の精神(その学校のポリシーや教育理念など)」や教育内容を知り、いいなと思った人が、それぞれの学校が求める入学基準をクリアするために受ける試験が小学校受験です。学校により異なりますが、一般的な私学ではペーパー・行動観察・面接・運動、国立ではこれらに加えて抽選があります。

 ちなみに、令和元年度「文部科学省の学校基本調査」によると、小学校は全国に19,738校ある中で、私立小学校は237校、国立小学校は69校。私立と国立小学校を合わせると全体の1.5%です。また、全国的に見ると関東に私立・国立小学校が集中しており、関東圏ではおよそ20人に1人は公立以外の小学校に進学している計算になります。
(参考:令和元年度、文部科学省「文部科学統計要覧」)


私立、国立、公立はどんな違いがありますか?

 私立は運営母体が学校法人ですから、国が決めた文科省の指導要領+αで、独自のカリキュラムを自由に盛り込むことができます。また、各学校で特色ある学校行事やクラブ活動、体験学習などにも力を入れています。加えて、基本的には先生の異動がないので、学校の理念が代々受け継がれやすく、卒業後も恩師に会いに学校を訪れやすく、母校愛も強くなる傾向があります。

 一方の国立小学校は、国が定める教育研究機関です。教育大学の実験校という位置づけなので、各担任の先生が研究している先進的で専門的な学びを受けられたりしますし、同じ学年でも隣のクラスで別のことをしていることもあります。また、居住地により受験できる小学校が決められています。さらに、入学金や授業料がかからないため、毎年数十倍と高い倍率なのも国立小学校の特色のひとつです。

 公立小学校の特徴は、地域のお友だちがいることや多様性などがありますが、最大のメリットは通いやすさと費用の安さでしょう。習い事などの学校外教育費も含めると、公立小学校は6年間で191万円なのに対し、私立小学校は913万円。およそ4.7倍の差があります(参考:平成30年度、文部科学省「子どもの学習費調査」)。また、近頃は公立でも最先端の教育を取り入れる学校や、都内だと番町小学校や白金小学校、青南小学校といった難関中学に合格者を輩出する「名門公立小」と呼ばれる学校が増えており、少しでもいい教育をと考え、その学区に引っ越す人も少なくありません。




専業主婦や名門幼稚園でなくても小学校受験できますか?

 できます! まず、共働き世帯に関しては、最近では受験者の半数以上が共働き世帯です。学校側も共働き世帯の増加を考慮して、学内に学童を設置する私学も増えています。
出身園に関しても同様で、最近は保育園やこども園から小学校受験をする方もとても増えています。
 理由としては、小学校受験で問われるベースが、遊びや家庭教育の延長であることが多いからです。普段から「きちんと話を聞ける」、「お友だちと仲良く遊ぶのが得意」といった子にとっては、小学校受験はその延長となります。もちろん、名門幼稚園や受験対策をしてくれる保育園では、士気は高まり、学ぶ素地があるのは事実ですが、決して保育園児ができないわけではありません。

 ただし、受験対策を家庭だけで行うのは難しいと思います。幼児教室に通うことで、生活の中で意識を向けるといいこと、お子さんが持っている力を引き上げる適格なアドバイスができます。また、小学校受験はさまざまな噂が飛び交う世界なので(だいたいが事実と異なりますが)、正しい情報収集をしながら願書や面接の指導が受けられるなど、幼児教室は親にとってのメリットが大きい場所と言えます。





私立、国立、公立の特徴と家庭の教育観がマッチする学校を選ぼう!

連載第1回は、「小学校受験はどんな人が受けるの?」というテーマでお話を伺いました。
私立、国立、公立とそれぞれの良さや特徴を知り、それぞれのご家庭の教育観と照らし合わせたうえで、挑戦してみたいと思う人が小学校受験をするということ。さらに、昨今は共働き世帯や保育園からでも小学校受験をする人も増えているということがお分かりいただけたでしょうか。第2回では、小学校受験のより詳しい準備についてお伝えしていきます。


取材・文 加藤朋美




◆監修者プロフィール◆

伸芽会教育研究所 麻生尚子
幼児教育歴23年。元幼稚園教諭でもある経験を活かし、幼児の発達段階に応じたきめ細かい指導により雙葉小学校、白百合学園小学校をはじめとする女子難関校から、国立を含めた難関共学校、また白百合学園幼稚園や豊明幼稚園などの幼稚園受験など幅広く合格者を輩出。



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