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子育て・教育

アウトプットの源は子どもの主体性


日本の学校教育は「インプット(読む・聞く)」が中心。でもこれからの国際社会で生き抜くには「アウトプット(話す・書く)」力が重要です。アウトプット学習することで学習定着率がぐっと高まります。とはいえ、何から手を付けていいのか悩みものですよね。本記事では、『ドラゴン桜』の指南役としても知られる親野智可等先生が、家庭で取り組みやすい最新の学習法をお教えします!

連載第1回は、本誌の中から「アウトプットの源は子どもの主体性」をピックアップします。

※本連載は『自分で話せて書けるから、やる気倍増! 外に出してどんどん伸びる「アウトプット勉強法」』から一部抜粋して構成された記事です。記事内で使用している写真は本誌には掲載されていません。



 

 

POINT
・子どもが興味を持つことをテーマにする    
・主体性がないと続かず、定着もしない
・好きなことに取り組めば地頭がよくなる

 

やらされるのでは身につかない

 アウトプット学習の大切さをお伝えしましたが、家庭でアウトプット学習をするにはどうしたらよいのでしょう。

 インプット学習が「(目で)読む」「聞く」であることに対して、アウトプット学習は「話す」「書く(描く)」ことになります。学校の宿題に出る音読も「話す」というアウトプット学習ですし、漢字ドリル、計算ドリルも「書く」というアウトプット学習というわけです。ですから、宿題は上手に取り組めばアウトプット学習の一環として、子どもの学力向上に役立てることができます。しかし、宿題を提出しないと怒られるからという理由で、仕方なく取り組むアウトプット学習では、残念ながら身につきません。

大切なポイントは、〝主体性〟があるかどうかです。

 要は〝子ども本人がやりたくてやっているか〞がカギになるということです。
 本人が好きなことで、あふれんばかりの探究心があると、得た情報を自分からだれかに話したり、書いたり(描いたり)、と自分なりの表現で情報を伝えようとするものです。こうしたプロセスが大切で、親が強制するのはよくありません。



 

 

子どもが好きなことを全力でやらせてあげよう

 子どもが夢中になって自分でアウトプットをするようなテーマを、どうやって見つけさせたらいいのかわからない保護者の方も多いでしょう。
 しかし、それこそ、子どもをいつもそばで見ている保護者の皆さんの出番です。まず、子どもが普段やっていることに目を向けてください。
 戦国武将が好きで歴史マンガをよく読んでいる、星座が好きで望遠鏡をよくのぞいている、外に遊びに行っては虫とりをしたり花をよく観察したりしている……など、何でもよいのです。もちろん、ダンスや絵を描くことが好きなら、それ自体がすでにアウトプットです。

 本人が好きか、ということを重要なモノサシにしてみてください。

 習いごとも、子どもの興味を探る1つの手段です。子どもが「やってみたい」と興味を示したことは、ぜひやらせてあげてください。それで、好きなことが見つかればよいですし、やめて別のことをやりたがるなら、それもOKです。



 

 

熱中体験が子どもの地頭をよくする

 好きなことをやっていると、脳の血流がアップします。そして、脳内では幸せを感じさせる神経伝達物質のドーパミンが大量に放出されます。すると、脳の神経と神経をつなぐシナプスが増加し、シナプス同士のつながりが増えることで、脳の処理能力は上がっていきます。

 好きなことに熱中しているときに、地頭がよくなるのです。地頭がよくなれば、いわゆる勉強をするときにも、どんどん理解したり記憶したりできるようになります。学校で習う勉強だけに限定せず、子どもが熱中することを一緒に見つけて、大人はできる限りのサポートをしてあげてください。
 同時に保護者の皆さんにやってほしいのが、紹介と推薦です。
「今度プログラミングの体験イベントがあるよ。自分でゲームを作れるみたい。行ってみない?」とか、「児童館で田植え教室をやるんだって。行ってみようか?」というように、向いていそうなものを子どもに紹介してあげるとよいでしょう。
 このようにして、子どもが何かに熱中できるようにしてあげてください。そして、それをアウトプットするように導けば、主体的なアウトプットが自然にできるようになっていきます。親の価値観を優先するのではなく、子どものやる気を優先してください。



 

 

アウトプットとは〝自分を知る〟こと

 同じ本を読んでも、同じ映画を観ても、まったく同じ感想を書く人はいません。インプットするものは同じでも、アウトプットは100%オリジナルです。つまり、アウトプットは「個性」なのです。
 インプットしたものをアウトプットするためには、自分にとって大事な情報とそうではない情報を切り分けるプロセスが必ずあります。これは、自分が何を学びたいか、何に興味があるか、何をしたいのか、そのために何が必要なのかを自ら選び取ることにもつながっています。

 アウトプットとは自分を知ることでもあり、まさに人生を作っていくことでもあるといえるのです。子どもが将来にわたって豊かで幸せな人生を送れるよう、どんどんアウトプットさせてあげましょう。



同じように声に出したり、書いたり(描いたり)する学習でも、子どもがやる気を持って主体的に取り組んでいるかどうかが肝心。主体性があれば、知識は定着し、さらなる知識の取得にもつながって学習効果が飛躍的にアップ。しかも、本人は楽しくやっているだけで、学習時間が苦にならない。

 

アウトプット学習を習慣にして、この先もずっと学び続けられる子に

宿題や普段の会話など、身近なところからアウトプット学習に取り組むことは可能です。アウトプットすることで学習定着率が高まり、子どもの自信がつく……そうすることで学びの楽しさを覚え、中学、高校と自ら学び続けられるようになります。
本書では具体的なアウトプット勉強法をたっぷり紹介しています。ぜひ親子で取り組んでみてくださいね。


 

【プロフィール】

親野智可等(おやのちから)
教育評論家:本名 杉山桂一。
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。『子育て365 日』( ダイヤモンド社)、『反抗期まるごと解決BOOK 』(日東書院本社)などベストセラーも多い。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社)の指南役としても著名。Instagram、Threads、X(Twitter)、Blog、メルマガや各種メディアの連載などで発信中。オンライン講演を含む全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

公式HP : https://www.oyaryoku.jp
Blog「親力講座」 : http://oyaryoku.blog.jp
Instagram・Threads・X(Twitter) @oyanochikara
YouTube @user-bl1yz4od8i
(2023年10月現在)
 



 

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