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読み聞かせで必要なのは子どもとの“コミュニケーション”! 「言葉のかけあい」で読み聞かせ会が大盛り上がりする、司書の先生がおすすめする絵本を一挙ご紹介!

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近年、絵本の読み聞かせへの関心が高まっています。読み聞かせによって子どもとコミュニケーションが図れたり語彙や情緒を育めたりと、乳幼児から小学生まで幅広く“よみきかせ”機会が求められているからです。

ただ、「読み聞かせ」といっても実際に行う場合、読み手は「緊張しちゃうな」「どうやって語りかければいいのかな」と構えてしまいがちです。そこで、北海道にある公共図書館の館長・富田歩美さんに、司書ならではの視点でおすすめの絵本や、読み聞かせのポイントを伺います。

今回は、子ども達が身を乗り出して興味をもち、自然に読み手と“かけあい”することでスムーズにコミュニケーションが取れてしまう、読み聞かせの掴みにおすすめの楽しい絵本をご紹介していただきました。


読み聞かせで大切にしていること

「絵本の読み聞かせ」に、つい緊張してしまうという方も多いのではないでしょうか。何回経験してもドキドキして良いのではないかと思っています。そつなくこなすのではなく、そのドキドキが必要なのではないかと思うのです。

幼稚園や保育園、学校では参加する子の年齢層が分かっているので、読み聞かせに使用する絵本を選ぶ時、参加する子たちを思い浮かべられますが、図書館や公民館で開催する、「どなたでも参加可能です」の読み聞かせは、どの絵本にしようか、迷ってしまいます。自分の持ち時間に合わせた絵本の冊数の倍、用意しておくこともあります。倍の冊数を用意しておくことで、子どもに選んでもらうという楽しさを演出できます。

また、「3歳児から小学生まで幅広い年齢層がいる場合、誰に合わせればいいですか?」という質問をよく受けます 。私自身はみんなが分かるように、一番年下の子に合わせます。年上の子たちは、幼い頃にふれた物語を「飽きた」と感じるのではなく、むしろ懐かしさや安心感をもって、場に参加してくれるからです。

読み聞かせというのは、読み手が一方通行で読むのではなく、一冊の絵本を通して「コミュニケーションを図る」こと。20数年、読み聞かせを続けてきた中で、私はそのように実感しています。
ストーリー性のある絵本を読み、どっぷりとその世界に浸ってもらうのはもちろんですが、一冊の絵本を囲んで言葉をかけあうことで、そこに新たな楽しさが生まれます。その豊かなやり取りこそが、子どもたちが絵本を、そして本そのものを好きになる大切なきっかけになると思っています。

まるでクイズ大会のような盛り上がり 『なにになれちゃう?』

この絵本は、ボディペイントアーティストとして活躍するチョーヒカルさんによる、手足や体にペイントを施していくことで思いもよらないものに“なれちゃう!”という驚きが楽しめる絵本です。

右手と左手を合わせた写真があります。
「なんだろう?」と思い、ぱっとページをめくると、あらふしぎ! 手は、ひらひらきれいなちょうちょになっていました。グーチョキパーのじゃんけんの手も、あっという間に本物の石・はさみ・紙に大変身。

私たちの見慣れた体が、動物にも風景にもありとあらゆるものになれちゃう楽しさに惹きつけられる一冊です。



なにになれちゃう?』 
作/チョー ヒカル 白泉社 1,320円

富田歩美さん:手や足、そして背中も! ボディペイントで、身体がダイナミックに大変身するこちらの絵本。

「次は何になっちゃうかな?」と子どもたちと想像を膨らませながら読んでいくと、まるでクイズ大会のように盛り上がります。「○○○だ!」と自然に声が飛び交い、当たっても外れても、みんなで大喜びです。

私からも「何かな?何かな?」と声をかけながら、一緒にページをめくります。 最後にあそび紙(見返し)にある絵本ができるまでの写真を紹介すると、みんな驚き、さらに盛りあがりますよ。



前からも後ろからも楽しめる 『まどのむこうの くだもの なあに?』

くだものは、色も形も千差万別。この絵本はそんなくだものの表面を、穴あきのしかけ窓から見て「なんだろう?」と考えながら楽しく知識も得られる絵本です。

ページに開けられた四角い穴から赤くてつぶつぶのついた模様が見えたら「いちご」、網目模様が見えたら「メロン」など、子ども達の大好きなくだものが勢ぞろい。

さらに後ろからめくって読むと、くだものの断面図が見えて「緑と黒のしましまのすいかの中身は赤いんだね」と驚いたり、くだものたちの種の付き方の違いを知ったり、どの方向からも楽しめます。



まどのむこうの くだもの なあに?』 
作/荒井 真紀  福音館書店 1,540円

富田歩美さん:みんなが大好きなくだもの! 小さな四角の窓から、「何のくだものが見えるかな?」と覗き込むワクワク感があります。



読み進めるうちに、子どもたちは名前を大きな声で叫んだり、身を乗り出すようにして絵本の近くに集まってきてくれます。その姿に、読み手の私たちもつい嬉しくなってしまいます。

そして、この絵本の面白いところは、最後まで読んだあと、今度は後ろから逆に読み進められるところです。



一度見たはずのくだものなのに、子どもたちはまた一生懸命に考えてくれます。小さな四角の窓の演出がステキな絵本です。

絶妙な難易度で楽しめるクイズ形式絵本 『あてっこ どうぶつずかん だれ』

動物園でおなじみのトラやキリンをはじめ、日常生活で身近なイヌ、ネコ、ウサギまで、幅広い動物たちにまつわる楽しいクイズが出される絵本です。

動物の大きさや好きな食べ物など難しすぎず、けれども知っているとうれしい知識が絵本の中にふんだんにちりばめられています。小さなお子さんはもちろん、大きくなってからも長く楽しめるクイズがずらり。

作者のあべ弘士さんは北海道の旭山動物園で実際に飼育係としてさまざまな動物を担当していたスペシャリスト。動物たちの特徴を捉えた絵と楽しい知識で、動物への興味をもつきっかけとなる一冊です。



あてっこ どうぶつずかん だれ』 
作・絵/あべ 弘士  KADOKAWA  1,430円

富田歩美さん:こちらの絵本は、読み手と子どもたちが一緒に考えながら進める、クイズ形式の本です。元飼育員さんによる豆知識がたっぷりと盛り込まれていて、読み終わる頃には「図鑑で調べたい!」「動物園に行きたい!」という気持ちになること間違いなし! 次の興味へとつながっていく一冊です。

例えば4、5ページを開くと、「おおきいほうは だれ?」という問いかけとともに、トラとネコの絵が登場します。



3歳の子でも分かるクイズから始まり、だんだんちょっと難しくなり、さまざまな動物に広がっていきます。クイズを楽しみながら、自然と動物への理解が深まっていくので「知識絵本」のような魅力にあふれています。

子どもと絵本の距離がぐっと近くなる 『どっち? 』

“木”を素材に、あらゆるものを“本物そっくり”に彫り上げることで話題の木彫りアーティスト・キボリノコンノさんによる、「どっちが本物かわからない~」という不思議体験が楽しめる絵本です。

例えば、そっくりなカステラが二つ並んでいて、どちらか一方は木彫りの作品ですが、どちらが本物かまったく見分けがつきません。それを「こっちが本物!」と目を凝らして当てていく楽しさがこの絵本の魅力。

表紙にあるパンや煮干し、はては注がれている最中のコーヒーまでが木彫りです。そのあまりの本物っぷりに「あっ」と驚かされること間違いなしです。



どっち?』 
作/キボリノコンノ 装丁・デザイン/脇田あすか、山口日和 講談社  1,760円

富田歩美さん:この絵本のおもしろいところは、大人がどれだけ目を凝らしても「本物」と「木」の区別がつかないところです(笑)。ところが不思議なことに、子どもたちは「こっち!」とすいすい指をさしてくれます。

そして、こちらも、気づくと、子どもと絵本との距離が近くなります。この表紙のフランスパン、どっちが、本物だと思いますか?



答えは、裏表紙にあるので、読み聞かせが終わった後に、「じゃあ、この表紙のパンはどっちかな?」と問いかけると、まだまだ答えたい子どもたちが身を乗り出して挑戦してくれますよ。



「もしも〇〇だったら~」で示される突拍子もないお題と選択 『ねえ、どれがいい?』

この絵本の中で子ども達に「ねえ、どれがいい?」と問う選択肢はとんでもないものばかり!

「きみんちの まわりが かわるとしたら、『こうずい』と、『おおゆき』と、『ジャングル』と、ねえ、どれが いい?」と聞かれても、どれも選びたくないですよね? こんな調子で「もしも〇〇だったら~」で示される突拍子もないお題とどれも選びたくない選択肢に子ども達は「キャー、やだー」と大騒ぎ。なかには、ちょっとやってみたいかも? というお題もあって子ども達の脳みそは「わたしだったらどうしよう?」とさらにフル回転。

読んでひとしきり興奮した後は、すっと眠りにつけるような質問が最後にあるので、寝る前の読み聞かせにもぴったりな一冊です。



ねえ、どれがいい?』 
作/ジョン・バーニンガム 訳/まつかわまゆみ 評論社  1,650円

富田歩美さん:さて、最後のおすすめ絵本は、私の18番(オハコ)です。出版年が1983年と長く読み継がれている絵本ですが、決して内容は色あせることなく、今の子どもたちも楽しんでくれます。

「ねえ、どれがいい?」と質問をするのですが、それがすべて究極で、現実離れした選択肢ばかりなのです。



子どもたちの「どれも嫌だ~~」と声がこだまし、クスクス笑います。ただ、このお父さんとお母さんの質問はリアルすぎて、子どもたちは苦笑いです。そこがまたカワイイ!


子ども達にとっておそらく最初の読書体験であろう“読み聞かせ”。最初の体験であるからこそ「あー、楽しかった」と思うことが、絵本や読書に興味を持つきっかけとなります。

今回ご紹介した絵本は、ページをめくった瞬間から「これなになに?」と子ども達の関心をひきつける楽しいものばかり。さらに、「わたしはこっちだと思う!」「ぼくはこれを選ぶ!」など自分の意見を声に出してやり取りすることによって豊かなコミュニケーションが生まれる絵本でもあります。そうした経験は子ども達の成長の大事な一歩。これらの絵本を読む楽しさが子ども達の記憶に残り、これからの豊かな読書体験につながっていきます。

<プロフィール>

富田歩美
公共図書館館長。学生時代に図書館司書の資格を取り、公共図書館に勤務する。北海道内の図書館、7館で勤務し、館長として現在5年目。以前、児童書に特化した図書室の立ちあげを経験する。近年、図書館運営に活かすため、絵本セラピスト協会認定基礎絵本セラピストⓇ、JPIC読書アドバイザーを取得。


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