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日本さかな検定(愛称ととけん)1級に史上最年少で合格した日本一お魚が大好きな伊藤柚貴くんに日本のお魚の魅力を教えてもらおう!
自分の住む街にはどんなお魚がいるのだろう?
季節ごとにおいしさの違うお魚をどのように食べたらおいしいのかな?
柚貴くんといっしょにお魚研究していきます!(毎月1回更新予定)
こんにちは! 伊藤柚貴です。
今回は、前回に引き続き「長崎県の対馬(つしま)」をテーマに、対馬の魚介類などを家で料理して味わっていこうと思います。
早速、なんとびっくり! サメからスタートです!!
【フトツノザメ】
対馬旅の最終日に、アカムツ漁師の方から立派な「フトツノザメ」をいただきました!
深海のサメで、ツノザメ科の中ではメジャーな種類ですが、フトツノザメそのものとしての積極的な流通はされていません。対馬ではアカムツ(ノドグロ)漁の時に一緒に釣れたり、針にかかったアカムツも食べてしまうことがあるそうです(対馬旅・前編の“かじられたアカムツ”はきっとこんな経緯があったと思われます!)。
さらに「ツノ」の由来となった第1・2背鰭に太く強靭なトゲがあり、その2本がそれぞれ離れた場所にあるので、仕掛けから外す時にサメが暴れて、漁師さんの腕にグサリと刺さってしまうこともよくあるとのこと。普段は逃がすそうなのですが、「ゆずきくん、お土産に持って帰る?」としっかり締めて血抜きもされた状態でゆずってもらえることになりました!
\\目が碧色でとってもかっこよくて可愛くて迫力満点です!//
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《サメをさばく》
78cmと大きかったので、漁師の細井さんの作業場をお借りして、保冷BOXで持ち歩けるサイズに捌かせてもらいました。今まで食べたことはあったけれど、サメを持ったりさばくのは初めてで気合いが入ります! サメ皮はヤスリなどにも使われていたくらいザラザラとした鱗がびっしりと付いている「サメ肌」という特徴があるのですが、これもしっかりとザラッザラでした。調べてみたら、身も肝も美味しいと分かり、すぐに肝臓も傷つけないように救出作戦開始です!
まず、頭と内臓を取ります。フトツノザメの皮は硬くなくて、包丁の先でちょいちょいっと切り込みを入れていくように開いていくとあっという間に内臓を取り出せました。サメ類は骨の大部分が軟骨なので、身と骨は簡単に小分けにできましたが、背びれのトゲ付近は、アジやタイなど多くの魚と同じ硬骨で出来ていたのでとても硬かったです。そして少し驚いたのが、締め方が良くて鮮度抜群だったからか、嫌な臭いが何もないことです。よくサメの調理で聞くアンモニア臭なども全くなくて何度も確認しましたがやはり無臭でした。
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サメの下処理を終えたら、細井さんからも朝に獲れたお魚をたくさんいただいた上に船内で内臓処理までさせてもらって、こんなに至れり尽くせりしてもらっていいのかなとドキドキしましたが、ありがたく美味しくいただきます! と約束して福岡の自宅へ帰ってすぐに調理開始しました(^o^)
《フトツノザメの刺身盛り合わせ》
身は、刺身・洗い・湯引きにして食べました。ややピンク色がかった身と、真紅の血合いのコントラストがとても美しくて、色合いは美味魚マツダイに似ていると思いました。臭みなどは全くなくて、おすすめは洗い(刺身を洗って氷水でしめること)です!刺身はわずかにヌメリがありましたが、洗いにすることでそれが取れて、ほんのりと旨味があってさっぱりと食べられました。湯引きにしたら粘り気がとれ、身が縮んで繊維にすき間ができたことで、身にしっかりポン酢が絡まりとっても美味しかったです。
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《フトツノザメの肝煮》
サメには浮力を得るための浮き袋がなく、油分の塊である肝臓を使って浮力を調節しているので、肝臓がとても大きいです。サメの肝油ドロップなどはこの肝臓から抽出した油を使っています。その大きな肝臓とアラを(酒・醤油・砂糖・みりん)で煮たら、味もよく染みて舌の上でとろんととろけて、非常~においしかったです! アラも軟骨なのでそのまま食べられて家族にも好評でした!とはいえ脂なので一気には食べずに数日に分けて大事にいただきました(^o^)
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他にもおみそ汁にしたり、片栗粉をまぶしてからバターで焼いたムニエルは、ほわっとしてかなり美味で、どの料理にも相性がよく万能で、どれも「サメうまっ!!」と第一声に言ってしまうくらい、初めてのフトツノザメは最高においしかったです!
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※後日談ですが、上田勝彦先生に、対馬のフトツノザメを食べました! と報告したら、「ああいう小型のサメの皮は柔らかいから、茹でて鱗をこすり落として食べるとおいしいんだよ!」とのこと。
その時気づいたのですが、皮の湯引きも、ぼくの好きな梅水晶(サメの軟骨を茹でて細切りにして梅肉などを和えたもの)も、食べそびれてしまっていて、なんともったいないことをしたのかと、今回唯一の後悔といっても過言ではないくらいショックでした…。いつかまた機会がある時には絶対余すところなく食べ尽くせたらいいなと思っています!
次に細井さんからいただいた獲れたてのお魚たちです!
【アカアマダイ・キダイ・ヒメ・フサカサゴ・ヤリイカ・ケンサキイカ】
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★アカアマダイは「甘いから甘鯛」「頭が丸くて尼さんに似ているから尼鯛」などが由来のアマダイの仲間です。他のアマダイよりも赤みが強いのでアカアマダイで、他にもシロアマダイやキアマダイなどもいます。鮮やかでキレイなアマダイですが、実は泥底に穴を掘った中に棲んでいて、その穴からひょっこり顔を出している姿がとっても可愛い魚です。
★キダイはタイの仲間で、体が黄色っぽいことからその名がつきました。群れで生活していて、連なるように釣れるため、「連子鯛」とも呼ばれます。
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★フサカサゴはフサカサゴ科の魚で、近い仲間に別名「鬼笠子」とよばれるイズカサゴや、ダイバーに人気のあるミノカサゴもいます。フサカサゴ科は体中に皮膚が変化してヒラヒラした皮弁というものがあります。
★ヒメはエソの仲間で、100~300mほどの深い海の底に棲んでいます。この仲間はアマダイ釣りの時に外道として釣れることが多いため、あまり好まれませんが美味しい魚です。
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《刺身》
手前からアカアマダイ、キダイ、フサカサゴです! 現地で食べた時よりもしっとりさが加わり甘みが強くなっていて美味しかったです。多めにさばいて漬け丼も作りました♪ フサカサゴは初めて食べましたが、コリコリしてあっさりした味わいでした。
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《塩焼き・バター焼き》
キダイの半身は塩焼きに。ふっくらした身に旨味とにじみ出る脂が絶妙にマッチしていて、塩だけで十分すぎるくらい美味しさが爆発していました! 普段、福岡でも食べていた魚だからこそ、これから色々試してみてもっと美味しく食べてみたいと思いました。
ヒメは三枚おろしにして、イカと一緒にバター醤油で焼いたら、ふわっとした身に味がもう、じゅわ~っと染み込んでイカの旨味と相乗効果でさらに美味しかったです。
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《鱗(ウロコ)揚げチップス》
「松笠揚げ」という、身に鱗がついたまま、お玉で高温の油をかけて鱗を立たせる調理法があるのですが、アマダイは天ぷらにしたくて皮を引いたので、その鱗付きの皮だけを揚げてみました。
本来なら多めの油が必要ですが、今回は身がなくて軽いので、フライパン一面分の少しの油でも、水気をふいた皮を、鱗を下にして入れるとすぐにジュワッと鱗が立ちました。しっかり鱗が立ちあがったらひっくり返して両面がきつね色になったら取りだして、塩をかけて完成! カリッカリで抜群に美味しくて、その後もアマダイをさばいた時はこのチップスを作るくらい簡単なので気に入っています。
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《天ぷら》
そのままでも美味しいキダイ、アカアマダイ、フサカサゴを天ぷらにしたら身がふんわりとして、肉厚さが引き立ちふわふわなのにプリプリした弾力もあってすごく美味しかったです。翌日はご飯にのせて甘だれをかけて天丼にして食べました!
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他にも、イカ丼やアマダイたちのアラ汁や竜田揚げなど、対馬の魚介類を美味しくたっぷり堪能できて幸せ大満足でした♪
<おまけ①>
硬く閉ざされたフトツノザメの口を開いてみました!
(生きている時はもう少し開きます)
サメの多くは下向きに口が開くのが特徴です。サメというとガバーッと大きい口のイメージが強いかもしれませんが、これは小ぶりな印象でなんだか可愛かったです。
歯は1本1本独立しているというよりは、上下共に先がななめに向かった歯がのこぎりの刃のように連なっているという感じです。
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<おまけ②>
フトツノザメの頭骨と背びれのトゲです。(歯はまさかの行方不明でお見せできずにすみません…)ちなみにトゲはサメ肌ではなく表面はツルツルで本当にツノみたいに硬くとがったままで中は空洞でした。
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普段、サメに触れたりさばいたりする機会がなかったので、いつも食べている魚とはまた少し違う奥深さを感じてとても楽しかったです。今回あまり観察に時間を割けなくて、次はこんな所を見たいとか食べたいなど、ワクワクする課題が残ったのでまた今度が楽しみになりました。
<おまけ③>
旅といえば忘れちゃいけないのが…お土産ですね!
対馬空港で「そう介のおつまみシリーズ」というものを見つけて、原材料をみると、なんと普段は市場価値が低い未利用魚の「イスズミ」がそのまま食べられるように加工されているものでした!。
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適切な下処理をしたらとってもおいしいお魚なのに、海藻類を食べてしまい磯焼けの原因にもなっているため敬遠されている「イスズミ・アイゴ」専用箱が漁協に大量にあったので珍しいな~とは思っていたのですが、こんな風に繋がっていたとは!!原材料に「イスズミ」ってお魚の名前がちゃんと書いてあるだけで嬉しくなりますね。色々種類があって悩んだ末に、しお味としょうゆ味を選んでみました♪他にもお菓子やツシマヤマネコのメモ帳を買ってもらって楽しい思い出がいっぱいになりました!
(対馬あなごの商品は上対馬町の“すし処慎一”さんの店内で買ったものです。)
それでは、長い長い対馬旅の記録を前後編にわたり、読んでいただきありがとうございます! 少しでも対馬の魅力を知って興味をもってもらえたら嬉しいです(^o^)