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日本さかな検定(愛称ととけん)1級に史上最年少で合格した日本一お魚が大好きな伊藤柚貴くんに日本のお魚の魅力を教えてもらおう!
自分の住む街にはどんなお魚がいるのだろう?
季節ごとにおいしさの違うお魚をどのように食べたらおいしいのかな?
柚貴くんといっしょにお魚研究していきます!(毎月1回更新予定)
こんにちは! 伊藤柚貴です。
今回は、ぼくがこの夏~秋に出会ってさばいて食べた“海の主”ともいえるかっこいい大型魚をご紹介したいと思います!
Let’s dive into the world of the sea!
№1【カライワシ】福岡県産/92.5cm・4.4kg
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イワシといっても一般的なマイワシの仲間ではなく、カライワシ目カライワシ科の魚で、「イセゴイ(鯉ではない)」という魚が少し近い魚です。
カライワシは主に沖縄や鹿児島の島嶼部(とうしょぶ)など南方系の魚ですが、この個体は福岡県姫島の定置網で獲れました。対馬暖流の影響で福岡に流されてきた小型サイズの漁獲はあっても、全長92.5cmもある成魚が獲れたのは非常に稀なのだそうです。
海流以外にも海水温の上昇が影響しているそうで、その証拠に同じく南方系のイワシ「カタボシイワシ」も一緒の定置網にかかっていたことがあげられます。近年獲れる魚種の変化に漁師さん達も驚いているとのことでした。
そして、初めてのカライワシを観察していると…
ここ! ここです!
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このヒラヒラがとっても可愛いんです! これはエラ蓋(ぶた)の中の鰓膜(さいまく)という部位なのですが、ドレスのようなヒラヒラがこんなにきれいに交差している状態は初めて見る景色というか、「何なんだ? これは…」と、ぼくにはとにかく衝撃的で一瞬頭が真っ白になりました。
今までたくさんの魚を見たりさばいたりしてきましたが、ここに注目したことはなくて、正直他の魚のここの形状がすぐに思い出せずに、あわててSNSで問いかけてみた所、鰓膜といってこの形態や鰓条骨(さいじょうこつ)の数は分類形質として役に立つことや、他の魚はこんな形でしたよ~など、たくさんお返事や情報をいただき、すごく勉強になりました。
この時以来、他の魚も確認すると交差しているものや繋がっているもの、ヒラヒラの数や巻き込む形など様々あることが分かり、今まで見てるようで全然見ていない所が、まだまだまだたくさんあるなと改めて気づいておもしろい体験となりました。
今のところこの時の衝撃とキレイな交差を超える魚に出会っていないので、これからがますます楽しみになった出来事でした。
(今回の魚たちは鰓膜の様子もお伝えします!)
▼カライワシは硬そうな魚体で鱗取りに少し苦戦するかと思いましたが、想像以上にするする~っと面白いように取れました。皮が厚くて、ウロコ取りでガツガツ進んでも大丈夫だったのでやりやすかったです。ギラッギラのウロコが取れると白い魚体になりました。
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塩焼き・ナゲット
骨の入り方が独特でやや調理法に困る魚ではありますが、コツを掴めばわりと大丈夫かもしれません。長い小骨が無数にあり、皮下にもびっしり骨がついているので、その列をよけて皮を厚めに引くといいのですが、焼くと身離れが良くなるので、塩焼き用は骨が付いたままでもOKでした。
身が非常に柔らかいので、その特性を生かして比較的しっかりしている尾の方の身を塩焼きに、それ以外はマグロの中落ちの様にスプーンでこそぎ取り、包丁でたたいて下味をつけてナゲットにしました。
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皮をパリッパリに焼いた塩焼きは、魚の味自体は薄めですが大きかったからか脂のりもあってとても美味しかったです。ナゲットはまあまあ美味しかったのですが、ややパサついた食感になり、工夫次第でもう少しうまく作れそうだと思いました。つみれにするとおいしいそうなのでいつか作ってみたいです!
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No.2【スジアラ】長崎県対馬産/73cm・4.5kg
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南の海に多く生息するハタ科の魚です。沖縄では「アカジンミーバイ」とよばれていて、見た目も味も良く沖縄三大高級魚の一種で有名な魚です。赤く鮮やかな体に水色の斑点があり、南国の魚の雰囲気たっぷりですが、暖流の対馬海流が当たる対馬にも、少ないながら生息していて、福岡の市場へ卸され、ぼくの元へとやってきてくれました。一緒に「イトヒキアジ」も買って帰ったので保冷リュックは8kg超えでしたが嬉しい重さです。
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大きい魚は見るところも多くて時間がいくらあっても足りません。スジアラはずっしりと重く迫力満点ですが、後頭部が広くてついなでなでしたくなる可愛さでした。やや出っ張った目の周りは青いラインで縁取られ凛々しくて、唇はむにむにと分厚く、口もかなり大きく深くあきました。スジアラは食べたことがなかったので、どんな味なのかワクワクします!
▼ハタの仲間はすき引きで皮ごと鱗を取る方法もありますが、皮ごと食べる料理を予定していたので、今回はウロコ取りで取りましたがかなり硬かったです。そして骨が非常に太く硬く強靭で、頭を落とすのも一苦労でした。でもこの大きな魚体と向き合っていると、早くさばいて食べたいぞー!とやる気が出るので頑張れる作業です。ここを突破するとおいしい料理が待っていますから!
内臓を取り、3枚におろす時は、しっかりした身だったのでさばきやすかったです。
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とってもいい身質です♪
刺身・湯引き・唐揚げ・マース煮・清蒸・塩焼き・煮付け・なめろう・皮の唐揚げ・みぞれ和え・西京焼き・漬け丼
まずは刺身で! もっちもちプリプリですごく美味しいです。そして生の時に身がプリプリの魚は、加熱するとふわふわに柔らかくなることが多いのですが、スジアラはなぜか加熱してもずっとプリプリで、むしろパーンッ!とはじけてプリプリ度が増していたのが不思議で面白い発見でした。
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色々な食べ方をしてみた中で、最もおいしかったのが、清蒸(チンジョン)という中華風の蒸し魚です。身を醤油、酒、生姜などで軽く蒸し焼きにして、最後にアツアツに熱したごま油などを皮目にジューっとかけるだけの料理なのですが、むちっとした皮と食べごたえのある身がかなり美味しくて、これ以来他の魚でも作るくらいハマっている調理法です。
他にも、2分程レンジでチンした身にポン酢と大根おろしを和えたものもすごく簡単で美味しいので、魚種に限らずおススメです(^○^)
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左上が清蒸(チンジョン)です!
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