
ヨメルバ編集部がセレクトした絵本を、聞かせ屋。けいたろうさんといっしょに掘り下げます。第十七回は、大人気のしかけ絵本『やさいさん』です。

『やさいさん』(作:tupera tupera Gakken刊)

今回は『やさいさん』です。
人参が表紙の『やさいさん』。2010年発行なので、15年のロングセラーです。

15年もスタンダードでい続けるって、すごいこと。この絵本はわかりやすくて、問いかけが楽しい。ひょっこりのぞいている野菜がおもしろいですよね。

このカラフルさが、本屋さんでも目を引くのかなと思います。表紙の絵も、人参と目が合った感じがしますし、顔が少し隠れているからドキッとします。
しかけ絵本なので「やさいさん やさいさん だあれ」の問いかけで紙をめくると、「すっぽーん にんじんさん」とか「ごぼうさん」って、野菜が土の中から飛び出してくるんですよね。その絵の変わり方っていうのも、かなり楽しい。めくった感じが自分で抜いた感覚になります。

そうですね。下から上に紙をめくるので、抜くっていう動作と、その仕掛けがマッチしています。さすがです。
僕は、この絵本をおはなし会で読むことが多いです。保育園や幼稚園の大人数に向けて。36cmくらいの大型絵本で読んでるんですけれども、最後の方は「じゃあみんなで一緒にジャンプしてみようか」とか、「土から抜けてみようか」って言って、一緒にジャンプする。親子に向けて読んでるときは、「お子さんを野菜だと思って引っこ抜いてください、すっぽーん」なんてやってます。
遊びにも繋がる、わくわく感や楽しさがあるんですよ。

なるほど。家でもできそうですね。

そう。家でも、子供をひっこ抜いてあげると楽しいと思います。特にお父さんとかにやってもらったら楽しいんじゃないかな。

それは楽しそう。全然思いつきませんでした。

全国のいろいろな保育園でこの絵本を読んでいますけど、淡路島の子供たちは正解率が高いんです。

玉ねぎですか?

玉ねぎも他の野菜も育てているんじゃないかな。

身近に野菜がある子は、ひらめくのかもしれないですね。都心の子は、そもそも野菜の葉っぱを知らないのかも。

スーパーの野菜には葉っぱがついてないことが多いので。大根の葉っぱはよく見ますけどね。

なるほどね。地域によって反応が違うっていうのもおもしろいですね。

tupera tuperaさんは絵本以外でも活躍する、ご夫婦のアーティストなんです。

教育番組等でも関わられていますよね。

そうですね。アパレルとか、スーパーの食品の棚にtuperaさんのデザインが並んでいたりとか。「これtupera tuperaさんじゃない?」って気づくようになると楽しい。
そして、この『やさいさん』に関しても、衣料品になっていました! 僕はその靴下を、娘へのお土産に買って帰ったのですが、すごく喜んでいました。大好きな絵本がグッズになっているのは結構嬉しいもので、その絵本をより好きになったり、愛着が湧いたりしますね。

そうですね。
この本はどなたにおすすめしましょうか。

親子だけで楽しむのもいいですし、保育現場や子育て支援の現場で読むことがある人は、ぜひそこでも!さっきお伝えした通り大型絵本もおすすめなので、図書館で大型絵本を借りてみんなで「すっぽーん」っていうのもすごく楽しいコミュニケーションになると思います。小学生でもいけますよ。

そうですか。小学生まで?

野菜の葉っぱだけ見せて「これなんでしょうか」って言われても、結構わからないものなんですよ。大人だって目を細めながら「えー?」って考えますから。

確かに。そうですね。

いい絵本は、対象年齢が広いんです。文章と展開が簡潔なんだけれども、深みというか面白みが幅広いと思います。

本当にそうですね。ありがとうございました。

けいたろうさん作『やさいさん』のポップ
作:tupera tupera
- 【定価】
- 1,210円(本体1,100円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 175mm x 175mm
- 【ISBN】
- 9784052032981