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【SNS・犯罪・災害】この夏、親の常識をアップデート!専門家に聞く「令和版・子どもの命の守り方」

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「子どもだけで近所のコンビニへ行くようになった」
「オンラインゲームを始めた」
「留守番中にスマホを触る時間が増えた」――。

小学生になると親の手が離れ、子どもの成長を感じる一方で、「ちゃんと安全に過ごせるかな」と不安になる場面も増えてきます。特にこれからの季節は、留守番や一人で過ごす時間が増える時期。習い事の行き帰りや、友達との約束など、子どもの行動範囲も少しずつ広がっていきます。

さらに、子どもを取り巻く危険は、私たち親世代が子どもだった頃とは少しずつ変化しています。

SNSによるトラブル、オンライン上での見知らぬ人とのつながり、突然の豪雨や地震――。「昔、自分が教わった防犯・防災知識だけでは、今の子どもたちを守れないかもしれない」、そう感じている保護者も多いのではないでしょうか。

今回は、防災・防犯教育の専門家・清永奈穂先生に、「今の時代に子ども、親世代へ伝えたいこと」を伺いました。


「親世代の「経験・知識」が通用しない。デジタル時代のリスク」

――今の子どもたちと親世代の間には、防災・防犯においてどんな違いがありますか?

清永先生:「やはり、生まれた時からデジタル機器があることですね。今の子どもたちは、スマートフォンやSNSが身近にある環境で育っています。そのため、親自身が経験していないトラブルに直面することも少なくありません。さらに、SNSでの誹謗中傷や写真の拡散など、被害の形も変化しています。自分の子どもが被害者になるだけではなく、加害者になってしまう可能性もあります。だからこそ、親も子どもと一緒に学び続けることが大切なんです」

「知らない人についていかない」だけでは足りない?

親世代が口酸っぱく言われてきた、防犯教育の定番といえば「知らない人についていかない」という言葉。しかし今は、SNSやオンラインゲームを通じて、親の知らない相手と簡単につながることができる時代です。

「昔は、“知らない人”というのがもっとわかりやすかったんです。でも今は、“毎日ゲームで話している人”や“いつもSNSでやり取りしている人”を、子ども自身が“知らない人”だと思っていないケースもあります」と清永先生は教えてくれました。

実際、オンライン上で仲良くなった相手と、「実際に会おう」と約束したり、「写真を送って」といわれて子ども自身が送ってしまったりするケースも少なくないそうです。

だからこそ今は、「知らない人についていかない」だけではなく、「誰と会うの?」「どこへ行くの?」「何時に帰る?」「誰とやりとりしているの?」そんな会話を、普段から自然にできる関係づくりが大切だといいます。

相手が知り合いかどうかより、“周囲の大人が状況を把握できているか”が、防犯上とても重要だとのこと。「危ないからダメ!」と強く制限するだけでは、子どもが隠れて行動してしまうこともあるといいます。そのため最近は、“監視”ではなく、“相談できる関係づくりのなかで自分の身を守る力を育てていくこと”が大切だと考えられているそうです。

 “知らない人についていかない”という言葉だけでは対応しきれない時代だからこそ、親子で日頃からコミュニケーションを取っておくことの大切さを教えてくださいました。



留守番中は「家の中の危険」にも注意

共働き家庭の増加により、子どもが一人で留守番をする機会も増えています。外の危険ばかりに目が向きがちですが、実は家の中にも注意が必要だと清永先生は話します。

たとえば、
暑くてもエアコンを自分でつける判断ができず、熱中症になってしまう
火の危険性を理解しておらず、服の袖に引火してやけどを負ってしまう
電子レンジの使い方に慣れておらず、アルミホイルを入れたまま加熱して発火させてしまう

など、日常のなかで、ちょっと失敗しながらでも積み重ねていくべき “生活経験の不足”による事故も増えているそうです。子どもがひとりで留守番をするようになったら、「年齢に合わせて少しずつ教えていくことが大切」だとのこと。

たとえば、留守番中のインターホン対応についても、最初は“インターホンには出ない”から始まり、その後は「今、手が離せないので置いておいてください」と置き配をお願いする。

ただ一辺倒に“出ない”を徹底するのではなく、ある程度判断力が育ってきたら、“成長に合わせた社会との接し方”を覚えていくことが重要なのだそうです。防犯対策と社会性、さらには自分で判断する力を身につけることが重要だと教えてくださいました。

親世代の防災知識を、子どもとともにアップデート

――親世代の防災と今の防災の違いについてはいかがですか?

清永先生:「親世代の地震の防災といえば『机の下に隠れる』が中心でした。でも今は、“その場で考えて動く力”が重視されています。

たとえば家の中でも、リビング、子ども部屋、お風呂、廊下では安全な場所が異なります。どの部屋にいても、モノが“落ちてこない・倒れてこない・動いてこない・飛んでこない場所”を親子で確認しておくことが大切です。地震が起きたときにどこへ逃げればよいかわかっているだけでも、素早く判断して行動することができます。

「親がすぐ迎えに行けない」時代の防災

大きな地震が起きた時、「とにかく子どものところへ行かなきゃ」と焦る保護者は多いはずです。しかし実際には、勤務先と自宅が離れているなど、すぐに帰宅できないケースも少なくありません。

清永先生によると、東京都では大規模災害時に“むやみに帰宅しない”ことが推奨されています。東日本大震災の際には、多くの人が一斉に帰宅しようとしたことで混乱が発生。火災や群衆事故のリスクも問題となりました。

そのため現在は、大きなオフィスビルなどを中心に、「従業員を数日間その場に留める」ことを想定した備蓄を進めている企業も増えているそうです。だからこそ大切なのが、“親が帰ってこられない前提”でも、子どもが落ち着いて行動できる準備をしておくこと。

たとえば、「地震が起きたらどこへ逃げる?」「家の中で安全な場所は?」などを、事前に親子で話しておくことが重要だといいます。

「“お母さんが帰れなかったらどうする?”を、一度シミュレーションしておくだけでも違います」と清永先生。また避難場所についても、「学校に行けば安心」だけではなく、“そのあとどうするか”まで考えておく必要があるそうです。「○○学校に行く」だけでなく、「学校の校庭のジャングルジムの前、など詳しく場所を決めておく必要もあるそうです。

避難所が使えない場合は?
夜になってしまった場合は?
連絡手段が途絶えた場合は?

そうした状況も含めて、“家族のルール”を決めておくことが、子どもの安心につながるのだとか。

また意外だったのは防災グッズについてのお話。「防災グッズって、“準備した季節”に引っ張られやすいんです」と清永先生。冬に準備すると防寒用品が多くなり、夏に準備すると暑さ対策中心になりがちのため、「夏前と冬前の年2回くらい見直すのがおすすめ」とのことでした。



災害時こそ気をつけたい、“SNSのフェイクニュース”

地震や豪雨など、大きな災害が起きた時、多くの人がまずスマートフォンを開き、SNSで情報を集めようとします。地震が起きると、まずSNSを見てしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし清永先生は、「災害時ほど、“情報源”を確認することが大切」と話します。
「災害時は、人を不安にさせる情報ほど拡散されやすいんです」

たとえば、
○日に大地震が来る
動物園からライオンが逃げた
水道が止まるらしい
この避難所はもういっぱい

など、真偽が分からない情報が一気に広がることも少なくありません。

「“みんなが言っているから本当”ではないんです」
SNSは「フィルターバブル」といって自分と同じ意見や同じような情報が優先的に表示されるため、うその情報でも信じこみやすい状況が生まれてしまうそうです。
特に子どもたちは、SNSで流れてくる情報をそのまま信じてしまうこともあるため、「どの情報を信じるか」を普段から親子で話しておくことが大切です。
自治体や気象庁など、“誰が発信している情報なのか”を見る習慣をつけておくと安心です。また、善意で情報を拡散したつもりが、結果的にデマを広げてしまうケースもあります。

「“誰かの役に立つかも”と思っても、まずは一度立ち止まること。特に“命に関わる情報”や“人を傷つけるような情報”はすぐにうのみにせず、“本当に正しい情報なのか”を確認することが大切」と清永先生。

SNSは、災害時に大切な情報源になる一方で、不安や混乱を広げてしまうこともあります。
だからこそ、“情報を集める力”だけではなく、“情報を見極める力”も、これからの時代には必要なのかもしれません。

SNS時代、“見た目”の悩みも低年齢化している

今の子どもたちは、スマートフォンを通じて日常的に大量の情報に触れています。加工された写真や動画、容姿を評価するような投稿も多く、大人以上に影響を受けやすいのだとか。



「“かわいい”“かっこいい”の基準が、SNSによってすごく狭くなっているんです」と清永先生。最近では、小学生のうちから美容やダイエットに強い関心を持つ子どもも増えているそうです。さらにSNSでは、“いいね”の数やフォロワー数など、“数字”で評価される場面も少なくありません。

「見た目のことを軽い気持ちで言い合ったり、写真へのコメントで傷ついてしまったり。本人に悪気がなくても、“いじめ”につながってしまうケースもあります」と話す清永先生。

人を見た目だけで判断してはいけない――。そうした当たり前のことが、SNSでは見えづらくなってしまうこともあるのだとか。
「“かわいい・かわいくない”“太っている・痩せている”など、見た目を評価する言葉が日常的になってしまうと、子ども自身も“見た目で人を判断していいんだ”と思ってしまうことがあります」

また、学校が終わったあともSNSでのやり取りが続くため、“逃げ場がなくなりやすい”ことも、今の時代ならではの特徴だといいます。
だからこそ大切なのが、「SNSを禁止する」だけではなく、“どう付き合うか”を親子で考えること。

「“SNSは危ないからダメ”だけではなく、“どんな言葉が人を傷つけるのか”“人を見た目で判断しないこと”を、普段から家庭の中でも話していくことが大切なんです」
さらに清永先生は、「普段、親がどんな言葉を使っているかも、実は子どもはよく見ている」と指摘します。「“太った”“痩せた”ばかりを話題にしていないか、“かわいい子が得をする”というような話をしていないか。家庭の中の言葉も、子どもの価値観に影響していきます」

SNSは便利で楽しい一方で、子どもの自己肯定感にも大きく関わる時代。だからこそ、“親も一緒にアップデートしていくこと”が必要なのかもしれません。

「防災も防犯も、完璧じゃなくていい」

「まず命を守ることが一番大切なんです」
そう話す清永先生の言葉が印象的でした。

避難所を確認する。周辺のハザードマップを見てみる。いろんな帰宅ルートを親子で歩いてみる。防犯ブザーを時々点検する。そんな小さな積み重ねが、“いざ”という時に子ども自身を守る力につながっていくのかもしれません。



今回お話しいただいた内容は、『角川まんが学習シリーズ+ 命を守る キケン回避術』(KADOKAWA)でも詳しく紹介されています。留守番、SNSトラブル、災害対策からいじめや性犯罪、ルッキズムなど、子どもが自分で身を守るために知っておきたいことが、楽しいまんがで具体例とともにわかりやすくまとめられています。ぜひこの機会にお子さんといっしょに学んでみてはいかがでしょうか?







【プロフィール】
清永奈穂
NPO法人体験型安全教育支援機構代表 理事長
NPO法人体験型安全教育支援機構代表理事。株式会社ステップ総合研究所所長。博士(教育学)。非行やいじめ、犯罪、災害などについて研究。自分自身で命を守る力を養うために「自分で考え、自分で判断し、動いてみる」という体験型の学び・教育を推進。全国の自治体や保育・教育施設などで安全教育をおこなっている。『命を守る キケン回避術』(監修、KADOKAWA)、『親子で学ぶ「そのとき」どうする? おおじしんから いのちをまもるえほん』(KADOKAWA)など。

取材・文:布施京子


写真:PIXTA


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