このたび角川まんが学習シリーズ10周年キャンペーンのアンバサダーに就任した阿部亮平さんは、アイドル業のかたわら上智大学大学院を卒業し、その幅広い知識量を活かしてクイズ番組でも活躍する、Snow Manきっての勉強家。インタビュー【前編】では、そんな阿部さんが、自身で感じた角川まんが学習シリーズの魅力について語ります。
インタビューにあたって、事前に資料としてお渡ししていた書籍に全て目を通すのみならず、その感想を細かくメモして準備してきてくれた阿部さん。一つひとつの仕事に丁寧に向き合う誠実さがうかがい知れました。
「勉強は面倒でも大変でもない」阿部さんが伝えたい思い
――今回、アンバサダーのお話をどう受け止めましたか?
いやあ、うれしいです! 「勉強って面倒なことや大変なことじゃないんだぞ」と、全ての人に思ってもらいたいというのが僕の願いなので、そのお手伝いが少しでもできるというのがすごく光栄ですね。学習まんがって、勉強への苦手意識を取り払うのに最適なツールであると思っていましたし。
――学習まんがは、どういう時に学びの助けになってくれると思いますか?
歴史だと、歴史において誰が何をしたかっていうのは教科書にも書かれているけど、学習まんがではその人物たちが感じたことや考えたことがイラストとセリフで表現されています。もちろんそれらは想像の部分もあるとは思うんですが、読者にとってより深く印象に刻まれます。学校の授業で歴史を習うより先に学習まんがを読んでいると、授業中に知ってる人名や出来事が出てきた時に「あ、これ知ってる!」という成功体験…まぁ、言い換えると優越感ですね(笑)、それを得られることもあるんじゃないかと。そうすると学ぶ上で心に余裕も生まれてくるのではないかと思います。
実は僕、大人になってから日本史をちゃんと勉強し直したいなと思って、結構前に角川まんが学習シリーズの『日本の歴史』、全巻読んだんですよ。それもあって今回のお仕事をいただけたことにはすごく縁を感じています。
こんなに面白いなら学生時代に学んでおけばよかった『日本の歴史』『世界の歴史』
――ありがとうございます。ここからは、事前にお送りした角川まんが学習シリーズの本それぞれについての感想をお願いします。まずは今触れてくれた『日本の歴史』から伺いましょうか。
そうですね、『日本の歴史』は…まず、すごく単純な感想いいですか? 絵がきれいでした!(笑) 型にはまった絵柄じゃなく、本当に今風のまんがとして読めるから、ちょっとワクワクしちゃいますね。学校の図書館にあったら取り合いになりそう。
また感銘を受けたのが、『日本の歴史』最新巻の16巻。以前、読んだ時にはまだ16巻は出てなかったんですよ。で、今回初めて16巻を読ませてもらったんですが、これはかなり思うところがありました。2011年から2022年頃までの出来事が描かれているんですけど、いろんな立場の人の意見がしっかり入っている。「当時、こういう立場の人たちはこう思っていたけど、こっちの人たちはこう思っていたんだ」っていうのが細かく、しかも子どもの視点から描かれていて、一つの事柄を多角的に捉えることができるなと。歴史って見る角度によって全然捉え方が違うものなので、多分その辺り、すごく丁寧に推敲されてるんでしょうね。編集作業に2年間かけたとうかがったのですが、まさにその成果なんだろうな、と。
あと、他の巻と違うのは、自分が実際に経験した近年の事柄がゆくゆくは“歴史”になっていくんだ、と再認識させられたことです。東日本大震災にしても、新型コロナにしても、何しろ明確に記憶に残ってるから読んでて胸がキュッとなる。こういう実感を持つことも歴史を知る上で大事だし、日々に流されて忘れてはいけないんだなって改めて思いました。
角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』第16巻 186-187頁
――『世界の歴史』に関してはいかがですか?
それぞれの巻の冒頭にその巻の登場人物たちがバーッと勢揃いし、そのあと改めて本編に入って、彼らが順に登場する…という構成がエンタテインメント性が高くて、制作スタッフの創意工夫を感じました。そして何よりすごいのが、各国の歴史のつながりを、それぞれ別物でなく一つの大きな物語として描いている点。「一方その頃、日本では…」みたいに、あちこちの歴史が関わり合い、絡み合いながら同時進行的に描かれるというのは画期的ですよね。昔読んだ学習まんがにはなかったと思います。
世界史って、例えばイスラム史だけ学んでも、イマイチつかめないことが多いですもんね。だから各地の歴史のつながりを同時に理解していけるこのまんがはとても理に適っていると思います。こんなに面白いのなら、学生時代に世界史を選択しておけば良かったなって思うぐらい。世界史が頭に入っていると世界の見え方が全然違いますから。
僕は学生時代、歴史にちょっと苦手意識を持っていたのですが、今思うと「ひたすら暗記、暗記じゃん」と思い込んでいたからかもしれません。算数は応用の積み重ねによって答えが出るから楽しいけど、対して、社会科は覚えなきゃいけないことが多いように見えたんですよ。でも、それは歴史をストーリーとして読めていないから、面白さに気付けてなかったんでしょうね。
そういう意味で、大人の方にも『世界の歴史』シリーズはおすすめです。何回読んでも新しい発見があると思うし、膨大なデータ量をギュッとうまくまとめているところに、ものすごい英知の凝縮というか、こだわりを感じますね。
角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』第15巻 186-187頁
気になる動物バトルがたくさん『どっちが強い!?』
――戦闘力が近しい動物たちを科学的なデータにもとづいて対決させ、その生態を楽しく学べる科学まんが『どっちが強い!?』シリーズについてはいかがでしょう。
率直に、「学習まんがにしては動きの描写が多いな」と驚きました。普通の学習まんがって文字情報量が多いものだと思うけど、アクションの場面はちゃんとバトルまんがっぽく大迫力で描き切っている。だから読んでて臨場感があるし、飽きない。これはちょっと、まんが慣れしてる佐久間(大介)あたりにもおすすめしたいなと思いますね(笑)。
『どっちが強い!?』だけあって、ちゃんと最後にはどっちが勝つか結論を出しているところも痛快ですし、それを裏付ける“条件”や“数値”をきちんと設定しているところがよくできてるなぁと思いました。例えばライオンとトラは生活圏が違うからリアルに戦わせるのは難しいけど、戦う場所がもしこういう地形で、こういう条件なら、っていう注釈が示されていることで、結果に対する納得感があります。
角川まんが科学シリーズ『どっちが強い!? ライオンvsトラ』139頁
角川まんが科学シリーズ『どっちが強い!? ライオンvsトラ』130頁
――『どっちが強い!?』シリーズは現在、第4シーズンまで刊行されているんですが、阿部さんが特に気になる対決を一つ選ぶとしたら?
昆虫が気になるので、「カブトムシvsクワガタムシ」はやっぱり必見ですよね。「ヒクイドリvsカンガルー」のキック対決も面白そうだし、「サメvsメカジキ」「クラゲvsデンキウナギ」といった水中戦なんかはどう描かれているんだろうって気になります。この手の知識はバラエティ番組でも役に立ちそうだな(笑)。
偉人がSNS!? 独自コラムが面白い『まんが人物伝』
――続いて『まんが人物伝』。日本と世界の偉人たちの"子ども時代"を丁寧にえがいた伝記まんがシリーズです。既刊の中で阿部さんが特に気になる人物はいますか?
いるんですよ、アラン・チューリング(※)。僕はこの人のことを映画で最初に知ったんですけど、天才ならではの葛藤ってどんなものなんだろうと興味を引かれ、『まんが人物伝』を読んで改めて詳しく知りたいなと思っています。やっぱり自分は理系の人物の物語に惹かれるのかもしれません。
『まんが人物伝』シリーズの独自の切り口として、巻末の「偉人がもしもSNSをしていたら?」というコラムが時代に則っていてすごく面白いです! 偉人によっては、本人の伝えたい内容とバズる内容にズレがあるんじゃないか、とか想像しちゃいますよね。
――それこそチューリング博士は、ハイレベルすぎて一般層に全く刺さらない投稿をしてそうです(笑)。
確かに、天才ゆえにそういうのは苦手そう(笑)。
(※編集部注 AIの基礎を築いた先駆者で、「コンピューターの父」とも呼ばれる、20世紀の天才数学者。)
気象予報士の阿部さんも納得! 『のびーる理科』の工夫
――笑いながら教科書の学習内容と中学受験に役立つ知識が身につく、教科別学習まんが『のびーる』シリーズについても感想をお聞かせください。
『のびーる理科 天体と気象』を読ませてもらったんですが、小さな視点、身近な視点から入っていくというのが、僕にはちょっと意外に感じられましたね。きっと子どもたちは身近な疑問から天気というマクロな現象を理解していくだろうから、そういうふうに見せていくことに利点があるんでしょうね。
あと、自分は気象予報士の資格を持っているのですが、その視点から語らせていただくなら…気象予報士って一見理系じゃないですか。でも実はとても大切なのが、気象を“言語化し説明する”っていう文系の力だと思っていて、国語力が必要だなと常々感じるんですよね。現役の気象予報士の方々も“限られた持ち時間の中で何を伝えるか”を常に取捨選択しているわけで、そこは理系だけ学んでいてできる芸当ではないんです。だから、まさにこの『のびーる理科 天体と気象』の構成は、壮大な理論を身近な現象に落とし込んで説明できるようになるためにも有効だなと思いました。
角川まんが学習シリーズ『のびーる理科 天体と気象』164-165頁
そのほか『のびーる国語 最強の読解力』もすごくいいですね。全体がクエストっぽい演出になっていて、そこで出された問題がそのまま国語のテストで活きそうだし。あと個人的には、英語の読解にも似てるなぁというのが発見でした。もはやこれは国語だけじゃなく多言語に通ずる読解の教科書だと思うから、僕は推したいです!
学びは、人と通じ合うための「思いやり」という愛
――ありがとうございます。さて今回の10周年キャンペーンのテーマは、「学びに愛を これまでも、これからも。」です。阿部さんにとっての“学びに対する愛”といえば、どんなことが思い浮かびますか?
そうですね…。一番最初に僕を勉強へ向かわせたのは、負けず嫌いな性格だったんですよ。これは間違いなく。「他の人よりいい点数を」「前よりもっといい順位を」っていうところから、それが達成できると気持ちいいから、勉強が好きになったんですけど。
――例えば、98点でも悔しい気持ちの方が勝るくらいの負けず嫌い?
ああ、そうです!「98点も取れたじゃないか」とは全然思わない。99点とか逆にめっちゃ悔しいですよね! …まぁ最初はそれが勉強する理由でしたけど、大人になっていろいろ学んでいると、そうやって得た知識が社会と自分を結びつけて、自分の世界を広げてくれるんだということに気付き始めたんです。例えば初めて知り合った人と共通の話題を作りやすい。僕みたいに知識が“広く・浅く”のようなタイプでも、相手の専門分野に関して聞きかじった何かが一つあれば、会話の取っ掛かりにはなるじゃないですか。人と話すきっかけを作れる、そしてもっとその人のことを知れる、という意味では、“愛”じゃないかなぁって。愛というか、思いやりというか? また僕の生活においては、学習する時間が心の余裕のバロメーターみたいになっているので、それは自分と対話するための愛情の時間でもあるんです。
――学習は、自他ともへの人間愛に通ずると。
そう思います。僕の好きな言葉に「知識は誰からも奪われない財産」というのがありますけど、そうした“財産”を蓄えることで、自分のことをもっと好きになったり、大切に思えたりもすると思います。ゲームでも、頑張ってレベルアップすると楽しいじゃないですか、それと同じ。勉強ができるのって単純にカッコいいことだしね!
【後編】(2025年11月12日公開予定)へつづく
【プロフィール】
阿部 亮平
1993年11月27日生まれ。千葉県出身。2020年1月にSnow ManのメンバーとしてCDデビューを果たす。上智大学大学院理工学研究科を修了しており、気象予報士資格をはじめ、世界遺産検定1級、漢検準1級など数々の資格を持ち、クイズ番組にも多数出演するほか、2025年1月からは「ZIP!」金曜レギュラーパーソナリティーとしても活躍。
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