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中学受験のリアルを語る!うえだしろこさん×にしむら先生スペシャル対談【前編】

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長男が中学受験に挑戦した約1000日を描いたコミックエッセイ『中学受験に挑戦したら、想像以上に壮絶でした』の発売を記念し、著者のうえだしろこさんと、監修の受験指導専門家“にしむら先生”こと西村創先生のスペシャル対談が実現! 中学受験のリアルを、保護者と受験指導のプロの立場から存分に語っていただきました。


中学受験は「かけがえのないドラマ」

にしむら先生:12月発売予定の『中学受験に挑戦したら、想像以上に壮絶でした』は、長男・桃太郎くんの中学受験を振り返ったコミックエッセイですよね。いつごろから息子さんの中学受験をマンガにと考えていたのですか?



うえださん:私は日常の出来事をマンガにしてブログやInstagramで発信していて、長男の受験が終わって落ち着いたら、受験本番のこともマンガにしようと思っていたんです。はじめはブログやInstagramで発信する予定でしたが、KADOKAWAさんからお声がけいただいて本にすることになりました。長男の受験をサポートしつつ、心のどこかで「いつか受験をマンガにしよう」とブロガー魂を秘めていたのですが、正直、ここまでドラマチックな展開は予想していなかったですね。

にしむら先生:中学受験をするすべての家庭には、その家庭ならではのドラマがありますよね。大手塾の合格体験談ではきれいにまとめたサクセスストーリーが紹介されますが、どの家庭にも、合格体験談には載らない、思い通りにならない葛藤の数々があるものです。子どもの受験のサポートはしんどいことの連続だとは思いますが、うえださんが特に大変だと感じたのはどんなことでしたか?



うえださん:中学受験は子どもがやることですから、思い通りに子どもが行動しない、思うような結果が出ないもどかしさを感じました。がんばってやっているように見えるのに、なぜできるようにならないんだろうと思ったり、問題文を読まないで解いてしまって「どうして!?」となったりの連続でした。かなり追い詰められたこともありましたし、受験本番の時期には自分が子どもの代わりをできたらどれだけ楽だろうとも思いました。

にしむら先生:そうした気持ちとどのように付き合っていたのですか?

うえださん:我が家の場合、長男が小学5年生のころから勉強サポートや併願校の検討は夫がメインでやっていて、私は一歩引いてふたりを見守っていました。ですから、私より夫のほうが、もどかしさを感じていたと思います。受験本番はなかなか思うような状況にならなくて、それまでずっと自分が主体となって決めてきた夫が、そのとき初めて「どう思う?」と相談してきました。私と話して、夫は少しほっとしたような表情になって。やはりひとりで抱えてとても負担を感じていたんだなと思いました。子どもの受験サポートを母親・父親どちらか一人が担っているご家庭は多いと思うのですが、夫婦で一緒に考えていくのがすごく大事なのだなと思いました。

にしむら先生中学受験は家族のチーム戦で、子どもが前向きに勉強に取り組めるような体制を家庭全体で築くものとよく言われます。ただ、私の実感では9割以上の親子はケンカをするし、中学受験というイベントがあったがゆえに夫婦が不仲になるケースも少なくありません。子どもは、母親・父親どちらにとっても自分とつながる存在で、子どもの教育には夫婦それぞれの教育観や人生観が如実にあらわれます。お互いなかなか譲れなくて、かち合ってしまうことが多いんです。

うえださん:うちは長男が「この学校に行きたい!」と思って始めた中学受験だったこともあって、衝突は比較的少なかったかもしれません。また、夫が中学受験を経験しているので、夫の考えを尊重して、私はあまり口をはさみませんでした。私は長男の生活面のサポートと次男の勉強、夫は長男の勉強面を主に担当していました。

にしむら先生:役割分担って大事ですよね。上の子の勉強のサポートをしたいけれど、下の子のお世話に手がかかって大変という相談を保護者からよく受けるのですが、うえださんはどんなふうにやりくりしていたのですか?

うえださん:6年生になってからは塾とテストで長男の週末の予定がびっしり埋まっていたので、私が次男を連れて遊びや旅行に行っていました。長男がうらやましがることもありましたが、「金ちゃん(次男)が小学6年生のとき、中学3年生のあなたは遊びに行くのを我慢できる?」と聞いたら、納得していました。わが家は夫が長男の勉強を見ていたからできたことですが、もし長男も次男も一人で見ていたら、もっと行き詰まっていたかもしれません。

実は理科や社会にも求められる「国語力」

うえださん:中学受験は情報戦といわれますが、長男の受験のときはYouTubeで情報収集するという発想がありませんでした。今回この本の監修をして下さることが決まったのをきっかけに、にしむら先生のYouTubeチャンネルを視聴しはじめたのですが、もっと早く知りたかったです! 『【小学生向け】おもしろくて勉強にもなるおすすめ児童文庫 5選』という動画を観て、紹介している児童書を小学4年生の次男に読ませたらすっかりハマって。


にしむら先生観てくださったのですね、ありがとうございます。次男の金太郎くんは、受験を考えているんですか?

うえださん:はい。「お兄ちゃん、すごく大変だったけど、やる?」と聞いたら、「やる!」「俺もやりたい!」と。

にしむら先生:桃太郎くんの受験をふまえて、次はこうしたいということはありますか?

うえださん:長男は国語が得意ではなかったので、もっと早くから本を読んでいたほうがよかったと今は思います。当時はとにかく算数に力を入れていて、算数に時間を多く費やしていました。だから国語はなおざりになっていたんです。5年生の途中から本を読むことを習慣にして、だんだん読めるようになってきたのですが、読解のスピードが最後まで養えなかったような気がしています。

にしむら先生算数は解き方を知らないと手も足も出ないので、多くのご家庭が勉強時間の大半を算数に注ぎ込みます。算数はできること、できないことの差が大きくあらわれる教科で、算数の点数が入試の合否に与える影響が大きいことは事実です。そのため、「中学受験は算数で決まる」とよくいわれるのですね。でも、実はそこが落とし穴。というのも、最近の入試問題は、とにかく問題文が非常に長い。これが、保護者世代が経験している30年前の入試との最大の違いです。問題文が長くなった結果、どの教科でも「読解力」が求められています。

うえださん:そうなんですよ。理科も社会も問題文が長くて、前提条件が読み解けない。だから、何を問われているかがわからなくなってしまうんです。

にしむら先生:そこでポイントになるのが「国語力」なんですよね。私が受験指導を始めた30年前は、最難関校や上位校などの入試問題は多くて8ページ程度でした。しかし最近では、中堅校でも20ページを超えることが多く、30ページ以上の学校も増えてきています。でも、試験時間は50分。増えていないのです。

うえださん:難しいことを書いてあるわけではないけれど、文章が長いんですよね。最近、次男は理科の説明を読まないで解いています。解答用紙は埋まっているけど、問題を読んでいない…。

にしむら先生長い文章をスピーディーに読んで、内容を読み取らないと、国語を始め、理科や社会も伸び悩んでしまいます。最近の中学入試問題の傾向の変化は明らかで、大学入学共通テストの傾向に沿っています。ちなみに、令和7年度の大学入学共通テストの国語の問題って、何ページだと思いますか?

うえださん:…5ページ?

にしむら先生:なんと52ページあるんです。

うえださん:えっ、52ページもあるんですか! それを50分で解く!? ええ〜っ!

気になる対談の続きは後編で!
後編は12月10日(水)公開予定です!


取材・文:三東社


【プロフィール】

うえだしろこ

Instagramフォロワー12.6万人のlivedoor公式ブロガー。現在は中学1年生と小学4年生の2人の息子を中心とした愉快な日常を綴った育児コミックエッセイをブログとInstagramで発信。現在ヨメルバにて『うえだしろこの「まなむすこは 学びの 日日是好日」』を連載中。子育て中の保護者層からの支持が厚い。

 

西村 創

受験指導専門家。

早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wings等で指導歴25年以上。

現在は、YouTube(「にしむら先生 受験指導専門家」チャンネル登録者13万人超)などでの情報発信を中心に活動。

著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。

 

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