KADOKAWA Group

Children & Education

子育て・教育

【専門家監修】「いないいないばあ」はスゴかった!科学的に証明されたメリットと遊び方

NEW

顔を隠してパッと手を広げる「いないいないばあ」。おなじみの遊びは、親子にうれしいメリットがたくさんあります。「どうして子どもはいないいないばあが好きなの?」「反応がないときはどうする?」などの疑問や、遊び方のバリエーションについて、赤ちゃんの表情や視線を研究する発達認知科学の専門家・松中玲子先生にお話をうかがいます。


子どもが「いないいないばあ」を喜ぶのはなぜ?

子どもが「いないいないばあ」を喜ぶいちばんの理由は、大好きな保護者と視線を合わせて双方向のやりとり(インタラクション)ができるからです。

視線は、人と人とのコミュニケーションにおいてとても重要な役割を果たしています。多くの動物では、視線を合わせることは敵意のあらわれであり、喧嘩のサインになります。人間は、視線を合わせることで互いに気持ちを通わせられる珍しい生き物です。「ばあ!」と手を開いた瞬間に視線が合うと、子どもは「大好きなママ・パパが自分を見てくれている」と感じて満たされます。親のアクションに子どもが反応し、それに対して親がさらに笑い返す。そんな1対1の心地よいキャッチボールが、赤ちゃんにとてもよい刺激を与えます。

「いないいないばあ」は成長したから楽しめる遊び

「いないいない…」で親の顔が隠れたとき、子どもは「くるぞ、くるぞ…」と期待します。そして予想通り「ばあ!」で親の顔があらわれると、「思った通りだった!」と満足感を得ます。このように楽しめるのは、赤ちゃんがすくすく成長している証だとも言えます。

 生後しばらくは、目の前にあるものを隠すと、赤ちゃんはそのものがなくなったかのように振る舞います。成長に伴い、生後半年ごろから徐々に、隠れたものはなくなったわけではなく、存在し続けているという「対象の永続性」を理解し始めます。手で隠しても親の顔がそこにあると理解するようになると、「いないいないばあ」はますます楽しい遊びになっていきます。



自律神経を調節する練習にもなっている!?

 近年の研究によると、「いないいないばあ」は自律神経を調節する練習になる可能性もあるそうです。自律神経はからだのいろいろな働きをコントロールしている神経で、興奮したり緊張したりしたときには交感神経が、落ち着いてリラックスしているときには副交感神経が優位になります。「いないいない…」で「くるぞ、くるぞ!」と期待し、「ばあ!」の瞬間には「やっぱりきた!」とほっとする。こうした短時間の繰り返しが、交感神経と副交感神経を柔軟に切り替える練習になるというのです。また自律神経系の働きが、学習やコミュニケーションの基盤となったり、自分の行動をコントロールする実行機能の発達にも関係したりするのではないかと考えている人達もいます。

何も準備せずいつでもできる気軽な遊び

「いないいないばあ」遊びは、親にとっても大きなメリットがあります。何も準備しなくても、自分のからだひとつ、声ひとつあれば、いつでも、どこでも始められます。電車やバスのなか、病院の待合室など、手持ちぶさたになったときに試すと盛り上がります。子どもが反応してくれると、親もうれしい気持ちになりますよ!



「いないいないばあ」はいつから? どう遊ぶ?

 新生児期は、親子ともに新しい生活に慣れるのに精一杯ですから、産後のからだの回復を最優先に過ごしましょう。ママの体調が戻り、心に少しずつ余裕が出てきたら、親子のペースで様子を見ながら「いないいないばあ」を試してみることをおすすめします。


《遊ぶときのポイント》

「顔から20〜30センチほどの距離」を意識する
 生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01程度といわれています。「ばあ!」としたときの顔が見やすいように、赤ちゃんの顔から20〜30センチほどの位置でやってみましょう。

ふだんよりゆっくり、抑揚をつけて話す
 大人は、赤ちゃんや小さな子どもに話しかけるとき、無意識のうちにいつもよりも高く、ゆっくり、大きく抑揚をつけて話しています。こうした話し方を対乳児発話と呼びます。対乳児発話は、赤ちゃんが聞き取りやすく、注意を向けやすい話し方です。余裕があるときは、声のトーンを少し上げてゆっくり話してみてもいいでしょう。

大きく、ゆったり動く
 大人は子どもを前にすると、ゆっくりと大きく動作する傾向があります。話し方と同じように、動作もゆったり大きく、緩急をはっきりつけるように意識すると、子どもが目を向けやすいかもしれません。

笑顔をベースに、表情のバリエーションを楽しむ
 赤ちゃんは笑顔が大好きです。「ばあ!」とするときは笑顔を中心に、びっくりした顔やへんな顔などいろいろな表情を混ぜてみましょう。ただし、怒った顔は、遊びのやり取りの中では、びっくりさせてしまう可能性もあるため、親子のやりとりがある程度安定してから挑戦すると安心です。子どもが慣れてきたら、声の出し方やタイミングにも変化をつけてみてください。

反応がない・笑わないときは?

 さまざまな声の高さや表情を試しても、子どもが笑わなかったり、反応しなかったりするときもありますが、不安に感じる必要はありません。「ばあ!」とした瞬間に別のところを見ていたり、インタラクションする気分ではなかったりすることもあります。

 スピーディーな動きを楽しむ子どももいれば、じらされて喜ぶ子どももいます。タイミングや笑いのツボはきょうだいであっても大きく異なります。難しく考えず、「今はそういう気分ではないんだな」「どんな声やタイミングが好きなのかな?」と、子どもの様子を観察するような気持ちで、気楽に試してみてください。

成長に合わせて進化する「いないいないばあ」のバリエーション

 「子どもが慣れてきたら、アレンジを楽しんでみても」と松中先生。教えていただいた「いないいないばあ」遊びのバリエーションを紹介します。



子どもの手で
 手が顔に届くようになったら、「いないいない」で子どもの手で顔をおおって、「ばあ!」で手を開いてみましょう。スキンシップの一環として楽しめます。

タオルを使ってお風呂上がりやオムツ替えのときに
 入浴後にあお向けに寝ている赤ちゃんのからだを拭きながら、タオルで顔を隠して「ばあ!」としてみましょう。オムツ替えのときにハンカチやガーゼなどで顔を隠すのも盛り上がります。赤ちゃんの様子を見守れるときに試してみてください。

後追いが始まったら
 赤ちゃんのそばを離れるときに取り入れてみるのもひとつのアイデアです。物陰からひょっこり「ばあ!」と顔を出すと、親と離れる不安な気持ちが、遊びの楽しさに変わるかもしれません。

壁や柱に隠れて
 はいはいやひとり歩きを始めたら、壁や柱に隠れて「ばあ!」と顔を出してみましょう。1〜2歳ごろになると、大人のまねをして、子ども自身が壁や柱に隠れるような仕草を見せることもあります。子どもが「ばあ!」としたら、オーバーに驚くと喜びます。

ぬいぐるみや人形を使う
 ぬいぐるみを机の下などに隠し、「ばあ!」と飛び出してみましょう。



鏡を使う
 鏡は、多くの子どもが興味を持つアイテムのひとつ。子どもを前向きに抱っこして、鏡に向かって「いないいないばあ」をすると盛り上がります。鏡に映っているのが自分だと理解するのは1歳半から2歳ごろだといわれます。それ以前でも、自分が動くと鏡の中の人物も動くという即時的な反応は、子どもにとって抜群のおもしろさです。

成長すると「かくれんぼ」に発展
 いないいないばあがスケールアップした遊びが「かくれんぼ」です。かくれんぼは、親との愛着関係が確立し、対象の永続性とルールの理解がそろったとき遊びとして成立してくるでしょう。

照れてしまうときは絵本の力を借りて

 子どもとの遊びや「いないいないばあ」で照れてしまう場合は、絵本の力を借りるのも一案です。絵本をはさむと、気恥ずかしさや照れが減り、自然なコミュニケーションがしやすくなることもあります。『Sassyのしかけえほん ばあ!』など、「いないいないばあ」を題材にした絵本はたくさんあります。「ばあ!」といいながらページをめくって遊ぶのもいいですね。

「絵本を正しく読まなければ」と身構える必要はありません。子どもにとって、絵本はおもちゃのひとつです。食後やお昼寝前など、ゆったり過ごしたいときのおもちゃとして、気楽にページをめくってみましょう。子どもが指先を動かして絵の変化を楽しめる仕掛け絵本は、親子のやりとりに加え、子どもが自分で仕掛けを操作するおもしろさを味わえます。さまざまな絵本で、子どもとの時間を楽しんでみてくださいね。

いないいないばあで「この子探し」をしよう!

子どもが小さいうちは、授乳や食事、寝かしつけに追われ、なかなか一緒に遊ぶ余裕が見つからないかもしれません。子どもと一緒に遊ばなきゃと思うとつらくなってしまいますから、子どもの機嫌がよく、何をしようか迷ったときに、家族の力を借りながらいろいろな遊びを試してみてください。

遊びは、子どもを知っていく過程のひとつです。「この子はこれが好きなんだ」と観察するような気持ちでいると、育児のプレッシャーから少し距離を置けるように思います。わが家では、上の子どもは大喜びしたことが、下の子どもには響かないということがよくありました。それほど、子どもによって興味のツボは異なります。顔を手で隠すのが好きなのか、それともハンカチで隠すのが好きなのか。「この子探し」をするような気持ちで「いないいないばあ」を楽しんでみてくださいね。


取材・文:三東社

写真:PIXTA



<プロフィール>

松中玲子(まつなか れいこ)

東京大学大学院総合文化研究科特任研究員。慶應義塾大学文学部特別研究員。二児の母。1歳ころの乳児が見せる「社会的参照行動」に感銘を受け、表情や視線の認知やそれらが注意に与える影響についての研究に取り組む。最近は、文字や数の認知にも興味を持ち始めている。博士(学術)。



【書籍情報】



▶書誌情報を見る


この記事をシェアする

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEでシェアする

特集

ページトップへ戻る