KADOKAWA Group

Children & Education

子育て・教育

中学受験のリアルを語る!うえだしろこさん×にしむら先生スペシャル対談【後編】

NEW

長男が中学受験に挑戦した約1000日を描いたコミックエッセイ『中学受験に挑戦したら、想像以上に壮絶でした』の発売を記念し、著者のうえだしろこさんと、監修の受験指導専門家“にしむら先生”こと西村創先生のスペシャル対談が実現! 中学受験のリアルを、保護者と受験指導のプロの立場から存分に語っていただきました。

◆前編はこちら


長文に慣れるにはやっぱり「読書」!

うえださん高校生になると、50分で52ページの国語の問題が解けるようになるのですか?

にしむら先生:できる生徒もいれば、できない生徒もいます。成長すればいきなりできるようになるわけではないので、長文に慣れておくことがとても大事になります。中学入試も同様に、明らかに長文化の傾向があります。ですから、小学校低学年・中学年のうちに、計算や漢字で基礎体力を育んだり、パズルなどで図形のセンスを磨いたり、ブロックおもちゃで立体感覚を養ったりすることは大切ですが、国語においては、とにかく読書が大事。本を10冊読めばたちまち成績が上がるわけではありませんが、50冊100冊と読書を積み重ねていくと、限られた時間で読めるようになっていきます。最近は、上位の中堅校で1万字ほど、原稿用紙25枚分の長文が出ることもあるんですよ。



うえださん長文が読める子どもたちは、どうやって解いているんですか? 最初に文章を読む? それとも、先に問題を読む?

にしむら先生:塾や講師によって流派がありますが、私は本文を読む前に、眺める程度に問題にさっと目を通すよう推奨しています。どういうことを問われるのかをざっくり頭に入れておくと、問題文を読むときに大事なところとそうでないところを緩急つけて読めるからです。いずれにしても読むスピードは必要なので、小学校低学年から中学年にかけての読書はやっぱりすごく大事ですね。学校としても、あまり本を読まない子と読書が好きな子、どちらに入学してほしいかといったら、本をたくさん読んできた子です。ですから、問題もたくさん本を読んできた子に有利な内容になっています。

難しい問題よりも「まずは基礎!」

にしむら先生長男の桃太郎くんが5年生ごろに戻ったとして、やっておけばよかったこと、やらなくてもよかったことはありますか?

うえださん:とにかく基礎が大事! これは強く感じました。長男が目指していた中学校は算数の難しい問題が出るので、思考力を養わなきゃ、もっと難しい問題が解けるようにならなくてはと思っていましたが、それよりも基礎を固めておくべきでした。にしむら先生は、YouTubeの『偏差値50未満の中学受験でやらなくていいことTOP5』という動画で「学校のカラーテストで100点取れるようにしよう」と話していますよね。


にしむら先生ご覧いただいたのですね、ありがとうございます。

うえださん:長男は学校のカラーテストで100点を取れないことがありました。中学受験をするなら、学校のカラーテストは100点取れるべきじゃない? と思っていたのですが…。

にしむら先生:塾に行っていると学校の勉強を軽視しがちですが、基礎はやはり大事ですよね。中学受験を終えた保護者にヒアリングすると、ほぼすべての保護者が「基礎をもっとやっておけばよかった」と話します。大手学習塾では6年生向けにさまざまなオプション講座を実施しますが、オプション講座に参加するより、家で基礎固めをやっておけばよかったとみなさんおっしゃるんです。実は、塾の先生も、私のような受験指導の発信をしている講師も「基礎が大事」と常々話しています。でも、中学受験の渦中にいると、なかなかそう思えないのですよね。

うえださん:私も当時は、基礎ばかりやっていては思考力が求められる問題に対応できないんじゃないかと不安で、そう思えませんでした。長男は、難しい問題を教えてもらってできるようになると、とても喜ぶんです。でも、知識の土台がしっかりしていないから、類似問題で再びつまずいてしまう。そこに受験を終えてから気づきました。だから今次男には、「学校のテストで100点とってらっしゃい」と伝えています。

中学受験をやり切ったことが大きな自信に

にしむら先生次男の金太郎くんも中学受験を予定しているとのことですが、中学受験をやってよかったと思うことはどんなことですか?

うえださん:小学校4年生から3年間がんばれたことが、長男のすごく大きな自信になっていると思います。小学生が週に何日も塾に通って、毎週末のようにテストを受けるって、大変な道のりです。それを最後までやり切って、本当によくがんばったと思います。この先いろいろなタイミングで「あのときがんばれたから、今回もできる」と思ってもらえる経験になりました。長男はご縁があった学校をとても気に入っていて、「受験してよかった」と話しています。すごく単純なことですが、学校に自動販売機があったり、購買でパンが買えたりすることもうれしいみたい。何より「高校受験がなくて最高!」と言っています。

にしむら先生:そこはシンプルにうれしいですよね。受験を終えた多くの保護者が、進学してから入学前は気づかなかったその学校のよさを実感したと話しています。

うえださん:親としても、高校受験がないのはありがたいですね。小学生の息子と衝突するより、中学生の息子と衝突するほうが私にとっては大変だし、中高一貫だから6年間かけて高校卒業後を考えられるという安心感はやっぱりあります。

にしむら先生この本をどんな人に読んでほしいですか?

うえださん:『中学受験に挑戦したら、想像以上に壮絶でした』は、成功体験ではないけれど、やってよかったと思えた親子の中学受験体験記です。これから中学受験を控えているご家庭や、すでに経験されたご家庭など子育て中の方に広く読んでいただけたらうれしいですね。中学受験の成功体験は世の中にあふれていますが、第一志望の有名進学校に合格した家庭はひと握り。希望が叶わなかった親子は少なくないので、そういう方たちの助けになるとうれしいです。そして、ありきたりな言葉になりますが、がんばることのすばらしさが伝わればいいなと思います。



にしむら先生「成功体験じゃない体験記」とお話しされていましたが、私はこの本は成功体験記だと感じました。先ほど「受験してよかった」という言葉がありましたが、それが何よりの成功だと思います。本を読んで親子だけでなく夫婦の絆も感じましたし、次男の金太郎くんが受験当日にお兄ちゃんを励まして送り出すシーンもありました。中学受験という一大イベントがあったからこそ、家族の絆がより深まった、ハッピーエンドのマンガだと思います。


取材・文:三東社


【プロフィール】

うえだしろこ

Instagramフォロワー12.6万人のlivedoor公式ブロガー。現在は中学1年生と小学4年生の2人の息子を中心とした愉快な日常を綴った育児コミックエッセイをブログとInstagramで発信。現在ヨメルバにて『うえだしろこの「まなむすこは 学びの 日日是好日」』を連載中。子育て中の保護者層からの支持が厚い。

 

西村 創

受験指導専門家。

早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wings等で指導歴25年以上。

現在は、YouTube(「にしむら先生 受験指導専門家」チャンネル登録者13万人超)などでの情報発信を中心に活動。

著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。

 

▶『中学受験に挑戦したら、想像以上に壮絶でした』の書籍情報を見る

▶『中学受験 合格をつかむ自宅勉強法』の書籍情報を見る


この記事をシェアする

特集

ページトップへ戻る