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⇧この連載が本になりました⇧
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タイトルは『脳科学の先生! 子どもの発達障害の悩みを最新研究で解決してください』(久保田競、原田妙子/著)です。連載時から大幅に改稿し、新規書き下ろしコラムを追加した特別版です。
本の発売を記念して、全5回に渡って追加連載を行います。内容は、その新規コラムの一部抜粋で、主に発達障害や育脳、脳科学について語っています。
面白くてためになるお話が満載なので、みなさんぜひご一読ください!
※これまでの連載を読む
コラム:心の理論
自分以外の人の気持ちを類推して理解する能力を、発達心理学の言葉では「心の理論」と言います。一般に就学前のお子さんでは、心の理論を持っていますが、ASDのお子さんでは、就学前ではまだ難しいことが多いようです。よく取り上げられる例をご紹介しましょう。
サリー・アン課題
部屋にサリーとアンの2人がいます。サリーは、自分のバスケットにビー玉を入れて部屋を出ました。すると、アンが、バスケットからビー玉を取り出し、自分の箱に入れました。
サリーが部屋に戻った時、どこからビー玉を取り出そうとするでしょうか。
この問題に3歳くらいまでのお子さんはたいてい「箱」と答えます。これは、自分が見て知った現実と、サリーが信じている現実が違う、ということを理解することが困難だからです。4〜5歳になると、ほとんどの子どもが「バスケット」と答えるようになります。
ところが、ASDのお子さんの場合、自分の見たことは理解できますが、サリーの立場に立って考えるということが非常に苦手なために、この問題について、6歳〜7歳になっても「箱」と答えてしまうお子さんが結構いるのです。自分以外の他者のことを理解する能力を、なかなか自然に獲得することが難しい、ということを示す、象徴的な課題です。
次回の追加連載 第4回「暗算で鍛えられる前頭前野」は3/30(木)10:00 に公開されます。
コラムに関連した「子どもの発達お悩み相談室」連載の記事は…
書誌情報
『脳科学の先生! 子どもの発達障害の悩みを最新研究で解決してください』
著者:久保田競 原田妙子
最新研究で最高の子育てを!
・家計が子どもの脳に与える影響
・グルーミングで脳がストレスに強くなる
・急激に大きくなるASD児の脳
・3年後にIQを100以上にする療育
ヨメルバ人気WEB連載を書籍化(「うちの子ちょっと変わってる?」子どもの発達お悩み相談室)
全編改訂×新規書き下ろしコラム付
脳科学者が一般読者からの30のお悩み相談に答えます。
子どもを病ませない育て方とは?
わが子の「ちょっと変わってる」を障害にしないために――
・言葉の遅れには言葉のシャワー
・暴言などの虐待で発達障害と似た症状が
・喘息やアトピー性疾患の子のADHDリスク
・自閉スペクトラム症児の腸内細菌
・子どもの癇癪にはタイムアウト法
・子の海馬を10%大きくする親の働きかけ
・登校しぶり。無理強いするとどうなる?
5歳までに自己制御能力を身につけることが、子どもの人生を大きく左右する!
「過敏でパンツが履けない」「かたくなにオムツでウンコする」「偏食」「癇癪」「家庭内暴力」「登校しぶり」「吃音」「睡眠」「言葉の遅れ」「爪かみ」「妄想」「肥満」「低出生体重児」など――
脳科学者が30の子育ての相談に最新研究で答えます!
著者:久保田 競著者:原田 妙子
- 【定価】
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784041095317