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子育て・教育

子育てはなんだかんだ忙しい? 親が子どもにできる「たった一つのこと」


社会が大きく変化するにあたり、子育てを取り巻く環境も大きく変わっています。その中で、親が抱える悩みには昔ながらの考えにしばられている「思い込み」も多く、他人軸ではなく自分軸で考える習慣をつけることで、そうした無駄な悩みから解放され、気持ちよく生きることができます。

また、そうした過度の思い込みを外し、空いた時間や気持ちの余裕を使って、自分の人生も考えることが大切です。なぜなら、親が幸せであることが子どもの幸せに直結しますし、子どもが独り立ちしたあとも自分の人生におけるキャリアを継続させることができるから。『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』では、これらを体現してきた著者・廣津留真理さんが詳しく紹介しています。

連載第5回は、『親が子どもにできる「たった一つのこと」』にスポットを当てていきます。

※本連載は『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』から一部抜粋して構成された記事です。記事内で使用している写真は本誌には掲載されていません。



 


親にできるのは「愛情を与えること」だけ

 今、皆さんは、子育て真っ最中でしょうか。それとも、子どもが小学生になって少し落ち着いてきた頃でしょうか。

 「親も子も成長する」と銘打っていますが、前提として、すべての親は「子どもを産んだだけで素晴らしい」という思いがあります。当たり前ですが、子どもがいなければ人口は減る一方で、未来は縮小していきます。子どもを作るということは一握りの未来を作っているのと一緒なのです。

 子どもが言うことを聞かずにときには声を荒げてしまうかもしれませんが、まずはそんな自分を責めずに気持ちをリラックスさせてください。

 そもそも親が子にできることは何でしょうか。

 社会に出ても恥ずかしくないようにしつけることでしょうか。

 あるいは、塾に行かせてテストで高得点を取れるようにすることでしょうか。

 私はこれまで著書やメディアで家庭教育の重要性を謳ってきましたが、その大本になっているのは「無条件の愛を与えること」です。

 「家庭教育」というと、たいていの人は、子どもにプリントを与えて勉強させるといったイメージを持つかもしれませんが、そうではありません。

 私がモットーにしたのは、「愛情をかけて褒めちぎる」こと。何をやるかよりも、まず基本にあるのが無条件の愛です。

 「Unconditional Love」(どんなときも何があってもあなたの味方です)
 「Full Attention」(あなたをいつも見守っているから安心してください)

 この2つは、最高レベルの愛情です。
 この愛情を示すために、子どもを毎日褒めるのです。

 子どもがこの世界に生まれて最初に出会う人は親です。子どもは親を見て育ちます。その親から、「人間とは温かいものですよ」「愛情で溢れていますよ」「地球は安全な場所ですよ」ということを与えてもらえたなら、子どもはこの地球でやりたいことに思い切ってチャレンジできるようになるでしょう。

 安心があるから、不安定なリスクもとれるのです。

 だから「親に何ができるのか」に悩んだら、あれこれ言わずに愛情をかけて褒めまくってください。





子育てに失敗はない

 また、すでに子どもが10代半ばを過ぎていて、愛情をかけてこられなかったと思う人もいるかもしれませんが、子育てに失敗はありません。

 たとえ、子どもが安心できる環境で育てられなかったとしても、子ども自身が自分の不安定さに気づき、逆境にいるからこそプラスのエネルギーに転換する例も、多々あるからです。

 例えば、アメリカに住む移民の中には、親が英語がしゃべれず貧しい環境で育ったからこそ、そうした困難な状況からヒントを得てビジネスを始めた人もいます。また、恵まれない環境で育ったからこそ、人の苦しみがわかってそこから仕事が生まれたり、ご縁がつながったりするケースもあります。

 理想は、生まれた瞬間から惜しみない愛情をかけて育てることかもしれませんが、できなかったとしても自分を責めることはありません。そのときあなたは精一杯のことをやってきたのですから、途中で気づけたなら、子どもが何歳になっても修正は可能です。





ビジネスで重要な「やり抜く力」の育て方

 愛情をかけること、褒めることがなぜ重要かと言うと、子どもの自己肯定感が高まり、やる気と自信を身につけることができるからです。

 こう言うと、「褒めてばかりいたら調子に乗るのでは?」と心配される方もいるのですが、そこに注目はしません。子どもは毎日、いろいろなことをしでかしますが、どんな言葉も態度もすべて、「ママ大好き、わかって!」と体いっぱいに表現しているだけだからです。
 子どもがすねたり、失敗したりすると、親は偉そうに怒ったり、しつけたりしがちですが、実はそれさえもすべてが親に向けられた愛情のプレゼンテーション。この対応を間違えないように気をつけながら、子どもからの愛を受け取ることで、子どもはどんな自分も丸ごと肯定できるようになり、自己肯定感が育っていくのです。

 また、今、仕事の世界で重要視されているものに「あきらめずやり抜く力」があります。その力を養うのに必要なのは、自分のビジョンに確信を持って、「自分ならできる!」と自分に自信を持つことです。

 では、その自信はどこから来るのでしょうか?

 それは、小さな成功体験を重ねることで身につきます。

 私は、子育てと同様に、英語教室に通う生徒たちを徹底的に褒めるようにしています。人は誰でも、褒められたい、認められたいと思っていますから、とにかくいいところを見つけて褒めるのです。

 例えば、英単語20個を覚えるところ、10個しか覚えられなかったとしても「10個も覚えられてすごいね!」と褒めちぎります。

 親御さんからは「こんなに子どもが褒められたことはありません。嬉しいです」という感想をよくいただきますが、こうすることで子どもの目標達成もしやすくなり、成功体験を得ることができます。

 子どもを100%肯定して褒めることで、子どもは日々、小さな成功体験を重ねていきます。

 それが、「自分ならできる!」という自己肯定感になり、自分が目指すビジョンに向かって、あきらめずに、やりぬく力となるのです。





マウントをとらずにポジティブ思考

 先日、華道家元池坊の次期家元となる、池坊専好さんとお話しする機会がありました。

 私も以前、華道を習っていたことがあったので、「上手にできない人は、どうやったらうまくなるのですか?」と質問をしたところ、次のようにおっしゃられていました。

 「私もなかなかうまくはいきません。でも人間は、一生懸命頑張っても完璧にできないから、明日も頑張ろうという気になるんですよ。そうじゃないかしら?」

 その言葉を聞いて、私の質問は、「下手だからどうしたらいいか」というネガティブ思考だったことに気づきました。

 池坊専好さんの、上手だと思ったら人間は向上しない、下手だから明日も頑張ろうと思える、といったポジティブな捉え方に感動したのです。

 自信のある方たちに共通しているのは、決してマウントをとらず、常にポジティブ思考で物事を考えることです。

 これは親子でも応用できます。

 子どもができなくて落ち込んでいるときに「そんなんじゃ、ダメじゃない」と言うとますますやる気を失ってしまいますが、ポジティブ思考で「今日できなかったってことは、明日は今日よりよくなっているってことだね」と言ったらどうでしょう。子どもは「よし、今度こそ頑張ろう」とやる気を出して前向きになるでしょう。

 自分にできることを子どもができないと、つい上から目線で言ってしまいがちですが、親がマイナスな言葉を吐かないだけで、子どもは自信を持って進んでいきます。





自分を諦める子育てはもう終わり。今の子育ての当たり前を知ろう

第5回は、『親が子どもにできる「たった一つのこと」』を見てきました。

子どもを育てるのは大変で、悩みはつきないもの。でも、そんな些細な悩みを一つずつ減らし、毎日を気持ちよく過ごすのも子育てで大切なことです。思い込みからくる子どもへの悩みを少しずつ解消し、「時間がない」「お金がない」といったネガティブマインドをポジティブに変え、子どもの人生も自分の人生もハッピーにする。

子育てが始まる方も、今まさに悩みを抱えている人も、書籍をチェック!


著者:廣津留 真理

定価
1,650円(本体1,500円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784046061522

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【著者プロフィール】

廣津留真理(ひろつる まり)
ディリーゴ英語教室代表、株式会社Dirigo代表取締役、一般社団法人Summer in JAPAN代表理事兼CEO。早稲田大学第一文学部卒業。大分市の公立小中高から塾なしで米国ハーバード大学に現役合格した娘・廣津留すみれの家庭学習指導経験から確立した「ひろつるメソッド」でディリーゴ英語教室を運営し、これまでに数万人を指導、英検や難関大学合格に導く。現役ハーバード生が講師陣のサマースクールSummer in JAPANで多様性重視のグローバル教育を推進し、2014年に経済産業省「キャリア教育アワード」奨励賞受賞。主な著書に『「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』『英語ぐんぐんニャードリル』『英語ぐんぐん ニャー単600』(以上、講談社)などがある
 



 

 

 


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