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子育て・教育

子育てが終わったあとはどう生きる? やりたいことの見つけ方はZ世代に学ぼう


社会が大きく変化するにあたり、子育てを取り巻く環境も大きく変わっています。その中で、親が抱える悩みには昔ながらの考えにしばられている「思い込み」も多く、他人軸ではなく自分軸で考える習慣をつけることで、そうした無駄な悩みから解放され、気持ちよく生きることができます。

また、そうした過度の思い込みを外し、空いた時間や気持ちの余裕を使って、自分の人生も考えることが大切です。なぜなら、親が幸せであることが子どもの幸せに直結しますし、子どもが独り立ちしたあとも自分の人生におけるキャリアを継続させることができるから。『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』では、これらを体現してきた著者・廣津留真理さんが詳しく紹介しています。

連載第4回は、『子育てが終わったあとはどう生きる?』にスポットを当てていきます。

※本連載は『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』から一部抜粋して構成された記事です。記事内で使用している写真は本誌には掲載されていません。



 


子育てを終えたあとの人生とは

 いまだに多くある思い込み=マインドブロックを外すことでできた新しい時間とお金の考え方で、自分自身の人生と向き合ってほしいと私は考えています。

 子育てを終えたあと、自分は何を楽しみに生きているでしょうか。

 実際のところ、今、子育ての真っ只中の人の中には、「そんな先のこと考えられない」と答える人がたくさんいるでしょう。それももっともです。家事に育児に忙しく、そのうえ仕事もしていれば、そんな未来のことを考える余裕がなくなるのも理解できます。

 でも、だからこそ、無駄な時間を徹底的になくして時間を作ったり、日常の雑事から離れるためにホテルに泊まって精神的な余裕を作ったりしながら、自分について考える必要があります。

 子育ての時期は子どもが最優先。でも、だからと言って自分を蔑ろにしていいわけではありません。

 それに、結局のところ、親が幸せにしていることが子どもにとって大事なことで、幸せな家庭こそが、子育てに最も適した環境と言えます。

 そうは言っても、自分が何をやりたいのか、何に生きがいを見いだせるのかまったく見当もつかない。そういう人もいるかもしれません。

 自分のやりたいことを見つける。

 そのためにまずやらなければいけないのは、自分自身がアップデートすることです。古い価値観を捨て、がんじがらめになっているマインドブロックを一つずつ外していく。





Z世代は「今の時代の当たり前」を知っている

 古い価値観を捨てるために有効な手段を一つお教えしましょう。

 それは、若い子、Z世代(1990年代後半から2010年代序盤までに生まれた世代)の人たちに学ぶというものです。

 彼ら彼女らは、当然のことながら、私たちの価値観とはまったく別の価値観で生きています。そんな生き方に触れることで、自然と古い価値観なんてなくなっていくでしょう。

 Z世代の人たちは、SDGs(持続可能な開発目標)や環境危機、LGBTQなど、今の世界で課題とされているさまざまな物事が当たり前の世の中で生きています。つまり、大人が意識して取り組もうとしていることに、もっと自然に、当たり前のように取り組んでいるのです。

 例えば、日本とアメリカの私の知り合いには、ゲイカップルが多くいます。彼らも友達も、変に気を遣うなど過剰な反応もせずに仲間として接しています。

 さらに、Z世代の人たちは、自分のやりたいことをやっている人が非常に多いように思います。洋服が好きだったら自分の服のブランドを立ち上げており、「とにかくたくさん売りたい」というよりは、自分の服が好きな人に届けばいいという感覚でやっています。

 たとえ高学歴の人であっても、学歴関係なしに自分の好きを仕事にしているのです。

 おそらく、昔だったら、「そんなにいい学校を出たのにもったいない」とか、「いきなりお店を出すなんて、本当に食べていけるの?」とか言われたでしょう。いや、実際、その人たちも親から似たようなことを言われたかもしれません。

 でも、彼らにとって、学歴は個性の一つで、学歴に縛られて仕事を探すより、自分の好きを優先させる方が正しいことを感覚的に知っているのです。

 このような考え方が浸透したのは、やはり、YouTube、Instagram、TikTokなど、SNSを使えば誰でも自分の「好き」を発信できる環境が整っているからでしょう。そして、個人の発信ツールさえあれば好きを仕事にできるから、古い価値観に縛られていることに意味はないと簡単に脱ぎ捨てられるのです。

 なにもZ世代の人たちの真似をしろと言うわけではありません。

 ただ、「老いては子に従え」という言葉があるように、若い子から学べることはたくさんあるのは間違いありませんし、常に若々しい考え方を維持するためには有効だと思います。





長期ビジョンに必要なスキルを磨く

 自分のやりたいことを見つけるのにもう一つ有効な方法は、長期ビジョンを持つことです。5年後、10年後になりたい自分を想像し、そのためにどんなスキルが必要かを探すのです。

 人はどんな環境においても、未来を志向できなければ、徐々に苦しくなってしまうものです。もし、日々の子育てがしんどいと思っている人が、5年後も同じ状況でずっとこの状態から抜け出せないと考えてしまったら、精神的にやられてしまうでしょう。

 だから、5年後、10年後になりたい自分、今とは違う自分の姿を想像することが大切です。

 ただ、いくら理想を掲げていても、無為に毎日を過ごしていたら、理想に近づくのは難しいでしょう。そこで、今の自分にできること、今のうちに磨けるスキルを探しましょう。

 子育てのために仕事を辞めた人の中には、キャリアを中断してしまい、果たして、すんなりと社会復帰できるのか不安を抱いている人もいると思います。

 でも、子育て中に時間を作ることさえできたら、オンラインセミナーなどを利用してスキルアップを図ることは可能です。しかも、育児期間中の3年や5年のうちに、得意をドンドン伸ばして自分の価値を高めることができたら、元の職場に復帰する以外に、もっと自分を活かせる企業へキャリアアップすることも、決して難しくはありません。

 そのためにも、5年後、10年後を見据えて、長期ビジョンを持って行動に移すことが大切です。





未来のことは誰にもわからない

 長期ビジョンを考えるとき、一つ、気をつけなければならないことがあります。
 それは、未来がどうなるかは誰にもわからないということです。

 例えば、戦争の渦中にいる人に長期ビジョンを尋ねたら、絶対に平和を願うでしょうし、経済が破綻している国にいる人だったら、きっと経済的に安定した世の中と答えるでしょう。

 つまり、そのときどきの社会の状況によって、長期ビジョンとして成り立つものと成り立たないものがあるのです。

 だから、長期ビジョンは一つに固定せず、状況に応じて変えても、その都度修正しても構いません。そのくらいの柔軟性がむしろ大切です。

 そんな中にあって、実はどんな状況でも成り立つ長期ビジョンがあります。
 それは、私が常に抱いている、「よりよい社会にするために貢献できる人になりたい」という思いです。

 これなら、戦時中に平和を願うのも、経済的に安定した世の中を願うのも、どちらも行きつく先は「よりよい社会」です。だから、私の長期ビジョンは、この一択なのです。





あなたの長期ビジョンは何ですか?

 長期ビジョンを持つことのメリットはいくつかありますが、その一つは、衝動的な行動を抑えられるということです。

 人は、突発的な出来事に反応して、ついつい衝動的に動いてしまう生き物です。目の前で起きている出来事を何とかしないといけないと思い、後先考えずに行動してしまう。でも、そのような衝動的な行動は、往々にして失敗を招きます。

 でも、長期ビジョンを持っていると、長期的な目線で物事を見られるので、突発的な出来事に慌てふためくことなく、落ち着いて見守ることができます。

 衝動的な行動をとらなくても、時間が解決してくれたり、落ち着いて見ることでかえって対処法が見いだせたりするものです。

 また、負債と資産の関係においても、この長期的な目が必要です。

 現時点では大きな負債を抱えているかもしれないけど、長期的に見れば、この負債が資産に変わる。そして、それがわかっていれば、現時点がたとえ苦しくても、それを乗り越えられるようになるのです。

 また、「よりよい社会にするために貢献できる人」という長期ビジョンの内容に関して、このビジョンを掲げていることで、おそらく経済的自立が図れるようになると考えています。その理由は、社会に貢献することとは、言い換えれば、その多くが「お金がもらえる」ということだからです。社会のニーズがないものを提示しても見向きもされませんが、ニーズがあるものだったら多くの人から賛同を得られ、お金と交換できます。

 それに、自分の働きによって社会がよくなると思ったら、ワクワクしませんか? 

 もちろん、これはあくまで私が考えた長期ビジョンです。

 この考え方に縛られる必要はありませんので、皆さんは皆さんなりの長期ビジョンをまずは作ってみてください。





自分を諦める子育てはもう終わり。今の子育ての当たり前を知ろう

第4回は、『子育てが終わったあとはどう生きる?』を見てきました。

子どもを育てるのは大変で、悩みはつきないもの。でも、そんな些細な悩みを一つずつ減らし、毎日を気持ちよく過ごすのも子育てで大切なことです。思い込みからくる子どもへの悩みを少しずつ解消し、「時間がない」「お金がない」といったネガティブマインドをポジティブに変え、子どもの人生も自分の人生もハッピーにする。

子育てが始まる方も、今まさに悩みを抱えている人も、書籍をチェック!


著者:廣津留 真理

定価
1,650円(本体1,500円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784046061522

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【著者プロフィール】

廣津留真理(ひろつる まり)
ディリーゴ英語教室代表、株式会社Dirigo代表取締役、一般社団法人Summer in JAPAN代表理事兼CEO。早稲田大学第一文学部卒業。大分市の公立小中高から塾なしで米国ハーバード大学に現役合格した娘・廣津留すみれの家庭学習指導経験から確立した「ひろつるメソッド」でディリーゴ英語教室を運営し、これまでに数万人を指導、英検や難関大学合格に導く。現役ハーバード生が講師陣のサマースクールSummer in JAPANで多様性重視のグローバル教育を推進し、2014年に経済産業省「キャリア教育アワード」奨励賞受賞。主な著書に『「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』『英語ぐんぐんニャードリル』『英語ぐんぐん ニャー単600』(以上、講談社)などがある
 



 

 

 


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