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声に出して読んでみたい! 子どもたちのワクワクを引き出せる「ことば遊び」の絵本を図書館司書さんが紹介します

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子どもたちの集中力は無限大。読み聞かせ会でも、それぞれの絵本の世界観に没入して思い思いに物語を楽しんでくれます。
せっかく参加してくれたのですから、できるだけたくさんの絵本を楽しんでもらいたいですよね。でも、何冊も読むと飽きちゃう…? そんなときには一度、子どもたちの意識をこちらに向けて、「次何が始まるんだろう!」という期待感を高める「ことば遊び」の絵本がおすすめです。
耳から聞く音の楽しさに、「自分も言ってみたい!」というワクワク感があふれ出します。また、日本語の楽しさ・奥深さも伝えられるので知的好奇心も満たされ、読み聞かせ会の満足度もアップします。
今回は、そんな“ことば遊び”絵本のおもしろさを北海道にある公共図書館の館長・富田歩美さんからご紹介いただきます。


「僕も、私も言ってみたい!」とっても楽しい“ことば”の世界

今回ご紹介する絵本のテーマは「ことば遊び」。同音異義語や早口言葉など、日本語にはいろいろな種類のことば遊びがありますが、「言葉って、こんなに楽しいんだよ!」ということを伝えられる絵本を集めてみました。

子どもたちは、ことば遊びを聞くと「やってみたい!」とワクワクし、自然と声を出し始めます。また、絵本1冊1冊の世界に没入して楽しんでくれるので、前の絵本の雰囲気から気分を変えたりリフレッシュさせたいときに読むのも効果的です。

小さな子には難しいのでは? と思うかもしれませんが、同じ言葉を繰り返すおもしろさは小さな子にも伝わります。「しりとり」などの少し高度なことば遊びも、周囲を見て、「みんな笑ってるな。きっとこういう言葉がおもしろいんだな」と雰囲気で分かるので、しっかり楽しめると思います。そして、絵本の「絵」の力が助けてくれます。また、逆に大きな子にとっては、自分がことば遊びにチャレンジするおもしろさや、「こんな言葉は知らなかったな」という気づきにもつながりますよ。

なにを、“とって”いるのかな? 『とっています』

表紙を見ると「おすもうさんが相撲を“とっています”」。ふむふむ、すもうをとっている絵本かな? と思ったら、次は「おすもうさんがちょうちょを“とっています”」。あれ? と思ったら、さらに「おすもうさんはちょうちょをとりながら相手の足を“とっています”」。

このおすもうさんたちは、ありとあらゆる“とっています”を繰り返していき、どんどん増えていく“とっています”に思わず笑いが込み上げてきます。

ユーモラスに繰り広げられる数々の“とっています”から、日本語の「同音異義語」の楽しさが伝わる絵本です。



とっています』 
作/市原淳 世界文化社 1,210円

富田歩美さん:「とっています」という日本語には、いろいろな捉え方がありますよね。そんな日本語のおもしろさ・不思議さを表現している絵本です。



この絵本はすみからすみまでおもしろさが散りばめられているのも特徴です。

例えば、最初の画面から青いちょうちょが出てきますが、このちょうちょは最後の画面までどこかに必ず描かれています。そんな見つける楽しさや、表紙で相撲をとっているおすもうさんたちの勝敗が裏表紙でちゃんと描かれているところなど、遊び心もたっぷり。

特に「でまえを“とっています“」の画面は食べ物がこれでもかというくらい出てくるので、子どもたちも「まだ食べるの!? まだ食べるの!?」なんて言いながら、きゃっきゃと盛り上がりますよ。



 

キュンとする気持ちを思い起こす、あいうえお絵本 『あいたい あいたい あいうえお』

「あめ あめ あめ きょうも あめ あのこに あえない あいうえお」という、アナグマちゃんの切ない言葉から始まるこの絵本。

雨の日だからみんなお家にいて、アナグマちゃんもイッカクサイくんもウンピョウくんも…会いたいあの子に会えない寂しさを抱えながら一人お家にいます。

次の日の朝はようやく晴れ。みんなは「あえるぞ あえるぞ あいうえお」とはやる気持ちを言葉にのせて待ち合わせ場所に向かうのです。

数々の読み聞かせの現場で子どもたちと向き合ってきた、聞かせ屋。けいたろうさん。「会いたい」という願いが「あいうえお」の文章で繰り返され、リズミカルな言葉の力で切ない思いを強く子どもたちに伝えます。



あいたい あいたい あいうえお』 
作/聞かせ屋。けいたろう 絵/おくはらゆめ KADOKAWA 1,430円

富田歩美さん:この絵本は「あいうえお」を使ったことば遊び絵本ですが「あいうえお」という文字の基本を、絵本で理解できる点がおもしろいんです。



子どもたちにとって「あいうえお」は一番初めに覚える言葉ですよね。 また、ずっと「あ」音で文章が続くので小さな子でも耳に入りやすいのも特徴です。

最後の見返し部分で絵本の動物たちが誰に会いたかったのかが分かるようになっているので、見返しをみながら「この子はどこに出てきたかな?」という絵遊びもできますよ。



ことば遊びの絵本ですが「あいたい あいたい」という情緒的なテーマで描かれているので、女の子たちはキュンとする一方で、男の子たちは照れくさそうにモジモジする光景も見られたり(笑)。ですが、そうした姿こそ「人としてこういう気持ちってあるよね」と、大切な感情を紹介するきっかけにもなります。

この絵本から言葉の楽しさ・情緒を感じ取ってみてください。

とんでもない“うそ”てんこもり! 『うそだぁ!』

登場人物の男の子が、とんでもない話を始めます。

「バナナのかわを むいてみたら チョコバナナだったんだ!」「うちのジュースはさ、すいどうの じゃぐちからでるんだ!」など、突拍子もないワードが次々と繰り出されます。そのたびにもう1人の子が「うそだあ!」と叫びます。

うそのスケールはどんどん大きくなり、読者も思わず「あまりにもうそすぎる!(笑)」と盛り上がっていきます。そしてなんと! 最後のうそは……という、奇想天外な“うそ”の繰り返しにツッコミ続けるのがなんとも楽しいユーモア絵本です。



うそだぁ!』 
作/サトシン 絵/山村浩二 文溪堂 1,430円

富田歩美さん:この絵本は特に男の子が大好きな絵本で、ダイナミックなうその連続に「次にどんなうそが起きるのかな?」とワクワクしながら聞き入ってくれます。そして、奇想天外なうそに大きな声で「うそだあ!」と言っては大笑いするので、読み手としては「よっしゃ!」と手ごたえを感じてうれしくなります。

表紙の折込み部分には絵本に登場する2人の男の子が出会うシーンが描かれていますが、「ここから、なにが始まるんだろう」と子どもたちのワクワク感がかき立てられます。



繰り返しになりますが、この絵本は本当に男の子の心を掴む1冊です。実は、女の子は絵本から読書に興味を持つと自然と読み物につながっていくことが多いのですが、男の子は絵本から読み物方面へ読書がつながっていくことがあまり多くないんですね。ですので、こうした絵本をきっかけに男の子の読書欲がいっそう高まってくれるとよいなと思っています。

空想ふくらむ! びっくりしりとり絵本 『かぜがつよいひ』

しりとりを楽しむ部屋の中と、嵐のような外の世界。その強烈なギャップに引き込まれる、新感覚の空想しりとりが展開されるこちらの絵本。

お母さんは「風が強いからうちで待っていてね」と出かけていきました。おねえちゃんと男の子はしりとりをして待ちますが、風が強いせい(?)なのか、「しんぶんし」と言えば窓の外では新聞紙が飛んでいき「しゃつ つりざお おうむ」と続ければ窓の外ではシャツが、つりざおが、オウムが、風で飛ばされていきます。

家の中の二人はしりとりをしているだけなのに、家の外ではしりとりで言ったものがダイナミックに飛んでいくというシュールな対比に、読んでいる子どもたちも目が点に! ページが進むとしりとりはどんどん白熱し「ろくろっくびのおはぐろ」なんていう、それはいったい何⁉ と思う不思議な存在も飛んでいき、絵を見るだけでも大興奮です。



かぜがつよいひ』 
作/昼田弥子 絵/シゲリカツヒコ くもん出版 1,540円

富田歩美さん:しりとりがテーマの絵本はたくさんありますが、これはもう“しりとり絵本”というイメージを通り越すほど強烈に楽しい絵本です。



ことば遊びとして「しりとり」というゲームを楽しみながら、ふだんあまり知らない言葉も学ぶことができます。

例えば、「ろぼっとおんぼろ」の“おんぼろ”や「ろくろっくびのおはぐろ」の“おはぐろ”など、小さな子には難しい言葉もあると思いますが、分からなくても「なんだろう?」と食いついて、絵を見て理解してくれます。また、小学校高学年くらいになると「“ろ”から始まる言葉ってこんなにあるんだ!」という発見にもつながり、年齢差があってもそれぞれに楽しんでくれます。

子どもたちはシゲリカツヒコさんの破天荒でユーモラスな絵にも目を見張り、しりとりの概念を越えたありえない笑いを届けるこの絵本に、最初から最後までビックリ目のままです。

声に出してみたくなる早口ことば絵本 『はやくちこぶた』

「なまむぎ なまごめ なまたまご」や「あおまきがみ あかまきがみ きまきがみ」など子どもたちにもおなじみの早口言葉がふんだんに盛り込まれた絵本です。ただし、ただの早口ことば絵本ではありません! この絵本は、かの有名なお話『三匹のこぶた』のこぶたとおおかみが登場し、彼らの追いかけっこが数々の早口言葉によって展開していきます。

「ぼうずが びょうぶに じょうずに ぼうずの えをかいた」という早口言葉では三匹のこぶたたちが上手に屏風の中に隠れたり、「ばす がす ばくはつ」ではバスに乗ったこぶたたちがガス(?)でおおかみをやっつけたり。早口言葉を言いながら、こぶたとおおかみの物語も楽しめるハイブリッドな早口ことば絵本です。



はやくちこぶた』 
作/早川純子 瑞雲舎 1,540円

富田歩美さん:この絵本に出てくる早口言葉は、なかなか難しいものも入っているので実は私にも言えないものがあります(笑)。子どもたちも言えなくて、悔しがって「もう1回読んでみよう」と挑戦するけど、また言えなくて悔しがって……を繰り返すほど、読み聞かせ会ではとっても盛り上がります。子どもたちは早口言葉を言ってみるのが大好きなんですね。

また、『三匹のこぶた』のお話ももちろん知っているので、そのこぶたとおおかみの物語を楽しみながら早口言葉も言えるというのが、おすすめポイントです。



見返しには、この絵本に出てくる早口言葉が迷路のようにつながって紹介されています。読み聞かせ会の最後に「これ、ぜんぶいえるかな?」と子どもたちにチャレンジしてもらうのも楽しいですよ。


今回ご紹介した「ことば遊び」の絵本は、子どもたちの「言ってみたいー!」というチャレンジ心や「こんな言葉知らなかったー」という驚きも合わさり、読み聞かせ会の雰囲気をさっと変えられる万能な1冊たちです。

また、ことば遊び絵本とくくりましたが、爆笑系や情緒たっぷり系など、ことば遊びの中でもテーマにさまざまな方向性があります。読み聞かせ会の読み手の皆さんからは、「どういう読み方をしていいか分からない」というお悩みもよく聞きますが、読み方に絶対というものはありません。その読み聞かせ会にあった読み方で、子どもたちが喜んでくれる。それだけで十分です。

子どもたちは絵本の言葉から自然にいろいろな感情を受け取って想像していきます。ですので、お話の受け取り方は子どもたちに任せて、読み手のみなさんもことば遊び絵本を自分でも楽しみながら、思い思いに読み聞かせてみてください。

<プロフィール>

富田歩美
公共図書館館長。学生時代に図書館司書の資格を取り、公共図書館に勤務する。北海道内の図書館、7館で勤務し、館長として現在5年目。以前、児童書に特化した図書室の立ちあげを経験する。近年、図書館運営に活かすため、絵本セラピスト協会認定基礎絵本セラピストⓇ、JPIC読書アドバイザーを取得。


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