ヨメルバ編集部がセレクトした絵本を、聞かせ屋。けいたろうさんといっしょに掘り下げます。第二十三回は、シンプルな展開だから親子で楽しめる『おっ!』です。
『おっ!』(作:高畠純 絵本館刊)
ヨメルバ:この絵本は、高畠純さんが描かれる動物の表情が生きている絵本だなと思いました。
けいたろうさん:そうですね。表紙がもう『おっ!』っていう感じで、すぐ手に取りました。
「何これ。おもしろそう!」って思いましたね。
ヨメルバ:表紙の表情から?
けいたろうさん:そうです。本をめくってみると、誰かが振り向いて「おっ!」、誰かが振り向いて「おっ!」の繰り返し(笑)。超シンプル。
気が抜けるくらいシンプル。でも、これがいいんですよ。
ヨメルバ:この絵本は構造がシンプルだし文字が少ないから、赤ちゃん絵本ですかね?
けいたろうさん:赤ちゃんだけじゃなくて、年中、年長もおもしろがってくれるんですよ。
むしろ年中年長の方が、そのとぼけた表情のおかしさがわかって、おもしろいんじゃないかな?
説明とか余計な言葉がない分、子供たちは絵を見ると思うんです。
「これなんだ?」とか、「あ、あの動物だ」とか。
ヨメルバ:小さな子どもたちでも、動物のうしろ姿でなんの動物かわかるんですか?
けいたろうさん:結構わかります。
うしろ姿のページで、「ゴリラ!」とかって言います。
だからそういう意味でも、年中、年長の方が、クイズじゃないんだけれども、そういった楽しみ方もできるんです。
自分が思っているとおりの動物が振り返って、予想を裏切られないから嬉しいんじゃないかなぁ。
ヨメルバ:「来るぞ来るぞ」の想像が裏切られない。
けいたろうさん:作り手としては、展開をひねりたいという気持ちもあるんです。
でも、絵本って基本的には絵の本だから、絵の力で十分楽しくもできるはずなんですよ。
文が少ない絵本を手に取ったら、特に絵をじっくり味わってほしい。
親がその絵を説明したり解説する必要はないんです。
子どもと一緒におもしろがってくれたらそれでいい。
「え? 内容これだけ?」とか「学びはどこにあるの。」とか言わないでほしい(笑)。
親子でおもしろがれるのって素晴らしいことなので。
ヨメルバ:そうですね、この本の絵も、白い紙に「おっ!」ていう文字と、振り返った動物だけっていうそのシンプルさが、絵を引き立たせますよね。
けいたろうさん:本当。絵本ってこれだけで成立するんだなって。改めて絵本ってすごいなと思った作品ですね。
ヨメルバ:確かにそうです。
どうもありがとうございました。