
こんにちは。聞かせ屋。けいたろうです。 ときどき「絵本は、絵と文章、どちらが大事?」なんて話になりますが、もちろんどちらも大事です。でも、絵本は「絵」の「本」と書きますね。今回はスゴイ絵を存分に味わせてくれる、3人の絵本作家さんと、おススメの絵本を紹介します。
まずはこの絵本作家さん。

これを描いたのはシゲリカツヒコさん。巨大なパンツの持ち主を探して団地を登っていく少年、彼をつまみ上げる鬼! この迫力、まるで体温を感じるような生々しさ、圧巻です。鬼の絵を描かせたら右に出る人はいないんじゃないかと、僕は思っています。

では、しりとりの展開に合わせて、マグロ、ロボット、ろくろっくび! あ……前言撤回、鬼だけじゃなくて何を描いてもスゴいんです。絵本に惹き込まれるような世界観を味わえることでしょう。
次に紹介するのは、鈴木のりたけさん。

この砂感がスゴい! 僕は絶対描けないけれど、砂ってこうして描くのですね。砂場の砂が、とんでもないことになるお話なのですが、砂を砂らしく魅力的に描けないと成り立たないですよね(笑)。鈴木のりたけさんは、素材感を絵に表すのが素晴らしいのです。もはや匠のわざ!

こちらでは、ラグビーボールの素材感にびっくり。ラグビーブームにかこつけて、ボールを触った時のあの感触が思い出されます! のりたけさんは、発想力もすごいのです。これは何と、ラグビーボール型の絵本。読み終えた勢いで、そのままトライしてもオッケー(笑)。
さてここで、絵本の絵を味わう一番の方法をお伝えしましょう。それは「読み聞かせ」です。読んでもらっている間、じっくりと絵を見つめられるのがその理由。自分一人で絵本をめくっていると、文章を読まねばならず、絵を見る時間が明らかに少なくなります。それは大人でも同じこと。文を読んだら、確認程度に絵を見て、次のページへ進む大人の多いこと! ほとんど文しか見ていないのです。「絵」「本」なのに、なんともったいないことでしょう。読み聞かせであれば、文を読んでもらっている間、その場面の絵を味わう時間が約束(確保)されるのです。耳で心地良く話を聞いて、目で絵をじっくり味わえるわけですね。
これが絵本の最高の味わい方だと、僕は思っています。
だから僕は、大人にだって絵本を読み聞かせしていました。子どもが大きくなったとしても、「自分で読めるでしょ?」でなく、読んであげたい本が絵本なのですね。
最後に紹介するのは、はたこうしろうさんです。

この絵本を読むと、色がこちらに迫ってくるような感覚を覚えます。絵本の中で主人公がひたすら絵を描く話ですが、「みんな わたしから うまれてくるんだ」という言葉にあるように、絵が色が、うごめいているように感じるのです。

この絵本は、雨がまるで命を持っているかのように描かれています。どしゃぶりを体全体で受け止める少年。雨も絵の具も本来は無機質な液体ですが、はたさんがあまりに生き生きと描かれるので、それらが何だか生きているようなのです。
こんな素晴らしい絵の数々を、気軽に親子の手元で楽しめる。
絵本ってスゴいなぁ、と思います。
作/昼田弥子 絵/シゲリカツヒコ
- 【定価】
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 26.6cm×21.6cm
- 【ISBN】
- 9784774329277
作/鈴木のりたけ 監修/日本ラグビーフットボール選手会
- 【定価】
- 1,430円(本体1,300円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- B5判
- 【ISBN】
- 9784097268369