
ヨメルバ編集部がセレクトした絵本を、聞かせ屋。けいたろうさんといっしょに掘り下げます。第十三回は、家族みんなで楽しめる名作『だるまさんが』です。

『だるまさんが』(かがくいひろし著、ブロンズ新社)

今回は、言わずとしれた名作、『だるまさんが』です。

先日、生後6か月の娘に『だるまさんが』を読んだんですよ。すると、うつぶせで足をバタバタして喜んでいました!

さすがの反応ですね!

まだ絵本自体はあまり見ないんですけど、読んでいる人を見るんです。読んでいる人を見て、“読み聞かせ”っていう行為を楽しむんです。そういう段階が0、1、2歳にはあるんですね。特に0、1歳はそういう傾向が強いかと思います。大好きな人が絵本を見せてくれて、にこやかに声を響かせてくれる。「自分のために」という関わりが嬉しいみたいです。この絵本はリズムもいいし、言葉もいい。そういう楽しみ方を味わうにも、すごくいい絵本なんだなと思いました。文字数もちょうどいいですよね。

絵はあんまり見ていなかったんですか?

この時は、絵よりも人間の方が気になったようです。横にいた長女9歳と次女4歳は、一緒に「だるまさんが」って口ずさんでいました。それがすごくよかった!みんなで唱和できる本っていいなって思いました。唱和すると、みんなの声が赤ちゃんを包むような感じになるんです。ステレオみたいな(笑)。赤ちゃんにとっては、すごく嬉しいですよね。

この本は文章が繰り返しだから、子どもも覚えやすいですよね。「だるまさんが」って。

そうなんです。みんなで声を合わせられるリズムを「どてっ」て外すのもおもしろいし、きょうだいがいたら、上の子が下の子に読んであげられる本。
家族みんなで楽しめるっていうのも、この本の魅力の一つかなと思いました。

うちはよく膝に子どもを乗せて「だるまさんが」って言いながら絵に合わせて揺れていました。「どてっ」の時は転んだり。子どもはゲラゲラ笑っていましたね。

それも、すごくいいと思います。僕、絵についての解説とか、展開の妙とか、そういうのは分析できないんですけど、家族みんなに好かれる絵本だなっていうことは分かりました。

その通りですね。だるまさんの赤っていう色もいいんでしょうね。

うちの奥さんも「赤がいいんじゃない?」って言っていました。娘は「赤ちゃんによく見える色かもね」って言っていました(笑)。専門家じゃなくても「いいんじゃないか」って思えるような絵なんですね。

そうなんだと思います。素朴で丸くて赤くて。

僕はこの絵本を、アメリカのカリフォルニア州でも読んだことがあるんです。「だるまさんが……どてっ」って読んだら、その場にいた、日本語がわからない現地の人が笑っていたんですよ。子どもたちも、すごく笑っていて。パターンも分かったようで、どんどん笑い声が大きくなっていった。僕の隣に日本人がいたんですけど、「すごいね!」って二人で目を見開いたのを覚えています。

日本語で読んだんですか?

日本語でそのまま「だーるーまーさーんーが」って読みました。「どてっ」の外しが分かったのかなと思って。「この人たち、そもそもダルマを知らないよね!?」って、見てくれていた日本人と話したんですけど(笑)。海外の人にまでこの「間」や「外し」が通じていましたね。

すごい。赤ちゃんにも海外の人にも受け入れられる。本当にすごい絵本ですね。
どうもありがとうございました。

けいたろうさん作『だるまさんが』のポップ