100年以上にわたり受け継がれ、伝統的な技法や材料でつくられている「伝統工芸品」。職人の手仕事が生むぬくもりや実用性は、子どもたちにこそふれてほしいものですよね。今回は、親子で伝統工芸体験が楽しめる全国の10施設を紹介します。「本物」の価値を楽しみながら学んでみませんか?
九谷焼の絵付けを体験できる「ゆのくにの森」(石川県・小松市)
約370年の歴史を持つ石川県を代表する伝統工芸品「九谷焼」は、鮮やかな色彩と大胆な図柄が特徴の色絵磁器です。小松空港から車で約25分、加賀に古くから伝わるさまざまな伝統工芸にふれられる「ゆのくにの森」では、皿や湯呑みなどの白い器に6色の絵の具で色をつける「絵付け」に挑戦できます。絵の具を布でふき取れば描き直しができるところがうれしいポイント。思いきり楽しめるように、汚れてもいい服で参加しましょう。完成した作品は、焼き上げられて約2ヵ月で自宅に届きます。「いつ届くかな?」とワクワク待つ時間も家族のお楽しみになりますよ。
施設情報
住所:石川県小松市粟津温泉ナ-3-3
時間:9:00〜16:30(体験の最終受付は15:00、入村の最終受付は16:00)
定休日:木曜日(祝日は営業)※GW4/30・夏季期間7/20~8/31・年末12/30は営業
対象年齢:4歳以下でも体験可能。ホームページ「トピックス」を参照ください
公式サイト:https://yunokuninomori.jp/
自分だけの1本を組み上げる「伊賀くみひも 組匠の里」(三重県・伊賀市)
国の伝統的工芸品に指定されている「伊賀くみひも」は、和装の要として欠かせない帯締めや羽織紐として親しまれています。 伊賀くみひもの展示・販売・体験を通じて、伊賀に受け継がれてきた技の継承を目指す「伊賀くみひも 組匠の里」では、丸台と呼ばれるくみひも台を使い、「金剛組」と呼ばれる技法でキーホルダーやブレスレットを手づくりする「くみひも体験」を実施しています。個人差がありますが、作品によっては40分ほどで完成するので、初心者でも気軽に楽しめますよ。伝統の技を身近に感じながら、世界にひとつだけの1本をつくり上げましょう。
施設情報
住所:三重県伊賀市上野丸之内116-2
時間:9:00〜17:00(体験受付は9:00~15:30)
定休日:月曜(祝日は営業)、年末年始
対象年齢:小学生以降
公式サイト:http://www.kumihimo.or.jp/
土佐和紙の紙漉き体験ができる「いの町紙の博物館」(高知県・吾川郡)
1000年以上の歴史を持ち、江戸時代は幕府への献上品でもあった日本三大和紙のひとつ・土佐和紙の産地として知られる高知県のいの町で、水と植物の力を使った紙すき体験に挑戦してみませんか? 原料を溶かした槽(ふね)から、簀桁(すけた)という道具で紙料を汲みあげて和紙を漉く作業は、子どもにとって驚きの連続。技術指導員の手ほどきを受けながら、大人の手助けがあれば5〜6歳くらいから体験できます。原料の「コウゾ」や「ミツマタ」がどのように紙になるのか、展示を通して和紙の歴史も学べるので、夏休みの自由研究にもぴったりですね。自然の素材にふれることで、ものを大切にする心や、自然環境への関心も育まれるかもしれません。
施設情報
住所:高知県吾川郡いの町幸町110-1
時間:9:00〜17:00(体験受付は16:00まで)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、12月27日〜1月4日
※工事に伴い、2026年11月16日(月)〜2027年3月31日(水)は臨時休館
対象年齢:大人の手助けがあれば5〜6歳くらいから体験可能
公式サイト:https://kamihaku.com/
寄木細工のコースターを作ろう!「畑宿寄木会館」(神奈川県・箱根町)
箱根山系の樹木の自然な色合いを生かした「箱根寄木細工」。三角形や菱形を組み合わせた緻密な幾何学模様は、箱根の名産品として知られています。箱根湯本駅からバスで約20分の畑宿寄木会館では、寄木のオリジナルコースターを作る製作体験に挑戦できます。お気に入りのパーツを選び、パズルのように組み合わせて世界にひとつだけの幾何学アートをつくります。誰がおもしろい模様をつくれるのか親子で競うのも盛り上がりますよ! 天然木ならではの香りやぬくもりに触れる時間は、親子のかけがえのない思い出になるはずです。
施設情報
住所:神奈川県足柄下郡箱根町畑宿103
時間:9:30〜16:30(最終入館は16:00)
定休日:不定休
対象年齢:保護者同伴であれば1歳以上
公式サイト:https://www.hakone.or.jp/5518
曲げわっぱの弁当箱を手作りできる!「柴田慶信商店」(秋田県・大館市)
1000年以上の歴史を持ち、製法を変えずに作られてきた「大館曲げわっぱ」。美しい木目と手触りのよさ、秋田杉の豊かな香りが魅力の伝統的工芸品です。秋田県大館市の「柴田慶信商店」では、職人の指導のもと、丸弁当箱とパン皿の製作ワークショップを行っています。一晩水に浸し、80℃に煮沸してやわらかくした部材を型に合わせて曲げ、つなぎ目を山桜の木の皮で綴じ、木槌でたたきながら底面をすき間なくはめ込んだあと、紙やすりで表面を滑らかに整えます。自分の手で一生懸命につくり上げたお弁当箱やパン皿は、一生の宝物になりますよ。「本物」の道具にふれることで、道具をていねいに扱い、大事に長く使う精神も育めます。希望日の1ヵ月ほど前に電話で予約をしてから向かいましょう!
施設情報
住所:秋田本店:秋田県大館市御成町2-15-28、わっぱビルヂング店:秋田県大館市御成町1-12-27
時間:秋田本店:10:00〜17:00、わっぱビルヂング店:10:30〜17:00
定休日:秋田本店:土日祝、わっぱビルヂング店:火曜日
対象年齢:小学校低学年から
公式サイト:https://magewappa.com/
縁起のよい高崎だるまにふれる「だるまのふるさと大門屋」(群馬県・高崎市)
七転び八起きの精神を象徴する「高崎だるま」は、200余年の歴史を誇る伝統工芸品です。大門屋の「絵付け体験」では、職人のレクチャーを受けながら、だるまにまゆとひげを描き入れます。体験後、職人がお客様の好きな一文字をお腹に書いて仕上げるだるまさんも。お背中へ願い事やお名前の文字入れも可能です(最大3文字/550円)。「どんなお願いごとをする?」と親子で話し合う時間も、かけがえのない思い出になるでしょう。「眉は鶴、鼻から口髭は亀」を表すなど、縁起物の由来を教わることで、伝統文化への理解や敬意も深まりますよ。小さい子どもには、約10分で体験できる「手形入れ体験」がおすすめ。バラエティに富んだ店内のだるまから好みのものを選んで手形を入れれば、縁起の良い記念品ができ上がります。
施設情報
住所:群馬県高崎市藤塚町124-2
時間:9:00〜17:00(絵付け体験は10:00からと14:00からの2回、手形入れ体験は11:00からと13:00からの2回実施)
定休日:年中無休(12月、1月は体験教室は休止)
対象年齢:絵付け体験は原則、小学3年生以上。手形入れ体験は幼児も参加可能
公式サイト:https://www.daimonya.jp/
沖縄の海や空を思わせる琉球ガラスで作品づくり「琉球ガラス村」(沖縄県・糸満市)
那覇空港から車で約25分、糸満市にある琉球ガラス村では、工房の熱気を肌で感じながら、本格的な吹きガラスによる「琉球ガラス」の製作に挑戦できます。ドロドロに溶けたガラスに息を吹き込んで、風船のようにプクッと膨らませます。職人がしっかりサポートするので安心して体験できますよ。琉球ガラス製作のほかにも、色とりどりのガラスのかけらを組み合わせたネックレスやブレスレットづくりや、美しい輝きのガラスのかけらをデコレーションしたフォトフレームづくりなどのワークショップも開催。光を閉じ込めたような自分だけの作品は、とっておきの旅の思い出になります。
施設情報
住所:沖縄県糸満市字福地169
時間:9:30〜17:30
定休日:年中無休
対象年齢:琉球ガラス製作は小学生以降
公式サイト:https://www.ryukyu-glass.co.jp/
切子のオリジナルグラスを製作「創吉」(東京都・台東区)
「江戸切子」は、ヨーロッパのカットガラスの技法をとり入れて19世紀に生まれた伝統工芸品です。東京都・浅草にあるグラス専門店・創吉では、ガラスの表面に円板や砥石でさまざまな模様を切り出してオリジナルグラスをつくる「切子体験教室」を行っています。柄のデザインは簡単なものから複雑なものまでバラエティ豊富。古くから受け継がれている菊や麻の葉などの伝統模様や、江戸の生活道具をモチーフにした図柄に子どもがふれる貴重な機会となります。慎重に、時に大胆にカットを進めていく緊張感は、日常では味わえない特別なもの。集中してつくり上げたグラスの輝きは格別です。都会のまん中で、静かに文化を継承する喜びを親子で共有しませんか。
施設情報
住所:東京都台東区雷門2-1-14
時間:9:00〜18:00 *体験は予約制
定休日:年末年始
対象年齢:9歳以上 ※9歳未満は大人の付き添いがあれば体験可能
公式サイト:https://www.sokichi-workshop.com/
美濃焼のやきものづくりに挑戦!「セラミックパークMINO作陶館」(岐阜県・多治見市)
陶磁器の全国生産の半数以上を占めている「美濃焼」は、1400年という長い歴史を持つ、岐阜県を代表する伝統工芸品です。岐阜県多治見市にある陶芸をテーマにした美術館と体験施設を併設する「セラミックパークMINO」では、小学校低学年から大人まで楽しめる「作陶体験」を行っています。開放感がある体験施設「作陶館」では、電動ロクロで茶碗、コップ、小皿などを、タタラ板と呼ばれる道具を使って土を板状にして成形するタタラ技法で平皿、角皿、小鉢、マグカップなどをつくれます。「どんな料理を盛り付けようか?」と会話しながらひんやりとした土をこね、形を整える作業は、最高に贅沢な親子の時間になるはずです。
施設情報
住所:岐阜県多治見市東町4-2-5
時間:10:30〜16:00 ※作陶体験は金〜日・祝日の10:30、13:30、15:00から開催
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
対象年齢:1人での製作は小学校低学年以降。小学生未満は大人とのペアで体験可能
公式サイト:https://www.cpm-gifu.jp/
出雲石灯ろうの材料に彫刻!「モニュメント・ミュージアム来待ストーン」(島根県・松江市)
その品質の高さから江戸時代には藩主の許可なく販売・持ち出しが禁止されていたという「出雲石灯ろう」。石工品で初めて国の伝統工芸品に指定された出雲石灯ろうの材料・来待石の彫刻体験に挑戦できるのが、島根県松江市の「モニュメント・ミュージアム来待ストーン」です。「来待石工房」では、職人が使用しているものと同じノミやカナヅチを使い、20センチ四方の来待石の板石に好きな絵や文字を彫刻します。やわらかい来待石は子どもの力でも十分彫ることができるので、お気に入りのキャラクターや柄を彫刻して世界にひとつだけの作品をつくり上げましょう。完成した作品は、当日そのまま持ち帰ってお土産にできますよ。
施設情報
住所:島根県松江市宍道町東来待1646
時間: 9:00~12:00、13:00~17:00(体験受付は9:00~12:00、13:00~15:00)
定休日:火曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
対象年齢:小学生以降
公式サイト:https://www.kimachistone.com/
親子で「本物」にふれる休日を
全国各地に息づく伝統工芸は、中学入試の社会でも頻出のテーマです。実際に産地を訪れ、秋田杉や土佐和紙などその土地ならではの素材にふれてものづくりをすることは、何よりの生きた学習になります。また、陶器のなめらかさにふれたり、土や木の香りに癒されたりする時間は、デジタルでは得られない、五感をフルに刺激するかけがえのない体験となるはずです。
次の休日は、少し足を伸ばして、親子で日本の「本物」にふれる旅に出かけてみませんか? 自分で作り上げた作品を日常的に使うことで、「ものを大切にする心」も育まれるかもしれませんよ!
文:三東社