ヨメルバ編集部がセレクトした絵本を、聞かせ屋。けいたろうさんといっしょに掘り下げます。第二十二回は、?と!のえほん『たれてる』です。
『たれてる』(作:鈴木のりたけ ポプラ社刊)
ヨメルバ:鈴木のりたけさんの『たれてる』です。2024年に刊行の人気絵本ですね。
けいたろうさん:書店で読んで、すぐに買いました! テーマがシンプルでわかりやすいんですよね。あと表紙を見ただけで、どういう話なのかがわかる。これ、とても大事なことなんです。ここで手に取るかどうか決まるわけですから、表紙は本当に大事ですね。
ヨメルバ:たれ方が想像以上ですよね。
けいたろうさん:そうですね。
ヨメルバ:絵本を読んでいると、「たれてる たれてる!」ってツッコみたくなります。
けいたろうさん:そうですね。あの、大袈裟な感じがちょうどいいというか。「たれてる」だけじゃなくて、「かけすぎじゃない?」ってなったときの子どもの反応がすごいんですよ。「かけすぎ、かけすぎ!」って(笑)。
ヨメルバ:子どもたちから、大きな反応があるんですか。
けいたろうさん:そうです。「かけすぎ」とか、「えー!」とか、こっちが欲しい反応が見事に返ってきますから、鈴木のりたけさんすごいなって思います。
のりたけさんが絵本の中から子どもに「こんなことあったらおもしろいでしょ?」って話しかけてるみたいなんですよね。
ヨメルバ:なるほどね。
けいたろうさん:僕は、のりたけさんとよくお喋りさせてもらうんですけど、のりたけさんって、おもしろいおとななんです(笑)。この絵本は、のりたけさんが子どもに楽しいことを提案してくれてるみたい。一緒に笑いながら遊んでくれてる感じがするんですよね。
ヨメルバ:なるほど。一緒に遊んでいる感じ、確かにそうですね。
けいたろうさん:のりたけさんもきっと、時々笑いながら描いてますからね。
ヨメルバ:わたしは、「あー もう!」って書いてある絵本を初めて見たと思いました。「たれてる たれてる」って、親とかおとなが言うそのままのセリフじゃないですか。だから、のりたけさんが一緒に遊んでくれてるっていうのがすごいよくわかるなって思いました。
けいたろうさん:そうですね。この絵本は、どんどん「たれてる」がエスカレートしていくんですけど、途中で「もれてる」っていう部分があって。子どもたちは「もれてる」でめっちゃ笑います。
なんでかな?って思ったんですけど、子どもにとってはおしっこがもれてるとか、うんちがもれてるとかが、とても身近なことだからなのかも。やっぱり「もれてる」に敏感だし、「もれてる」で笑ってしまう。
ヨメルバ:「たれてる」からの「もれてる」ですね。
けいたろうさん:これ、現実にはありえないことで、いわばナンセンスな絵本なんですけども、エスカレートしつつもエスカレートしすぎないっていうのが、この絵本のポイントだと思っているんです。
現実でもありそうでなさそうな展開なので、子どもたちにとっても身近なんですよね。
気軽に笑えるというか。そういうところが素晴らしいなと思ってます。
ヨメルバ:最後のオチがすごいですね。私もうちの子どもも、大爆笑しました。
けいたろうさん:おもしろいですよね。誰に読んでもらっても、笑えると思いますね。
ヨメルバ:なるほど。読み手側の腕に関わらず、誰が読んでも子どもが楽しめるすごい本。
けいたろうさん:先生でも親でも。おとなも笑ってしまう内容なので、ちょっとニヤニヤしながら読み聞かせすることになるんですよ。読み手がおもしろがってるのって、伝わるんですよね。楽しそうに読まれたら、やっぱり聞き手も一緒に笑っちゃうんですよ。そういうのがすごく大事。
そして、自然とそういうふうになるという、もう超良作です。
言うことないなって感じです。僕、同じ作り手としては、ちょっと悔しいくらいですよ(笑)。
ヨメルバ:なるほどね。けいたろうさんは、保育園で読んだんですか?
けいたろうさん:そうです。保育園で1歳クラスから年長まで読みました。
1歳は、先生に面白がって欲しくて読んだんですけど。
ヨメルバ:1歳のクラスだと子どもたちの反応はどうなんですか?
けいたろうさん:わりとわかってると思います。月齢の高い子は「ドーナツ」と言ったりしますし。先生が笑っているのもすごい大事だと思ってるので。そういうのもひっくるめて、一歳クラスで読むのもアリでした。
ヨメルバ:なるほどね。その場の雰囲気が。
けいたろうさん:そう。先生がおもしろがってくれて、絵本に興味を持ってくれるのはすごい大事だと思うので。おもしろい絵本と沢山出会って欲しいですよね。しかも勤務中に笑えるって、良いじゃないですか。目の前には子どもたちがいるわけだし。大事です。
ヨメルバ:なるほど。じゃあ、子どもに読むなら2歳以上がいいですか?
けいたろうさん:確定的なことは言えないんですけど。作り手の意図がどうかっていうとこもあるので。なんだけれども、やっぱりこのドーナツとドーナツに何かをかけてるっていうことがわかれば、十分に楽しめる内容だと思います。笑いをくれる絵本って、ハッピーですよ。
ヨメルバ:なるほど。どうもありがとうございました。