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日本さかな検定(愛称ととけん)1級に史上最年少で合格した日本一お魚が大好きな伊藤柚貴くんに日本のお魚の魅力を教えてもらおう!
自分の住む街にはどんなお魚がいるのだろう?
季節ごとにおいしさの違うお魚をどのように食べたらおいしいのかな?
柚貴くんといっしょにお魚研究していきます!(毎月1回更新予定)
こんにちは! 伊藤柚貴です。
今回のテーマは「長崎県の対馬(つしま)」です!
対馬というのは、日本で3番目に大きい離島だそうで、ぼくが住んでいる福岡県の、博多港から高速船では2時間。福岡空港から飛行機ではなんと35分で行ける自然豊かでお魚がとってもたくさんいる九州最北端の島なんです!
先日ぼくはTV番組の撮影で、対馬の海や魚の魅力と、コロナ禍での現状などを学ぶために現地へ行ってきました! 今回のヨメルバではその時に出会ったお魚やそこで教えてもらったこと、感じたことなどをお伝えしたいと思います(^O^)
空港に着くと、国の天然記念物「ツシマヤマネコ」の可愛いイラストや美津島町(みつしまちょう)の特産「ヒオウギガイ(イタヤガイ科)」のモニュメントなどが出迎えてくれて、ワクワクドキドキ対馬旅のスタートです!
対馬やまねこ空港のスタンプが可愛い!!
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空港から車で2時間ほどの移動中に、まず驚いたのが緑の多さです。対馬=海(青い)というイメージだったぼくは衝撃を受けました。視界が緑!緑!!だったからです。まさにこの緑がもたらした栄養が海へ流れていき、相乗効果となり、きれいな海や自然、そしておいしいお魚に繋がっているんだと思いました。
港について早速、海をのぞいてみるとルリスズメダイや熱帯魚などまるで水族館のようににぎやかなお魚がたくさんいて、他の岸壁にはハコフグや大きなエチゼンクラゲなどが泳いでいてとっても可愛かったです!
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そして比田勝(ひたかつ)の上対馬町(かみつしまちょう)漁協では、アカアマダイやキダイの水揚げや定置網(ていちあみ)漁の選別作業などいろいろなお仕事を見せてもらいました。
【アカアマダイやキダイの水揚げ】
ここのアカアマダイやキダイは延縄(はえなわ)漁で獲っているため、魚体が傷つきにくく、非常に状態が良くてそのつやつや具合にびっくりしました! また一度に獲れる量が少ないので漁師さんが一匹一匹、獲れた魚に血抜きを施したり、しっかり魚を冷やして丁寧な扱いをしているそうです。そんな対馬自慢の魚介類は、全国各地に出荷されているのですが、コロナ禍では注文が激減した上に、魚価(魚の値段)も下がり漁師さんたちもすごく大変な状況だという話も聞きました。
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TVの撮影では、獲れたてのアカアマダイとキダイをさばいたのですが、身がやわらかい魚の代表であるアカアマダイやキダイもぷりっと弾力があり身がしっかりしていました。魚によっては獲れてすぐでは旨味が薄いこともありますが、どちらも魚の味をつよく感じて甘みと旨味たっぷりでものすごく美味しかったです。特にキダイ(連子鯛の愛称で福岡でもよく食べられる魚)は、皮の下に脂の層があって驚くほどおいしくて、あっさり系だと思っていたぼくの中のキダイのイメージがガラッと変わるくらいでした!
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撮影時に調理場を貸してくださった漁師の細井さんは、この日アカアマダイの他にマハタやウッカリカサゴなどなんと15種類もの魚が釣れたそうです! その中から、手早くサバの炙りを作ってくれてこれがまたおいしいのなんの! サバも最高だ~って思いました。
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【イカの水揚げ】
実は最近、十数年ぶりに対馬近海にイカの大群がいて、鳥取や石川、北海道など全国からイカ漁船が集まってきていたそうなのです。ひっきりなしに帰港したイカ漁船からヤリイカ、ケンサキイカ、スルメイカが水揚げされていて大迫力でした!
【定置網の水揚げ】
最初に小魚たち(マアジやウルメイワシ)が大量に水揚げされてきて圧巻でした! そしてまだ生きていて透明なヤリイカの箱詰め作業をさせてもらいました。作業台からイカを取り、発泡スチロールの箱に並べるのですがサイズなども判別しながら手早く詰めていくのが難しかったです。
次に、大型の魚を選別します。
ブリやヒラマサ、カンパチ、ハマトビウオなどの青物や、マダイ、アカヤガラなどもいました。
他にもどんどん運ばれてくる魚介類の鮮度が落ちない圧倒的なスピードで、熟練の技で箱詰めされていく様子を間近で見ることができてものすごくワクワクしてテンションが上がりました!
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<定置網でとれた魚介類でぼくが確認できたもの>
マアジ・ウルメイワシ・ヤリイカ・ムツ(幼魚)・キビナゴ・ネンブツダイ・ハマトビウオ・カゴカキダイ(稚魚)・アカヤガラ・マダイ・ブリ・ヒラマサ・カンパチ・スジハナビラウオ属の一種・マサバ・シイラ(幼魚)・タコブネ(殻のみ)・アカカマスなどなど、多数!
本当に色々な魚が獲れていてそのどれも見た目からしていい身質なのが分かるくらいだったので、対馬の海の豊かさをあらためて感じました!
【マアナゴ】
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豊玉町のアナゴ漁師・赤木さんの所では、大きなアナゴ漁船の中を案内してもらったり、アナゴのさばき方を教わった後に、おいしいアナゴ料理を食べさせていただきました!
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一般的にアナゴと言えば煮アナゴや天ぷらのイメージだと思いますが、刺身・湯引き・唐揚げ・白焼き・味噌汁など、肉厚でやわらかい対馬のアナゴはどれも抜群においしかったです。
刺身はコリッコリで、湯引きはプリッと弾力があり、白焼きは香ばしくて、ふわとろの煮付けに、アナゴ出汁のお味噌汁などアナゴ尽くしが最高で、中でもぼくのお気に入りはから揚げ! 小麦粉をまぶして揚げた後に、砂糖と醤油の甘辛だれにくぐらせて作るのだそうですが、パクパクと何個も何個もおかわりしてしまいました♪
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そして漁師さんと話をしている中で特に印象に残ったのが、アナゴは見た目こそにょろにょろだけど、実は他の魚と変わらない色々な料理法で食べることができるということ。さばくのが少し難しいアナゴも、開かれて下処理された状態でスーパーなどに売っていたらぜひ買ってもらって、好きな料理にして食卓で楽しんでほしいということです。
ぼくも対馬から帰ってきてから、アナゴの唐揚げや、上田勝彦先生(ぼくの魚のお師匠様です!)に教わったアナゴ海苔サンド(香ばしく焼いたアナゴを海苔で挟んで醤油をちょんとつけて食べる)など、煮穴子だけではない様々なアナゴ料理を楽しむようになりました!
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【たたきイカ】
古くから対馬はイカ漁が盛んで、「たたきイカ」という対馬伝統の味やイカ文化を継承していらっしゃるイカ王子こと吉村さんの所へも行きました!
“イカゴーランド”と呼ばれるイカの回転干し機でくるくるとまわしながら干したイカ(主にスルメイカ)を、炭火であぶって、石の上で丸めてハンマーで絶妙な力加減で叩いて繊維がほぐれたら、さいて完成! 噛めば噛むほど、イカの凝縮した味がいいお出汁のようにあふれ出てきて非常に美味なのです。
ぼくも最初は「イカをたたく」ということに、正直躊躇してドキドキしながらたたかせてもらったのですが、なかなか繊維がほぐれなくて力加減が結構むずかしかったけどすごく面白かったです。
さらに、そのままでも美味しいたたきイカを、さいて砂糖・酒・醤油にからめておつまみやご飯のおかずとしてもオススメなんだそうで、じゅわ~っと旨味が出てきて手が止まらぬ美味しさでした! お土産にいただいた沖漬けとお刺身も新鮮そのもの! すごく美味しかったです。
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【釣り】
撮影の合間には釣りをさせてもらいました♪ エサはぜいたくにも、漁協の選別作業の時にいただいた、魚体が傷ついてしまって売り物にならない小アジ・イワシ・アカカマスです。
袖針8号に、2㎝くらいの身をつけて、いざ投入! 目で見えるくらいの所に中アジが群れていて、まさに「アジでアジを釣る」状態でたくさん釣れました!
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アカカマスも岸壁のお魚たちには大人気で、底につくほど深く仕掛けを入れてみると、ぼくの大好きなカゴカキダイやホシササノハベラやカサゴが釣れてめちゃくちゃ楽しかったです!
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【調理・実食】
そしてなんと、「今日は使用しないからいいですよ!」とホテルの方のご厚意で調理場を貸していただき、釣った魚を捌かせてもらって夜ご飯に食べることができました。
ラインナップは、釣ったマアジ・カゴカキダイ・ネンブツダイ・マサバ・ホシササノハベラと、漁協で値段がつかなかった小魚たちと、アカムツ漁師さんからもらったクサウオ・ツノザメ類にかじられたらしい大きなアカムツをそれぞれさばいて、調理していきます。
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クサウオ(クサウオ科)というのは、一見ナマズのような(!?)かわいくて面白い見た目の魚です。つまらない魚を意味する“クサいウオ”が転じてクサウオとなったそうですが、全然そんなことはなくて、臭みもなく美味しくて、名前が良くないな~と思いました。水分をしっかり抜く時間がなかったのですが塩焼きもしっとりほわほわでまた食べたいお魚になりました! さばき方も簡単で、頭の方から皮がつるーんと剥けて気持ち良かったです。
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<刺身>
・カゴカキダイ
・ネンブツダイ
・ホシササノハベラ
・アカムツ
・マアジ
ベラの刺身はぼくの大好物! まさか対馬で食べられるとは! マアジは瀬付きの金アジ(あまり遠くまで回遊せず脂を蓄えている)だったので、脂のりのりで美味しすぎました。味噌と一緒に包丁でたたいてなめろうも作りました。
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<塩焼き>
・アカムツ
・カゴカキダイ
・ネンブツダイ
・クサウオ
・マサバ
それぞれの旨味と脂で、極上のポワレのようになり最高でした!
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かじられていたとはいえ対馬自慢の高級魚アカムツ(通称ノドグロ)! しかも元の姿を想像するとかなり大きかったはずで、刺身も塩焼きもとても美味しかったです!カゴカキダイは、塩焼きが絶品だと知っていましたがやはり美味しかったです。
色んな方々のおかげで、美味しくて贅沢なザ・未利用魚セットができ上がり、最高に幸せな時間でした!
このように、おいしい魚介類が豊富なのはもちろん、島全体がほわ~っとやさしさに包まれているようなあたたかさを感じて、またすぐにでも行きたいなと思いました。その土地の人や生き物や空気感など、直接見て、触れて、感じることで、「対馬って長崎の島」というふんわりとした認識から解像度があがりくっきり見えてきたので今回行かせてもらえて本当に良かったです。
福岡に帰ってきてからも、「対馬産」の魚を見かけると買いたくなりますし、ただ“魚を食べる”だけではなくてその奥にある色んなことを「知る」のも大事だし、もっと知りたい! おもしろい! と思った大切な旅になりました。とってもとっても楽しかったです!
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おまけ①
ぼくの大好きな魚屋さんのオーリン(第3回参照)の対馬大浦店と、対馬豊玉店にも寄ってもらってお買い物しました~! オーリンファンとしては今度は対馬美津島店にも行ってみたいです(^O^)
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おまけ②
ぼくが対馬に行って出会った魚の種類は、63種類!!
・チカメキントキ・アカアマダイ・マトウダイ・マルアジ・タマガシラ・キダイ・マサバ・イトヨリダイ・フサカサゴ・カイワリ・マダイ・ウッカリカサゴ・カサゴ・アヤメカサゴ・ウスメバル・マハタ・ヒメ・カゴカキダイ・ソラスズメダイ・ルリスズメダイ・マアジ・メジナ・クロメジナ・フエフキダイ・イラ・スズメダイ・オヤビッチャ・アイゴ・キビナゴ・シロサバフグ・アオハタ・カタクチイワシ・イスズミ・ホシササノハベラ・ムツ・シイラ・クサウオ・エゾイソアイナメ・アカムツ・ウルメイワシ・ボラ・アカカマス・ハマトビウオ・カンパチ・ヒラマサ・カツオ・ブリ・アカヤガラ・キンメモドキ・ネンブツダイ・クロホシイシモチ・クロマグロ・クロダイ・フトツノザメ・クサフグ・コトヒキ・ハリセンボン・ハコフグ・スジハナビラウオ属の一種・エボシダイ科の幼魚・ツクシトビウオ・ブダイ・ウミヒゴイ属の一種
次回【対馬旅・後編】は、対馬の漁師細井さんからいただいた魚介類などを、家で料理していきます! なんとサメもさばいて食べますよ♪どうぞお楽しみに(^○^)
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