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小学校受験の準備はいつから? どんな子が向いてる? 基礎知識を専門家にお聞きしました


少子化と言われる今、コロナ以降首都圏を中心に高まりつつある小学校受験。具体的にどんな試験内容で、いつ頃からどんな準備をすればいいのでしょうか。そこで、11月24日に発売される小学校受験に役立つ絵本『やってみよう!』(KADOKAWA)を監修してくださった、伸芽会 教育研究所の麻生尚子先生に全3回で小学校受験にまつわるお話を伺います。
絵本と合わせて読んでいただけると、さらに理解が深まること間違いなしです!

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小学校受験の準備は何歳から始めればいいのでしょうか?

 年中クラスから始められる方が多いようです(幼児教室では年少の11月が新年中の新学期になります)。とはいえ、最近では年少クラス(3歳)の受講者も増えています。小学校受験準備は先取り学習がメインの中学受験とは異なりますから、早めからスタートするのは保護者にとっても子にとってもいいことなんです。主な理由は2つあります。

 その1 長い期間をかけて合う学校を選べる 
 長年培われた私学の理念は、大きくは変わらないので、早めに見学を始めても校風が変わらないため情報収集がしっかりできます。また、学校見学や学校説明会が行われる時期が重なりますから、特に共働きのご家庭の場合、年長の1年でこれらをやろうとすると、負担が大きくなると共に、足を運べない学校も出てきてしまいます。少しでも早めに学校選びを始めることが、結果的に余裕をもって小学校受験準備をすることができるのです。

 その2 季節や常識が身に付きやすい 
 たとえば、小学校受験でよく問われる常識(季節)の問題。新年長からだと秋冬春夏と四季を1周しか確認ができないまま本番を迎えますが、年少からだと3周ありますから、十分に意識を向けることができます。さらに、数の操作や物の出し入れなど数量の問題に関しても、年少の基礎の時期から学んでいる子たちは、具体物を使って身近なこととして捉えられるようになっているため、年長からの応用になったときに、年中や年長から入った子と考える力の素地の差があるのは事実です。

 とはいえ、3歳からいきなり勉強をするのではなくて、まずは「学ぶ楽しさ」や「達成感」を味わいながら集中する練習をしていきます。それらを蓄積していくことで、年長時の難しい問題にも粘り強く立ち向かうことができるのです。





どんな子が小学校受験に向いていますか?

 「ある程度の生活習慣が身についている子」「いろいろなことにチャレンジして楽しめる子」「先生やお友だちなど周りの人への興味関心を持てる子」などは、小学校受験に向いていると思います。こういうお話をすると、積極的でコミュニケーション能力が高い子しか向いていないのでは? などと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。おとなしい性格でも、好きなものに没頭できる子や、積極性はないけれどじっくり取り組める子は、表には出さないけれど静かに楽しめるタイプですから問題ありません。人の話を聞かない子、じっと座っていられない子は、その力を育むことが必要ですが、どんなお子さんでもチャレンジする資質は十分にあると思います。





小学校受験よりも中学受験に向いている子もいるのでしょうか?

 たとえば男の子で、頭の回転が速く面白い発想力や個性を持っているけれど、やや協調性に欠けたり、我慢ができないなどやや幼いお子さんは、「受験が今じゃない」という場合もあります。その場合は、併願校として中学受験に力を入れている私立小学校をご提案することもあります。

 ご家庭の教育方針として、私立小学校に通っても中学受験や高校受験を考えているのか、それとも一貫校で受験に追われずのびやかに大学まで過ごしたいかで、アドバイスする学校が変わってきます。いずれにしても、小学校受験で学習習慣や学ぶ楽しさを身に付けたお子さんは、中学受験の素地にもつながり、高学年で受験準備をする際にも力を発揮すると感じています。


小学校受験のために必要な習い事はありますか?

 これをしたから有利、不利などというものはありませんが、「体操」と「絵画」を幼児教室とあわせて習っているお子さんは多いかもしれません。体操では、小学校通学や受験準備にも欠かせない体力や体幹はもちろん、課題にチャレンジする気持ち、頑張りぬく精神、待つ姿勢なども鍛えられます。
絵画は、まさに小学校受験の制作課題でも出題されるテーマです。ところが、得手・不得手も明確なため、苦手意識を持つお子さんや、保護者の方も「うまく教えられない」と言う方がいらっしゃいます。描く楽しさを知るきっかけ作りとして、プロの方のお力を借りたい方も多いようです。絵画教室では何を思って描いたかを相手に伝える表現力や、限られた時間の中で描く優先順位なども学ぶことができます。

 どちらも、「こうでなければダメ」という型を覚えるためではなくて、体操や絵画が好きな子であればもっと得意になって自信をつける、苦手や恐怖心があるお子さんは、習い事を通じて苦手意識を克服して上達するきっかけになることが目的です。

 他の習い事でも、幼少期にいろいろな経験を積むのは悪いことではありません。その子が好きでやりたいことなら、その時間は発散の場になりますから、受験期でも取り上げる必要はありませんし、小学校受験の面接などでその得意なことが生かせる場面もあるはずです。
たとえば、某小学校では「あなたの得意なことはなんですか? ここで披露してみてください」という質問が面接で出たこともあります。こういうときは、何か自信があるものがある子は強いです。とはいえ、年長の夏くらいからは、時間と体力を本人と相談して、試験の直前期だけ特定の習い事をお休みするというご家庭も少なくありません。





小学校受験準備は3歳からがおすすめ! 早めの準備が親子に自信と余裕をもたらす

連載第2回は、「小学校受験準備について」というテーマでお話を伺いました。年中からのスタートが多いけれど、中学受験と違って早めに準備すればその分メリットがあるということ。また、絵画と体操は苦手意識を作らないほうがいいということ。さらに、小学校受験に向いている子と中学受験に向いている子の特徴は、長年幼児教室で多くのお子さんを指導されてきた麻生先生ならではだと感じました。第3回では、学校選びのポイントについてお伝えしていきます。


取材・文 加藤朋美




◆監修者プロフィール◆

伸芽会教育研究所 麻生尚子
幼児教育歴23年。元幼稚園教諭でもある経験を活かし、幼児の発達段階に応じたきめ細かい指導により雙葉小学校、白百合学園小学校をはじめとする女子難関校から、国立を含めた難関共学校、また白百合学園幼稚園や豊明幼稚園などの幼稚園受験など幅広く合格者を輩出。



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