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学校はどう選ぶ? 保護者は何をすればよい? 基礎知識を専門家にお聞きしました


少子化と言われる今、コロナ以降首都圏を中心に高まりつつある小学校受験。具体的にどんな試験内容で、いつ頃からどんな準備をすればいいのでしょうか。そこで、11月24日に発売される小学校受験に役立つ絵本『やってみよう!』(KADOKAWA)を監修してくださった、伸芽会 教育研究所の麻生尚子先生に全3回で小学校受験にまつわるお話を伺います。
絵本と合わせて読んでいただけると、さらに理解が深まること間違いなしです!

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学校選びはどうやって決めればいいですか?

 私立小学校には大きく分けて、男女別学、共学、宗教の有無があります。特にこだわりがない場合は学校の校風で選んでいただければと思いますが、学校選びで一番大事なのは、学校名のブランドではなくて、ご家庭の方針と合致する学校を選ぶことです。

 たとえば、宗教教育=キリスト教と思われるかもしれませんが、カトリックとプロテスタントでは宗派が異なるため、同じキリスト教でもイメージと違う場合があります。実際に、キリスト教育への強い憧れがあった方が、仏教の学校を見学してとても気に入り進学されたり、反対にお寺の御住職のお子さんがキリスト教の学校に進学されたケースもあります(多くの宗教校は、信者でなくても理念に共感していればいいという学校がほとんどです)。男女別学に関しても、親御さんが共学出身だとどうしてもイメージされにくいですが、実際に学校を見て「別学もすごくよかった」と思われるケースもよくあります。





学校説明会はいつ頃から行けばいいですか?

 まずはホームページや学校案内を入手して気になる学校を見つけ、可能な限り説明会に参加しましょう(学校によっては学校案内がデジタル化されているところも)。説明会に行くと、ホームページではわからなかった感覚が得られますし、数校訪れるうちに「わが子に合うかもしれない」「思っていた印象と少し違うな」などと思えてくるはずです。また、説明会では学校の様子だけではなくて、そこに参加している保護者の雰囲気もポイントです。将来子ども同士がご学友になり、保護者同士のお付き合いが始まる可能性があるわけですから、自分と合いそうかも見ておくと安心です。

 説明会に行き始める時期ですが、開催時期は毎年各学校で重なることが多いため(5月からの週末など)、見学は早めに。ご夫婦で分担して受験学年になる前になるべく多く見ておいて、年長になったら可能な範囲でお子さんを連れていくのがおすすめです。さらに、説明会は学校側に記録が残ることもありますので、面接で「説明会に来られましたか?」と聞かれることもあります。試験本番で初めてその学校に行くというのは、避けたいですね。



学校見学に子どもは連れて行った方がいいですか?

 子ども可の学校なら、できれば連れて行くのをおすすめします。その場合、説明会よりもオープンスクールの方が楽しめるかもしれません。「お姉さんと一緒にパズルをした」、「広い校庭でブランコしたのが楽しかった!」など、その子なりの楽しいイメージがつかめる学校がベストです。何より、わが子を連れていって、「わが子がその学校の制服を着て通う姿が想像できるか」のインスピレーションも学校選びには大事だったりします。


説明会以外で学校を知ることはできますか?

 学校説明会以外にも、登下校の様子や、休み時間に外から校庭で遊ぶ様子を見るなどして、その学校の生徒さんの普段の雰囲気を知ることもできます。休み時間の活発具合や、登下校のマナーや挨拶、下級生の面倒など、その学校によって特徴があるはずです。


家から何分くらいが通える目安になりますか?

 国立は居住地が指定の区域内であることが条件です。私立に関しては、60分以内と指定されている学校もある通り、一般的な目安としてはドアtoドアが60分と言われています。ただし「遠いか近いか」は大人の感覚ではなく、子どもと一緒に乗り換えや混雑具合、安全面などを考慮しながら選んでいきましょう。とはいえ、遠いからダメではありません。早稲田実業学校初等部などは入学式の翌日から一人で通えることが条件ですが、通えるなら遠くてもOKです(反対に、慣れるまで最寄り駅までの送迎を認めている学校もあります)。もし、合格後転居の予定がある場合は、嘘偽りなくその旨を願書などで伝えましょう。




通学時間以外に、学校選びで気をつけることはありますか?

 通学時間以外にも、アフタースクールや給食の有無などの条件を事前によく確認しておきましょう。志望校が決まったらホームページの募集要項を定期的にチェックし、最新の情報を入手しておきたいですね。こまめにチェックするのが忙しい場合は、伸芽会から毎年発売している冊子「小学校合格マニュアル」もご利用いただけると比較しやすくて便利です。
 さらに、入学後お仕事で海外転勤の可能性がある場合は、復学制度があるかもチェックしておくと安心です。1年1学期や6年生の1年間は必ず在籍すること、など学校によって条件が異なります。





小学校受験で保護者はどんなことをするのでしょうか?

 小学校受験は中学受験や高校、大学受験とは異なり、親の関わりはとても大きいです。
お子さんの家庭学習の計画はもちろん、小学校受験で問われる生活習慣や身の回りのことをできるようにするのは家庭になります。これらに加えて、説明会への参加や願書提出、面接などの資料作成、中には作文を提出する学校もあります。年長の1年は、お教室の送迎を含めて年間でスケジュール管理をしましょう。とはいえ、お父様お母様がおひとりでするのは無理がありますから、ご夫婦やおじいちゃんおばあちゃんを含めたご家族でどう分担するかをよく話し合うことが大切です。

 また、共働きのご家庭の場合は、お仕事の調整も必要です。試験日は願書提出後、ギリギリにならないと日時が分からないこともあります。面接は夫婦で参加が基本ですが、どうしてもお仕事で行けない場合は、欠席者の方が書かれたお手紙を持って行かれる方もいらっしゃいます。



家族が一丸となる小学校受験は決して無駄にはならない!

学校選びや願書に面接準備、家庭学習と小学校受験は親の負担が大きいのは事実。ですが、経験者の方は皆さん「家族全員で勝ち取った合格に感じた」とおっしゃいます。
たとえ、厳しい結果だったとしても、家族で過ごした密度の濃い時間や、お子さんが努力した過程は決して無駄ではありませんし、次への学びにつながっているはずです。子どもが成長して自立していくのはあっという間。親が深く関われる大事なこの時期を、家族一緒に試行錯誤しながらお子さんを伸ばしてあげましょう。


取材・文 加藤朋美




◆監修者プロフィール◆

伸芽会教育研究所 麻生尚子
幼児教育歴23年。元幼稚園教諭でもある経験を活かし、幼児の発達段階に応じたきめ細かい指導により雙葉小学校、白百合学園小学校をはじめとする女子難関校から、国立を含めた難関共学校、また白百合学園幼稚園や豊明幼稚園などの幼稚園受験など幅広く合格者を輩出。



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