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私立中高一貫校ってどんなところ?『中学受験のリアル マンガでわかる 志望校への合格マップ』ためし読み

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大学受験に価値を置くか否か

つづいて、「進学校」と「大学付属校」について見ていきましょう。こちらも「共学校」と「男女別学」と並んで、学校選びの大切な尺度になります。簡単に言うと、わが子には大学受験を見据えた中高6年間を過ごしてほしいという方針があるのなら「進学校」が良いでしょう。一方、中学入学段階で6年後に進学する大学を早期確定したいというお考えがあれば「大学付属校」が良いでしょう。しかし、どちらが優れた選択だと軽々しく申し上げることはできません。それぞれにメリットもあればデメリットも潜んでいるからです。

進学校と付属型進学校の特色

「進学校」とは、大学受験を前提にした学校です。大学受験を見据えたカリキュラムは比較的進度が速く、いわゆる「先取り学習」(一般的に次学年以降の単元を前倒しで学ぶこと)をおこなったり、長期休暇中であっても大学受験対策の講座が設けられていたりします。ほぼ全員が大学受験をするので、「周囲に流されやすい性格」の子どもたちにとっては日々勉学に努めることを「当然」と感じさせてくれる環境です。

もちろん「進学校」といっても大学進学までのルートはさまざまです。たとえば、四谷大塚の合格可能性80%基準で偏差値60以上の進学校になると、国公立や早慶といったいわゆる入試偏差値が高い大学には「一般入試」で挑む傾向が強くなります。よく、指定校推薦(大学側が指定した中高の在校生のみ出願資格のある制度)の充実ぶりが気になる保護者がいますが、このレベルの進学校ではほとんどその推薦制度は利用しません。指定校推薦の基準を満たす子どもたちは、よりレベルの高い大学を目指すのが一般的だからです。

一方、いわゆる中堅の進学校は、指定校推薦制度や総合型選抜(自己推薦制度)を利用して大学受験をする子どもたちの占める割合が高くなります。

また、「付属型進学校(半付属校)」と呼ばれる中高も数多く存在します。系列の大学があるにもかかわらず、その大学へ内部進学する子どもたちはほとんどおらず、実質的に「進学校」と化しているところを指します。たとえば、男子校では獨協、東京都市大学付属、早稲田など、女子校では東洋英和女学院、白百合学園、大妻、共立女子など、共学校では成蹊、東京農業大学第一、東京都市大学等々力、國學院久我山などです。こういう学校は系列大学と連携しているところが多く、中高生にしてアカデミックな環境に触れつつ、他大学への受験対策も充実しているところが魅力です。

もちろん、わが子の大学受験は上手くいくとは限りませんし、いわゆる一流の進学校に在学していて、結果的に思うような大学へ進めないと、周囲に劣等感を抱いてしまい、残念ながら母校への足が遠のいてしまう子どもたちだって散見されるのが実情です。

また、「進学校は塾要らず」はほとんどウソです。この点、学校側に尋ねてもはぐらかされてしまうことがよくあるのですが、高校生にもなると多くの子どもたちが塾・予備校を併用するのが一般的です。

大学付属校の特色

大学付属校はその名の通り、卒業生の大半が系列大学に推薦で進学できる学校です。ただし、大学付属校と一口に言っても、その内部進学率は各校によりかなり違いがあるので、保護者は事前にこの点を確認しておくことが大事です。系列大学に進めない、あるいは敢えて進まない子が何人もいる学校なのか……どちらのタイプの学校なのかを調べておきたいところです。

さて、中学入学時点で系列大学への進学をほぼ「確定」させておくと、結果の読めない進学校とは違い、保護者は何となく安心感を抱くかもしれません。しかし、わが子が中高生活の中で自ら将来像を見出したときに、希望する学部学科が系列大学に存在しない可能性だってあります。そういう場合に慌てて塾・予備校に通うケースがありますが、大学付属校は系列大学への進学を前提にしているがゆえに、進学校と比較するとのんびりした学習カリキュラムが組まれていることが多く、出遅れてしまうことも考えられます。

付言しますと、大学付属校は学習ペースがゆるやかだからこそ、部活動や課外活動に専念できる面があります。広々とした環境を有し、設備も充実しているところが多いのも特徴です。


ためし読みはここまでです。

「中学受験ってどこから始めればいいの?」という戸惑いから、志望校合格までの長い道のりを、家庭全体でどう乗り越えるか――。

この本を通して、親子で話し合いながら一つずつ納得のいく選択を重ね、「わが家の中学受験」を歩んでいただけるよう願っています。

書籍情報


著者: 矢野 耕平 漫画: ぴよとと なつき

定価
1,650円(本体1,500円+税)
発売日
サイズ
A5判
ISBN
9784046070562

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