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もっとわかる! はじめての、親子えほん 第22回<読み聞かせのお悩みに回答>


ヨメルバ会員のみなさんに“絵本の読み聞かせ”についての悩みを聞いてみました!
今回は連載特別編として、みなさんからお寄せいただいた読み聞かせの質問に、絵本読み聞かせのプロ<聞かせ屋。けいたろう>がおこたえします。


Q.
0歳児の親です。月に何冊ぐらい読み聞かせをしたら良いか悩んでいます。本は購入したものの、なかなか時間が取れず。また、子供に自然と絵本が好きになってもらえるにはどうすれば良いか教えてください。

A.
絵本を好きになってくれたら嬉しいですよね。でも、親としては時間が無い。多くの方が抱える悩みですが、それは子どものことを思っているからこそで、とても良い悩みだと思います。
「何冊読むか、いつ読むか」にこだわらなくて良いと思います。「朝でも夜でも読める時に、1冊でも」が回答ですが、僕の家庭を例に挙げるならば、娘には寝る前に2冊の絵本を読んでいました。最初はもちろん親が絵本を選ぶわけですが、そのうちに子どもが絵本を持って来るようになります。毎晩恒例の読み聞かせになると、読んだ絵本は積み重なっていきますし、それが「読んでいる」という自信にもつながります。冊数を競うことはないですし、もっと言えば、本好きになることばかり求めなくても良いと思います。絵本を通して親子の豊かな時間を過ごすのが目的です。
「絵本が好き。ママやパパに読んでもらうその時間が好き」となって欲しいですね。

子どもが絵本や読み聞かせが好きになるコツとしては、年齢に合った、良い絵本を選ぶこと。まずは赤ちゃん絵本を存分に味わって、その後も極端に背伸びした絵本選びをしないこと。赤ちゃん絵本を卒業して、すぐに『ももたろう』に挑戦しても、到底鬼ヶ島まで辿り着かないわけです(笑)。『おおきなかぶ』のようなシンプルな絵本へ進むと良いですよね。その子の年齢や興味に合った絵本があるはずですが、自分で選ぶのが難しかったら、司書さんや園の先生におススメを聞くのも良いと思います。

大きくなってからは、毎晩の読み聞かせも継続しながら、子どもが「よんで」と持って来た時に絵本を読むという感じですが、「忙しいから後でね」というのは、僕でもよくあることなので、自分に厳しくしませんように。だって、子どものため、家族のために忙しいわけですから!



Q.
赤ちゃん向け絵本は擬音語やあまり意味のない文章のものが多いのですが、いつ頃から物語性のある絵本を読ませるのがいいのか悩んでいます。(11か月ですが物語性のあるものは興味がないらしく集中してみてくれません……)

A.
絵本について、一生懸命考えて居られて素敵ですね!
絵本はバラエティに富んでいて、どこからを物語と捉えるかは難しいのですが、赤ちゃん絵本は「0〜2歳向け」とされることが多いです。すると物語の絵本は、目安として3歳以降かな? と考えることはできます。ただ、一刻も早く物語を楽しむようにならなければ……というわけではありません。確かに「赤ちゃん絵本」はページ数も少なく、内容もシンプルです。「意味が無い」とおっしゃるのも分かります(笑)。
赤ちゃん絵本は、擬音語・擬態語(オノマトペ)を使って、リズムの良い文章でできていて、赤ちゃんをも夢中にさせてくれる絵があります。
例えば、次の文章を声に出して読んでみてください。
「ぱぱの ぱいぱい おっぱいぱい ぽこぽこ ぼんぼん ぽこぽこ ぼん」
(『おっぱいごりら』 文:聞かせ屋。けいたろう 絵:ひろかわさえこ アリス館 より)
はずむように楽しく読めますよね? 赤ちゃんに向けて選び抜いた、少数精鋭の言葉です。作家としては、文字を減らして研ぎ澄ましていくのが大変 (笑) ! でもその結果、赤ちゃんだけでなく、読んでいる大人も心地よくなるような絵本が完成します。「もういっかい!」とせがまれても、楽しく読めますよね。親子ともども嬉しくなるような、ふれあいの時間をくれるのが良い赤ちゃん絵本です。
ですから僕は、急いで物語絵本に移行するのは、もったいないとさえ思います。赤ちゃん絵本を思う存分、一緒に楽しめる時期は短いのです。


『おっぱいごりら』 文/聞かせ屋。けいたろう 絵/ひろかわさえこ アリス館刊




Q.
絵本を読んでと持ってくるが、2〜3ページですぐ飽きて違う遊びをやり出したりころころ違う絵本を持ってくる。

A.
ありますよね! 「あなたが読んでと持って来たのになによ!」と言いたくなります(笑)。でも、その子は親御さんにそれを渡して、反応してもらえるのが嬉しいのかもしれません。そして時々、そばで見守っていることを確認して、安心しているのかもしれません。
時に、絵本を渡すことだけを楽しむ子もいます。次々と渡してくるので、本棚の絵本が全て手元に積み上がる(笑)。「はい、どーぞ」の受け渡しを楽しんでいるんです。

絵本を読むのにあたり、僕が何より大切だと思っていることは、「親子の時間が生まれること」「親子のふれあいが促されること」です。それは絵本に限ったことではなくて、「一緒に遊ぶ」でも「一緒に過ごす」でも良いんです。絵本を渡すやり取りも、子どもにとっては嬉しい時間なのかもしれません。集中力が無いとか、落ち着かないとか大人は思いがちですが、彼らの目の前には楽しいこと、やりたいことが沢山あって、特に初めて行った場所なんて、全てが新しい。そりゃあ目移りしますよね(笑)。



Q.
ヨメルバコラム、いつも楽しく読ませていただいています! 絵本の読み聞かせについて教えていただきたいことがあります。一歳一ヶ月の娘は、たまに変わりますが特にお気に入りの絵本がいつもあります。そればかり読むのをせがみますが、それ以外の絵本を読んであげたい場合どうしたらいいのでしょうか? 他の絵本を読んでも集中しないので、いつも同じ本ばかりになってしまうのも気になります。
私は抑揚をつけたり感情を込めて絵本を読んでいるのですが、この前、それはあまり良くない、たんたんと読んであげる方が子供の想像力の育成を邪魔しないと読みました。どちらが正解でしょうか? どちらかというと私は感情を込めて読んであげたいです。

A.
愛読ありがとうございます。お母さんが絵本を学ぼうとしている姿勢が魅力的だと思います。
お気に入りの絵本、ありますよね〜。うちの娘達にもあります。でも、そういう絵本が見つかったというのは、幸せなことじゃないですか? まずはそればかりを読んであげて良いと思います。大人でも大好きな音楽や映画が見つかって、そればかり何度も再生すること、ありますよね。その子にとって一度で味わいきれない魅力が、その絵本にはきっとあるんですね。そういう絵本が大人になったときに「なつかしい絵本」になります。
ただ、それ以外の絵本を読んであげたいという気持ちも分かります。その子の世界を広げてあげたいとか、偏らないようにしたいとか……親だからこそ思いますよね。
そういうときは、そのお気に入り絵本の作者による別の作品を手渡してみてはどうでしょうか? 絵、文章、どちらを気に入っているのか分かりませんが、同じ作家さんの絵本にはやはり、通じるものがあります。お気に入りの絵本をきっかけに、お気に入りの作家さんと出会えたら、素敵ですね。中には目安となる対象年齢が違うものも混ざってしまうかとも思いますが、それも経験として捉えてみてください。あとは、その子が今興味を持っているものを描いた絵本を手渡すこと。例えば、パン好きだったらパンの絵本とか、歌が好きなら歌絵本もあります。
うちの娘は「もりのくまさん」が好きになって、歌絵本の『もりのくまさん』も大好きになりました。文字は読めないのに、歌いながら自分でめくるんです。『わらべうたであそびましょ』という、歌集のような絵本もあります。


『パン どうぞ』作/彦坂 有紀 作/もりと いずみ 講談社刊


 


『ぱんですよ』作/大森裕子 白泉社刊


 


『もりのくまさん』 訳詞/馬場祥弘 絵/いりやまさとし ひさかたチャイルド刊


 


『わらべうたであそびましょ!』 絵/さいとう しのぶ のら書店刊




絵本を読むときに抑揚をつけたほうがいいのか、たんたんと読む方がいいか、迷いますよね! 結論から言ってしまうと、どう読んでもオッケーです(笑)。親が子に読んであげるだけで素晴らしいと思うので、難しいことは考えなくて良いです。たんたんと読むことに注力して義務のようになると、親も子も楽しくないんですよ。抑揚、感情どうこうより、親御さんが楽しそうに絵本を読んでくれたら、子どもにとってはそれが一番嬉しくて、魅力的なんです。
読み聞かせで僕が一番大事だと思うのは、それによって生じる親子の時間とふれあいです。

 

 


文/聞かせ屋。けいたろう 絵/ひろかわさえこ

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
17×17㎝
ISBN
9784752008453

作/彦坂 有紀 作/もりと いずみ

定価
1,320円(本体1,200円+税)
発売日
サイズ
B5変型
ISBN
9784061325883

作/大森裕子

定価
1,100円(本体1,000円+税)
発売日
ISBN
9784592763222

訳詞/馬場祥弘 絵/いりやまさとし

定価
1,100円(本体1,000円+税)
サイズ
22×19cm
ISBN
9784865492644

絵/さいとう しのぶ

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
21×23cm
ISBN
9784905015116

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