「エリック・カール展」展示風景、東京都現代美術館、2026年 ※普段、会場にあおむしはいません
あおむしがりんごやケーキ、アイスやピクルスを食べて成長し、美しい蝶になる『はらぺこあおむし』は、世界中の親子に愛されてきたロングセラー絵本です。その日本出版50周年を記念して、『エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし』が、東京都現代美術館で7月26日まで開催中! 同作の原画全ページをはじめ、貴重な展示約180点を鑑賞できます。子どもはもちろん、大人もじっくり楽しめる展覧会の魅力をレポートします!
■『はらぺこあおむし』全ページの原画が集結!
4章構成となっている展示は、エリック・カールの代表作『はらぺこあおむし』の原画からスタート。
「エリック・カール展」展示風景、東京都現代美術館、2026年
来場者をまず迎えてくれるのは、お馴染みの表紙の原画。目を凝らしてみると……
エリック・カール, 『はらぺこあおむし』1987年版 表紙, 1987年, エリック・カール絵本美術館, Collection of the Eric and Barbara Carle Foundation.
節の部分など、さまざまな色紙が重なっている様子が見てとれます。
エリック・カール 『はらぺこあおむし』1987年版 表紙(部分)
『はらぺこあおむし』をはじめエリック・カールの多くの作品は、「コラージュ」という技法で制作されています。コラージュとは、台紙やキャンバスに、紙や布、写真や新聞などを切り貼りする制作方法のこと。エリック・カールは、まず薄紙にアクリル絵の具を塗ってさまざまな色や模様の色紙を自由につくり、次に下書きした画用紙の上にそれらをバランスよく切り貼りして、クレヨンや色鉛筆であおむしの毛などを描き加えて仕上げていました。あおむしがご馳走を次々に食べるこちらのページも、同じ手法で制作されています。
エリック・カール, 『はらぺこあおむし』1987年版, 1987年, エリック・カール絵本美術館,
Collection of the Eric and Barbara Carle Foundation. © 1969, 1987 Penguin Random House LLC.
エリック・カール『はらぺこあおむし』1987年版(部分)
原画は絵本より大きいので、コラージュされた色紙の凹凸がよく見えます。さまざまな角度からじっくり眺めて、切り貼りされた色紙の質感を確かめてみてください。
さらに1章では、70以上の言語で翻訳された『はらぺこあおむし』の各国語版や、制作開始当初の構想がわかる貴重な「ダミーブック」も展示しています。ダミーブックと絵本との違いを探してみてください。
■ エリック・カールの人生を数々の作品とともにたどる
続く2章では、彼が絵本作家になるまでの歩みを、手がけた作品とともに振り返ることができます。たとえば、今回の展示で原画が日本初公開となった『いちばんのなかよしさん』。
エリック・カール,『いちばんのなかよしさん』, 2013年, エリック・カール絵本美術館,
Collection of the Eric and Barbara Carle Foundation. © 2013 Penguin Random House LLC.
この絵本は、アメリカ生まれのエリック・カールが、6歳のときに両親の故郷・ドイツに移住して仲良しの友達と会えなくなってしまった経験から生まれたお話です。絵本では、遠くに引っ越してしまった女の子を探しに、主人公の男の子が川を泳ぎ、野を越え山を越えて、“いちばんのなかよしさん”に会いにいきます。現実の世界でも、この絵本の出版がきっかけとなり、アメリカの新聞社がモデルとなった人物を見つけ、エリック・カールは“なかよしさん”との再会を果たせたのだそうです。
絵本作家として広く知られるエリック・カールは、デザイナー、アートディレクターとしてキャリアをスタートしました。さまざまなポスター作品などを鑑賞して世界中で愛された絵本作家のルーツをたどりながら進むと、目の前には息をのむほど美しい青の世界が!
「エリック・カール展」展示風景、東京都現代美術館、2026年
ここは、エリック・カールが3歳の娘のために手作りした絵本をもとに誕生した『パパ、お月さまとって!』の世界観を再現したフォトスポット。足元から頭上高くの月へと伸びる長いはしごには、絵本に登場するパパの姿が描かれています。はしごのどのあたりにパパがいるのかチェックしてみてくださいね。親子の思い出の一枚をスマホに収めるのもお忘れなく♪
■ アトリエ風景を見たあとは、特設ショップへGO!
『はらぺこあおむし』といえば、ページにあいた「穴」も魅力のひとつ。3章では、エリック・カールが絵本づくりに取り入れた、さまざまな「しかけ」を紹介しています。そしてラストの4章では、エリック・カールと日本との結びつきや、愛用した絵筆などの制作道具、制作時にいつも身につけていたスモック、イタリア製の革靴などを見ることができます。
「エリック・カール展」展示風景、東京都現代美術館、2026年。手前)エリック・カール, 「フレームをもったあおむし」(エリック・カール絵本美術館開館時の寄付を募るPRポスター), 2002年, エリック・カール絵本美術館
充実した展示に心が満たされたら、特設ショップで記念グッズを探しましょう。
「エリック・カール展」オリジナルグッズ
展覧会の全出品作をオールカラーで掲載している公式図録をはじめ、
「エリック・カール展」公式図録(2,970円税込) 「りんご(赤)」「オレンジ(黄)」は数量限定につき、完売次第販売を終了
手のひらサイズのぬいぐるみ「フレームをもったあおむし」や、『はらぺこあおむし』のイラストが描かれた「ポケット エコバッグ」など、ワクワクする魅力的なグッズに出合えます。
(上)ぬいぐみ<フレームをもったあおむし> [価格]2,970円(税込) (下)ポケット エコバッグ [価格]3,080円(税込)
展覧会の最後には、エリック・カールの作品がずらりと並ぶ絵本コーナーがあります。展示内容を思い起こしながら、子どもと一緒にページをめくってみてくださいね。
「エリック・カール展」展示室内 絵本コーナー
東京都現代美術館では、展覧会来場者を対象に、日時限定の託児サービスを実施しています。じっくり楽しみたい方はチェックしてみましょう。
『エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし』は、2026年秋には福岡県立美術館、2027年春には大阪府阿倍野区のあべのハルカス美術館に巡回予定です。世界中の親子に愛されてきた絵本の人気の秘密を、貴重な原画を通じて体感してみてください。
【展示情報】
会期:2026年4月25日(土)〜 7月26日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F(東京都江東区三好4-1-1・木場公園内)
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(7月20日をのぞく)、7月21日
主催:東京都現代美術館、エリック・カール絵本美術館、読売新聞社
協力:日本航空、偕成社、コスモマーチャンダイズィング
<料金>
一般:2,300円
大学生・専門学校生・65歳以上:1,600円
中高生:1,000円
小学生以下:無料
<巡回予定>
福岡県立美術館:2026年10月23日(金)〜12月20日(日)
あべのハルカス美術館:2027年3月20日(土)〜5月9日(日)
取材・文:三東社
Eric Carle: Art, Books, and the Caterpillar is organized by The Eric Carle Museum of Picture Book Art, Amherst, Massachusetts, United States.