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【暗算で鍛えられる前頭前野】祝♪書籍化記念!追加連載 第4回


⇧この連載が本になりました⇧



タイトルは『脳科学の先生! 子どもの発達障害の悩みを最新研究で解決してください』(久保田競、原田妙子/著)です。連載時から大幅に改稿し、新規書き下ろしコラムを追加した特別版です。

本の発売を記念して、全5回に渡って追加連載を行います。内容は、その新規コラムの一部抜粋で、主に発達障害や育脳、脳科学について語っています。
面白くてためになるお話が満載なので、みなさんぜひご一読ください!

※これまでの連載を読む


コラム:暗算で鍛えられる前頭前野

 計数、つまり数が数えられるようになったら、是非取り組んでいただきたいのが「暗算」です。暗算は一切の道具を使わないで、頭だけで行う計算です。大人も子どもも、暗算をするときは脳の前頭葉にある前頭前野を使うことがわかっています。

 前頭前野は、考えて判断し行動するという高度な働きを司(つかさど)っている、脳の中でもとても重要なところです。つまり、暗算をすることで前頭前野が鍛えられるというわけです。


 さらに、近年の研究(※33)で、大人と子どもでは、計算をするときに使う脳のシステムが異なることがわかってきました。

 大人は暗算するとき、海馬という長期記憶を司る部位を働かせてこれまでに培った記憶をもとにすばやく答えを出します。

 一方子どもは暗算がまだうまくできず、時間がかかります。そして答えを前頭前野のワーキングメモリー(短期記憶)に保存しますが、10分も経てば忘れてしまいます。また、指を折り曲げながら計算したり、頭を上下に動かしながら計算したり、といったカウンティング行動が見られます。身体を動かすときには前頭葉の運動領域から指令が出るので、前頭前野を中心に複数の領域を働かせています。


 このように最初は身体を使いながら暗算を繰り返していくことで神経細胞がつながっていきます。そして海馬がうまく働くようになることで大人のように長期記憶が可能になり、暗算が速くできるようになります。慣れてくるとカウンティング行動もしなくなります。

 このように、暗算は脳のさまざまな部分を使う、手軽な育脳トレーニングの1つなのです。


次回の追加連載 第5回「貧すれば鈍する。貧乏は脳を劣化させる」は4/6(木)10:00 に公開されます。

※33:参考文献 Menon, V. Developmental cognitive neuroscience of arithmetic: implications for learning and education. ZDM 42, 515-525, doi:10.1007/s11858-010-0242-0 (2010).


コラムに関連した「子どもの発達お悩み相談室」連載の記事は…



書誌情報

『脳科学の先生! 子どもの発達障害の悩みを最新研究で解決してください』
著者:久保田競 原田妙子

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著者:久保田 競著者:原田 妙子

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784041095317

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