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【中学受験のプロがおすすめ】子どもの好奇心を育む漫画14選

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文字ばかりの本はちょっぴり苦手でも、漫画なら時間を忘れて夢中になるという子どもは多いのではないでしょうか。子どもの「知りたい!」という欲求を刺激する最強のアイテムが「漫画」です。学習まんが以外にも、子どもの視野を広げる漫画はたくさんあります。SAPIXなどで講師をつとめ、現在は独自の読解メソッドで中学受験のコーチングを行っている齊藤美琴さんに、小学生におすすめの「好奇心を育む漫画」14作品についてお話を聞きました。

漫画は、はじめて知る世界の入門書に最適!

 はじめて触れる世界の解像度をぐっと高めてくれる抜群の“入門書”が漫画です。子どもたちは、好きなことなら難しいこともどんどん吸収します。スポーツ漫画を読んでそのスポーツが好きになるように、漫画を通じて興味を持ったことが将来につながるケースも少なくありません。また、漫画で得たさまざまな豆知識や雑学が、文章を読むときの土台になることもあります。

 登場人物の気持ちを知るという面でも、漫画は最高の教材です。本を読むのが苦手な子どもは、登場人物の心の機微や、声に出さない心の声をつかむのが苦手な傾向があります。「笑顔をうかべた」という部分は読んでいても、そのあとに続く「こぶしを握りしめた」という言葉の意味を知らなかったり、読み飛ばしてしまったりすると、気持ちを誤解したままストーリーが進み、その結果「よくわからない」「つまらない」につながることもあります。その点漫画には、魅力的な絵という情報も加わります。登場人物が笑っていても、こぶしを握りしめている登場人物の姿や「悔しい〜!!」と心の声がフキダシになっているため、心情が把握しやすいのです。

 本に手を伸ばさないという子どもには、まず漫画でページをめくる楽しみを知ってもらいましょう。リビングにさりげなく漫画を置いておくと、興味があれば手にとるはず。子どもが大きくなったときに「そういえばあの漫画好きだったもんね」と答え合わせする楽しみができるかもしれませんよ。

齊藤さんがおすすめ!小学生の好奇心を育む漫画14選

「今回紹介する作品は、子どもが興味を持てばいつから読み始めてもOK! ルビがない作品も、絵を追ってストーリーをつかめます」と齊藤さん。歴史、科学、芸術、スポーツなど幅広いジャンルから、齊藤さんおすすめの14作品を紹介します。

『地政学ボーイズ ~国がサラリーマンになって働く会社~』秋田書店
・著者:理央 / 沢辺有司 ・2021年〜連載中(既刊9巻) ・ルビなし



 世界の国々を個性豊かな“イケメン”に擬人化し、「もしも同じ会社で働くサラリーマンだったら?」という設定で描いたコメディ漫画です。社内の派閥争いや主導権レースがそのまま現実の世界情勢にリンクしていて、クスッと笑いながら国家間の力関係や地政学の基礎に触れられます。小学生にとって他人事になりがちな海外のニュースに耳を傾けたり、中学受験の社会で出題される時事問題に関心を持ったりするきっかけとなることも。中学から始まる世界地理や、高校から本格的に学ぶ世界史の素地にもなる作品です。

『マンガでよくわかる ねこねこ日本史 ジュニア版』実業之日本社
・著者:そにしけんじ ・2014年〜連載中(既刊17巻) ・ルビあり



 日本史の導入にぴったりな作品です。登場する歴史上の人物はすべて「猫」。ユーモラスな漫画で、平和に、ゆるく歴史の流れを学べます。聖徳太子が法隆寺の建材で爪を研いだり、大石内蔵助がまたたびに夢中になったりと、猫の習性がストーリーのフックやオチになっているところもユニーク。歴史に苦手意識がある子どもも、動物ものとして楽しめます。4コマ漫画で構成されているため、スキマ時間に読みやすく、何巻からでも読み始められます。アニメ化されていて、アニメからスタートして漫画へと展開するのもおすすめです。

『百姓貴族』新書館
・著者:荒川弘 ・2006年〜連載中(既刊9巻) ・ルビ一部あり



 北海道の大自然と、パワフルな農家の日常を描いたエッセイ漫画です。中学受験における日本の農業といえば、食料自給率の低さや生産量ランキングなどの場面で語られることが多いものですが、『百姓貴族』で描かれているのは数字の背景にある圧倒的な農家の“リアル”です。北海道の実家で酪農・畑作業に従事していた作者が伝える農家の実態は、子どもにとって驚きの連続。スーパーに並ぶ野菜や牛乳の向こう側には、こんな暮らしがあるのだということをユーモアを通して知ることができます。農業への理解が深まるのも魅力のひとつ。読んだあと、このタイトルがいかに秀逸かに気づかされるでしょう。

『宇宙兄弟』講談社
・著者:小山宙哉 ・2007〜2026年連載(全46巻) ・ルビなし



「一緒に宇宙飛行士になろう」と約束を交わした兄弟の物語です。宇宙飛行士になるための選抜試験などの未知の世界を知るおもしろさや、諦めずに大きな夢を叶える主人公の姿はもちろん、宇宙開発のための予算捻出や国際協力、予期せぬトラブルなど、さまざまな障壁を乗り越えていくストーリーに惹きつけられます。夢を叶えるのは、努力を重ねたうえで運が味方してくれた人物だというメッセージに心を打たれる子どもも多いはず。作中には、NASAで宇宙飛行士になれなかった人たちも、民間宇宙飛行士やエンジニアとして活躍する姿が描かれています。2026年7月発売の46巻でついに完結。宇宙飛行士の自叙伝を読むのとはまた違ったアプローチで、宇宙というロマンに触れられます。

『ふしぎの国のバード』KADOKAWA
・著者:佐々大河 ・2013〜2025年連載(全13巻) ・ルビなし



 明治初頭に横浜から蝦夷まで歩いたイギリス人女性冒険家イザベラ・バードと日本人通訳・伊藤鶴吉の旅を、訪れた土地の風景や当時の日本文化とともに描いた作品です。欧米人から見た明治初頭の日本を、美しい絵で知ることができるのが大きな魅力。当時の庶民にとっては当たり前だった混浴に驚きつつも、治安の良さや礼儀正しさに感銘を受けるバードの姿は、古き良き日本文化に馴染みのない子どもと重なるところが多いかもしれません。歴史小説として書かれた植松三十里さんの『イザベラ・バードと侍ボーイ』は、2025年の桜蔭中学校の国語の入試問題に出題されています。

『Dr.STONE』集英社
・著者:Boichi ・原作:稲垣理一郎 ・2017〜2022年連載(全27巻) ・ルビあり


©『Dr.STONE』/米スタジオ・Boichi/集英社


 すべての人間が“石”になってしまった世界で、科学の力で人を救い「ゼロから文明をつくる」というミッションに挑戦する冒険ものです。手に入るものをフル活用して、石けんや火薬、バッテリーや携帯電話などを次々とクラフトしていくさまは、RPGゲームのような楽しさ。「こんなこともできるんだ!」という発見が詰まっています。ふだん当たり前に享受しているテクノロジーがどのようにして生まれたのかを知ることで、日常生活が新鮮に感じられるかもしれません。リアルとファンタジーの狭間にある独特の世界にハマる子どもが多い作品です。理科や算数に苦手意識のある子どもも楽しめます。

『ちはやふる』講談社
・著者:末次由紀 ・2007〜2022年連載(全50巻) ・ルビなし



「競技かるた」の認知度を一気に向上させた漫画です。物語は、小学6年生の主人公・千早が競技かるたに出会うところからスタート。自分と年齢が近い主人公に親近感を抱き、自然と引き込まれる設定になっています。 “畳の上の格闘技”とも呼ばれる競技かるたの世界を、臨場感あるきれいな絵で知ることができるのが大きな魅力。畳の上で対戦相手と向き合って札を取り合う2人の心情をフキダシでつぶさに把握でき、登場人物の心情理解がぐんぐん進みます。

『はたらく細胞』講談社
・著者:清水茜 ・2015〜2021年連載(全6巻) ・ルビあり



 病気やケガをしたとき人間のからだはどうダメージを受け、どのような仕組みで回復していくのか。細胞を擬人化し、からだの仕組みをコミカルに描いた大人気コミックです。「カゼをひかないように健康に気をつけて」と注意しても、子どもにはなかなか伝わらないものです。漫画を通じて人間のからだが複雑な仕組みで動いていることを知ることで、自分自身のからだや健康へ意識が向きます。免疫システムにエラーが起きて花粉症の症状があらわれたり、細胞が分裂するときのDNAのコピーミスによってがん細胞が生まれたりと、大人にとっても新たな発見がきっとあるはず。からだの仕組みを知る入門書としておすすめの作品です。

『ハイキュー!!』集英社
・著者:古舘春一 ・2012〜2020年連載(全45巻) ・ルビあり


©古舘春一/集英社


 スポーツのカッコよさをストレートに描いた作品です。私の教え子たちにも人気で、この作品をきっかけに中学校入学後にバレーボール部に入部した生徒もいました。登場人物のひとり語りが多い小説に対して、複数の登場人物の気持ちや表情を同時に伝えられるのが漫画の大きな特徴。『ハイキュー!!』のようなチームスポーツを題材にした漫画は、登場人物のセリフや気持ちが入れ替わり立ち替わり描かれていて、文章を読んだときに頭の中で登場人物を動かす下地にもなります。それぞれのキャラクターが立っているため、「誰が好き?」と親子で話す楽しみもできますよ!

『のだめカンタービレ』講談社
・著者:二ノ宮知子 ・2001〜2010年連載(全25巻) ・ルビなし



 実写ドラマ化・映画化もされた人気作品です。主人公・のだめと指揮者の千秋、そして団員たちの個性豊かな組み合わせが絶妙で、オーケストラという“小さな社会”のなかで繰り広げられる人間模様を楽しく読み進められます。クラシック音楽やオーケストラの生演奏が聴きたくなる漫画で、ストーリーに登場した楽曲のコンピレーション・アルバムも発売されています。クラシック音楽という教養を楽しく身につけるきっかけにもなるかもしれません。主人公・のだめと千秋が活躍の舞台を海外へと広げて、成長していく姿は、子どもに良い刺激を与えてくれます。

『この世界の片隅に 新装版』コアミックス
・著者:こうの史代 ・2007〜2009年連載(全2巻) ・ルビあり


©こうの史代/コアミックス


 軍都として栄えた広島県呉市を舞台に、戦時中の人々のリアルな日常を描いた作品です。作者のこうの史代さんは現地取材などを重ねてきたそうで、着物を繕ったり、食料を得るためにお気に入りの洋服と交換したりといった戦時中の暮らしと、戦争が日常にゆるやかに確実に食い込んでいくさまがやわらかいタッチで緻密に表現されています。歴史を学ぶのとは異なるアプローチで戦争を知ることができる作品です。

『SLAM DUNK』集英社
・著者:井上雄彦 ・1990〜1996年連載(全31巻) ・ルビあり


Ⓒ井上雄彦 I.T.Planning,Inc.


 連載開始から35年以上経っても色褪せない、スポーツ漫画の名作です。映画化をきっかけに魅力を知った子どもも多いのではないでしょうか。主人公・桜木花道を中心に、できないことができるようになる気持ちよさとカッコよさが躍動感いっぱいに描かれています。勝敗が気になり、夢中でページをめくる楽しさを知ってもらうには最適の一冊。年齢を重ねて改めて大人が読み返してみると、感情移入するキャラクターが変化した自分に気づくかもしれません。親子で読んで、ぜひ会話の種にしてみてください。

◆『新装版 動物のお医者さん』小学館
・著者:佐々木倫子 ・1987〜1993年連載(全12巻) ・ルビあり



 獣医師を目指す獣医学部の学生たちの日常をコミカルに描いた作品です。連載当時、シベリアンハスキーという犬種が流行ったことを懐かしく感じる親世代もいるのではないでしょうか。犬や猫、ニワトリなどがリアルに描かれていて、動物好きの子どもにはたまらないはず。一話完結の読みやすさも魅力です。登場人物が個性豊かで、「大学生活」や「研究」という知らない世界をのぞく楽しさも味わえます。この作品がきっかけで獣医師を目指した人も多いと聞きます。子どもの職業選択の幅を広げてくれる作品です。

『ブラック・ジャック』/秋田書店
・著者:手塚治虫 ・1973〜1978年連載(全25巻) ・少年チャンピオン・コミックス版はルビあり


©手塚プロダクション


 最後に紹介するのは、手塚作品のなかでも子どもが手にとりやすい『ブラック・ジャック』。私自身が小学生のころに読んで大きなインパクトを受けた漫画です。無免許の天才外科医ブラック・ジャックの行動は善なのか悪なのか、命の尊厳を考えさせられる作品です。直接的な状況説明が少なく、読み手が考える余白が大きいところも魅力のひとつ。ブラック・ジャックが治療後に立ち去ったときに何を考えているのかと、読後もさまざまな思考を巡らせたくなる作品です。ぜひ親子で感想を話してみてください。

親子で読めば家族の会話がぐんと広がる!

 子どもに読んでもらいたいおすすめの作品を紹介しました。齊藤さんは、「選ぶときは、親がおもしろそう、読みたいと思うかどうかで判断してみてください」と話します。

「子どもの自発的な興味を引き出すには、大人自身が楽しんでいる姿を見せることが大切です。家族が集うリビングなどに置けば、子どもが自然と手に取ることもあります。お気に入りのキャラやセリフなどを食卓で話してみると、『このセリフいいよね』『あの場面がアツいよね』と家族の会話がどんどん広がります。子どもの好奇心もぐんぐん育まれていきます。子どもが低学年ならば、漫画の音読もおすすめです。親子でキャラクターを割り振って音読すると盛り上がりますよ!」

 同じものを読み、好きなキャラを話題にすれば、自然と親子の会話が弾みます。一冊の漫画との出会いが新しい本や世界へ興味を広げるきっかけになるかもしれません。齊藤さんのおすすめ作品とアドバイスを、日々の子どもとの暮らしにぜひ取り入れてみてください。


取材・文:三東社


プロフィール



齊藤美琴
中学受験のコーチングをメインに、教科指導、幼稚園・小学校受験の相談など、家庭の力を引き出すレッスンを行う。SAPIXの個別指導部門・プリバート東京教室での国語科専任講師、ジャック幼児教育研究所(四谷教室)での講師を経てフリーランスとして独立。読解トレーニングときめ細かい学習コーチングに定評がある。2022年に渋谷ヒカリエ8階のシェア型書店に『みこと書店』をオープン。PICCOLITA(ピッコリータ)代表。



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