
2025年2月に刊行された『驚異の標本箱―鉱物―』から鉱物好きの子にぜひ見てもらいたい鉱物を紹介します!自主学習や自由研究にもおすすめのテーマです!
※本連載は『驚異の標本箱―鉱物―』から一部抜粋して構成された記事です。
絵具になる鉱物

人類が初めて手に入れた絵の具は、おそらく赤鉄鉱(せきてっこう)の赤だった。鉱物には美しい色合いを示すものが多く、かつ安定であることから、先史時代から今日に至るまで色材(顔料)として使われているものがある。赤は硫化水銀の辰砂(しんしゃ)や赤鉄鉱から得られた。青は藍銅鉱(らんどうこう)やラピスラズリから、緑は孔雀石(くじゃくいし)や緑土(りょくど)を用いた。硫化カドミウムの黄色、クロムのオレンジ、硫化ヒ素の黄色も多用された。その中には、元素毒性のために現在では使われなくなった物も少なくない。古い絵画を見ると、鉱物を原料とした絵の具の色を見ることができる。
鉱物データ
辰砂──朱
学名 Cinnabar(シナバー)
和名 辰砂(しんしゃ)
化学式 HgS
結晶系 三方晶系
モース硬度 2 ~ 2 ½
分類 硫化鉱物
標本の高さ:2.8 cm/産地:中国 Tongren Mine, Bijiang District, Tongren, Guizhou,
China/所蔵:個人蔵
クレジット
写真=紀伊國潔(鉱物写真家)
文=田中陵二(科学者)
書籍情報
- 【定価】
- 5,500円(本体5,000円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- A4変形判
- 【ISBN】
- 9784041156124